2010年2月15日

派遣法撤廃せよ! 革共同合同・一般労組委

週刊『前進』06頁(2427号3面2)(2010/02/15)

派遣法撤廃せよ! 非正規化と対決し検修外注化阻止決戦へ
 革共同合同・一般労組委員会

 国鉄分割・民営化こそが非正規職生み出した元凶

 動労千葉が2月1〜2日に立ち上がった48時間ストライキに続き、「国鉄1047名解雇撤回、検修業務の全面外注化阻止、反合理化・運転保安確立2・13全国労働者総決起集会」を闘い抜き、JR東の検修全面外注化と対決する歴史的な階級決戦が始まった。
 検修全面外注化攻撃とはいかなるものか。合同・一般労組の運動を担うわれわれにとっていかなる意味を持つのか。
 1987年の国鉄分割・民営化に先駆けて、85年に日本電信電話公社が民営化されてNTTになった。NTTは03年には347社の子会社・孫会社に分割され、85年当時31万4千人いた職員のうち17万人がいったん再雇用・転籍、非正規化され、その過程で10万9千人が削減された。残ったNTT職員はわずか3万6千人である。沖縄NTTの正規職員は今では十数人しかいない。労働組合幹部が裏切り屈服して闘わなかったがゆえに、これほど細分化された分割・民営化が強行され、多くの労働者が首を切られ、非正規労働者が生み出されたのだ。
 JRにおいては、「分割・民営化絶対反対」を貫いて闘い抜く動労千葉と23年間にわたる1047名解雇撤回闘争が、民営化攻撃の全面貫徹を破産させてきた。
 国鉄分割・民営化攻撃は、分社化・子会社化による大量の非正規職化を4大産別を始めあらゆる産別に拡大していく、新自由主義攻撃の突破口であった。それ以降、国鉄分割・民営化で行われたことが資本の攻撃のスタンダードになった。
 さらに国鉄分割・民営化攻撃と一体のものとしてあったのが、1985年の労働者派遣法の制定である。派遣法は、戦後労働法制のあり方を全面的に転覆するテコとなった。その後、派遣法は改悪を重ね、04年製造業への派遣が解禁になり、一気に非正規職労働者が生み出されたが、それ以前から非正規職労働者は「偽装請負」という形で蔓延(まんえん)していた。95年の日経連報告がそれを促進したのだ。
 しかし、単にち“法律ができたから非正規雇用労働者が増えた”というわけではない。問題は労働組合幹部が屈服するだけでなく、資本と一体となって労働者の非正規職化を推進してきたことだ。
 JR東における検修全面外注化攻撃は第2の分割・民営化攻撃である。国鉄分割・民営化を破産させてきた動労千葉・動労水戸の闘いと1047名解雇撤回闘争を解体し、JRをNTTのようにしようとしている。
 これに対して動労千葉は、検修全面外注化粉砕をとおして、9割の労働者を非正規職化する攻撃を阻もうとしている。合理化攻撃に敗北してきた戦後の日本労働運動を根底からひっくり返す歴史的闘いである。
 合同・一般労組の闘いにおいて重要な点は、生み出された非正規職労働者や失業者を組織化して資本と闘うことだけでなく、非正規職労働者を生み出さない闘いの先頭に立つことである。非正規職労働者を生み出す根本と闘うことである。
 国鉄1047名解雇撤回闘争と検修全面外注化阻止の闘いは、その闘いそのものである。したがって合同・一般労組運動を闘うわれわれは、動労千葉の闘いと固く結びついて、検修業務全面外注化阻止決戦の最先頭に立とう。

 経労委報告「雇用確保」は派遣法改悪と非正規激増

 日本経団連の10年版経労委報告が「有期契約労働者(契約社員、期間工、嘱託社員、パートタイマー、派遣社員を含む)のうち、6割近くの者が引き続き有期契約労働での就労を希望するなど、『非正規』的な就労を自発的に選択している労働者が多い」と述べているのは許し難い。労働者が非正規雇用を自発的に選択するわけがない。
 同報告は「雇用安定」「雇用確保」を優先するかのように述べているが、それは非正規雇用拡大を別の言葉で表現したに過ぎない。日本経団連の「雇用確保」とは、あくまでも非正規雇用のことなのだ。
 今国会で審議される派遣法改悪案は、資本と民主党・連合政権が一体となって作成した「違法派遣合法化」案である。日雇い派遣でも連続して働いていれば常用型派遣と見なされる。常用型派遣という規定そのものがあいまいだからだ。
 これまで派遣法が改悪されるたびに派遣労働者数は増えてきたが、今回は「改正」の名のもとに「派遣切り」が合法化されようとしているのだ。検修外注化や社会保険庁解体による525人分限免職・非正規職増大と一体の攻撃であり、改悪により派遣労働者がより増大することは火を見るよりも明らかだ。これが民主党・連合政権の正体だ。派遣法「改正」で問題が解決することなどけっしてない。派遣法は撤廃以外にないのだ!
 経労委報告では「総額人件費管理を徹底していくことが不可欠」とし、資本による賃金抑制の厳格な意思表示と一体のものとして、「同一価値労働同一賃金」論が登場してくる。これは定昇凍結・賃下げ、非正規雇用化と一体のものであり、徹底した能力給、成果主義賃金の導入であり、非正規職化を推進するテコとして使われている。日本経団連は終身雇用制、年功賃金制を最終的に解体し、生活給としての賃金を根絶し、非正規雇用の低賃金体系を正当化するために「同一価値労働同一賃金」をうたい、賃下げへの怒りの決起をかわそうとしているのだ。
 「同一価値労働同一賃金」論は元々は、米国で不当に差別された低賃金の女性看守が男性看守との賃金差別を是正するために闘った裁判で掲げた論理である(1981年ガンサー事件)。この賃金差別是正の論理は、「労働の価値を知識や技能の種類、判断力や責任、労働条件などいくつかのファクターにわけて合計点数で労働価値を算出するものである。その価値のポイントが同じものは、異種の労働においても、同価値の労働とみなされて賃金を是正していく」(「『平等』のセカンドステージへ」大脇雅子著)というものだ。
 問題は、こういう方法は逆に”価値が同じでないから賃金が違う”という限りない分断と差別をもたらす論理にもなることだ。また月給制のもとで家族手当・住宅手当などの種々の手当を含み、企業が雇用保険・社会保険・厚生年金・企業年金などを負担する賃金体系では、「同一価値労働同一賃金」に基づく比較は簡単ではない。したがって「同一価値労働同一賃金」論は、「月給制」という概念をも解体し、非正規雇用を基礎とした時間給に基づく日給月給制賃金へ転換していくという攻撃もはらんでいる。
 「同一価値労働同一賃金」論は、戦後革命期を経て電産型賃金や全自型賃金体系がかちとってきた生活給的賃金原則を解体する論理である。これが正規雇用労働者と非正規雇用労働者の差別賃金を正当化する論理に使われているのである。

