2010年2月 8日

〈焦点〉 ハイチPKO派兵許すな

週刊『前進』06頁(2426号5面4)(2010/02/08)

〈焦点〉 ハイチPKO派兵許すな
 改憲と戦争への飛躍狙う

 1月25日、鳩山政権はハイチの「国連平和維持活動(PKO)」に約300人の陸上自衛隊を派遣することを異例の早さで「即決」した。社民党も支持し2月上旬の活動開始を目指している。今回のPKO派兵はこれまでの延長ではなく、日帝の侵略と勢力圏確保への大エスカレーションをなす攻撃だ。大震災を口実とした派兵を絶対に許すことはできない。
 ハイチ大地震の被害のすさまじさが日を追って明らかになりつつある。死者数は20万人を超えた。さらに膨大な数の遺体が身元の確認もなしに埋葬されており、現在も倒壊家屋の下に埋まっている人も多数いる。生き残った人も、200万人が家を失い50万人以上が路上生活を強いられている。もちろん、これは単なる「自然災害」ではない。フランス、アメリカを始めとした資本主義・帝国主義の200年にわたる植民地支配が招いた階級的な災害だ。
 この歴史的・階級的大罪の上に今回の大惨事を契機に新たな侵略・植民地支配と勢力圏確保のための争闘戦が、米帝と中国スターリン主義を先頭に激しく展開されている。米帝は直後から動きを開始し、原子力空母「カールビンソン」を始め陸軍、海兵隊など計1万6千人を派兵。中国は多数の医療部隊などを活動させると同時に、これまでに計800万㌦分の現金や援助物資を提供している。
 労働者階級の怒りの噴出とブルジョアジーの分裂・抗争の中でこの流れに立ち遅れ、焦りを深めているのが日帝だ。世界大恐慌が進展し保護主義が台頭する中で、勢力圏をめぐる死闘が世界情勢の展開軸となっている。ここでの後退は帝国主義としての没落を意味する。民主党・連合政権は、勢力圏確保の争闘戦になだれ込もうと死活をかけて今回のPKO派兵に踏み込んでいるのだ。
 同時に重大な点は、今回の派兵が民主党・連合政権下での改憲と侵略帝国主義への飛躍を目指す攻撃ということだ。自民党政権下での、絶対に許すことのできないイラクやインド洋への自衛隊の派兵は、日米同盟基軸のもとでの米帝のイラク・アフガニスタン—中東侵略戦争への参戦であった。
 それに対し小沢と民主党は、日米同盟に依拠した自民党的あり方に対抗し、「国連中心主義」を名目に独自の軍事外交をとおした帝国主義としての飛躍を追求してきた。そのために「国連決議に基づく国連の統括下の活動」であるPKO派兵を活用しようということだ。民主党は昨年の衆院選マニフェストでも「PKOに参加して役割を果たす」と掲げた。「人道支援」など、大うそだ。ハイチ人民の地獄のような惨状まで軍事・外交の餌食にし、「PKO参加5原則」さえ踏みにじって派兵を強行しようとしているのだ。
 ブラジルのコンルータス(全国闘争連盟)はハイチでの「帝国主義の軍事占領と労働者弾圧を弾劾」して闘っている。ハイチの労働者組織「労働者の闘争」も「瓦礫(がれき)の中で組織しつつある階級闘争での政治的リーダーシップを構築」するため「世界中のすべての労働者に団結を求める訴えを発します」と闘いを開始している。彼らの闘いと団結し、自衛隊PKO派兵を阻止しよう。
 (高田隆志)