 4大産別決戦を自ら担い分会結成して職場闘争を

 全国の合同・一般労組の仲間は「国鉄1047名解雇撤回闘争を基軸にした4大産別決戦を合同・一般労組自らの闘いとして担う」という基本路線を確立し、派遣村に象徴される救済主義を批判し決別し、それを実践的にのりこえる闘いをやり抜いてきた。
 全国の合同・一般労組の闘いの中で特筆すべきは、関西合同労組技能育成センター分会の闘いである。現在、森精機は派遣労働者のみならず、正規雇用労働者まで解雇し、生産拠点を海外に移していこうとしている。そうした中で技能育成センター分会の解雇撤回闘争は、森精機の正規雇用労働者の組織化と決起に必ず結合する。
 さいたまユニオンショーワの闘いは、関西合同労組技能育成センター分会の森精機のストライキ闘争を教訓にして、派遣先・派遣元を串刺しにするストライキから始まった。「派遣切り」、住居追い出しに対して、1年を経た今もなお部屋に居座り闘い続けている実践は、技能育成センター分会に続く、派遣法そのものの廃絶を目指す闘いである。
 全国の合同・一般労組の仲間は、それぞれの職場で、資本との解雇撤回闘争を非正規雇用形態の結果もたらされた解雇を撤回させる闘いだけに切り縮めず、正規職の決起を促し、正規・非正規一体となった闘いを実現してきた。合同・一般労組組合員が4大産別本体の労働者を獲得・組織化し、4大産別の労組破壊・民営化攻撃を許さず、正規職労働者と一体になって4大産別の労働組合の変革をかちとる闘いをやり抜いてきた。この闘いは4大産別決戦を合同・一般労組が自ら闘うということである。
 同時に、大恐慌・大失業の時代における合同・一般労組の組織化と闘いは、文字どおり生きるか死ぬかをかけた資本との死闘である。合同・一般労組委員会はこの死闘のただ中で、従来の合同・一般労組の「一人争議」のようなあり方を完全にのりこえて、職場を丸ごと組織して職場の多数派を形成し、分会を結成してきた。動労千葉派としてのオーソドックスな労働組合運動を確立してきたのだ。労働相談についても、「相談・解決」型の対応をのりこえ、労働相談での出会いをきっかけに職場に分会を結成し、資本と非和解で対決する職場闘争をつくり出してきたのである。
 なんぶユニオンワークフロンティア分会の闘いは、究極の民営化と対決する、非正規雇用労働者の地をはうような組織化の攻防である。資本は今、組合の中心人物への解雇攻撃に加えて、5人のアルバイトに仕事をよこさない、事実上の解雇状態におき続ける攻撃に出てきている。正規職労働者に対しても7万円を超える賃金カットをかけてきた。賃下げは、何の根拠もなく何の理由も示されない、組織破壊のためだけの攻撃だ。資本は団交を拒否し、社長は組合から逃げ回り、一切の回答を拒否している。しかしこんな卑劣な攻撃は分会の怒りを高めるだけであり、組合員は元気よく闘っている。
 東京西部ユニオン鈴木生コンクリート分会には、警察OBの職制を使った切り崩し攻撃がかけられたが、逆に強固な団結を固め、労働委員会闘争を含めて新たな闘いに突入している。彼ら生コン運転手の雇用形態は3カ月雇用の連続更新であり、「いったん1日だけ解雇し、また再雇用」という違法な雇用形態がまかり通ってきた。資本はそうやって雇用することで有給休暇を取らせないできたのだ。この究極の非正規職化との闘いは、分会結成直後から切り崩しと資本による不当労働行為との激烈な攻防戦となってきた。
 合同・一般労組の仲間は、職場での資本との日常的攻防において反合・運転保安闘争路線を貫いて闘おう。さらに、あらゆる場所で街頭宣伝や職場ビラ入れの先頭に立って、動労千葉と動労水戸の組織破壊を許さず、検修全面外注化阻止へ闘い抜こう。
 3・20国際反戦闘争へ全国から総決起し、10春闘の巨大なゼネスト的爆発をかちとるために全力で闘い抜こう。