新幹線事故 民営化と大合理化こそ元凶
新幹線事故 JR東海・葛西の責任だ
民営化と大合理化こそ元凶
1月29日に東海道新幹線の新横浜−小田原間で起きた停電・停止事故は、国鉄分割・民営化の破産をあらためて突き出した。05年のJR西日本の尼崎事故、同年のJR東日本の羽越線事故に続き、ついにJR東海でもJR体制の破産はあらわになったのだ。
この事故は、同日午後1時49分、下り線を走行中の「こだま659号」12号車のパンタグラフの一部が外れ、電車に電力を供給するトロリー線をつる補助吊架(ちょうか)線を切断、停電に至ったものだ。新幹線は3時間以上ストップした。補助吊架線にも2万5千ボルトの高圧電流が流れており、切れた架線が地面に接触して火花を発し、線路脇の斜面の雑草を燃やす火災が起きた。
事故の直接の原因は、27日にJR東海・大井車両基地で行われた仕業検査でパンタグラフの「舟体」と呼ばれる部品を取り替えた際、4本のボルトをすべて着け忘れ、そのチェックがなされなかったことにあった。この新幹線車両は、ボルトの着いていない状態で東京−新大阪間の往復約1千㌔を走っていた。
JR東海は、対策として「部品の数量管理、作業記録の改良を実施する」などとし、すべての責任を現場労働者に押しつけている。だが、根本的な原因は国鉄分割・民営化にあり、責任の一切はJR資本にある。
国鉄時代には、車両の修繕を行う検修係のほかに、修繕がきちんとなされたかどうかをチェックする検査係がいた。その業務が統合され、一人の労働者が修繕も検査もする体制にされている。合理化によるすさまじい労働強化が、この事故を引き起こしたのだ。
JR東海はJR各社に先駆けて職種の融合を強行してきた。東海道新幹線の乗務員は、往路で運転し、復路で車掌をするという勤務さえ強いられている。駅への契約社員の導入もJR東海が先頭を切った。
保線や電力など新幹線の設備修繕作業では、JR東日本やJR西日本を含め多くの下請け労働者が事故で命を奪われている。絶対に許せない。
JR東海はリニア新幹線の建設と高速鉄道の海外輸出で延命を図ろうとしているが、会長・葛西敬之のもとで強行された大合理化は、足元の東海道新幹線の安全をとことん破壊したのである。
JR東日本がやろうとしている検修業務外注化のデタラメさもこの事故で突き出された。
JR東日本の外注化提案では、「在来線車両のパンタグラフ修繕」業務も一括委託するとされている。パンタグラフにかかわる業務は、高度な技術を要する。そうした業務まで外注化しておいて、ひとたび事故が起きれば、JRはすべての責任を外注先と現場労働者に押しつけてくる。
JR東日本は、新幹線の検修は外注化の対象外としているが、この攻撃を認めたら、次は新幹線の検修業務も外注化されることは明らかだ。
検修外注化を阻止し、JR体制打倒へ闘おう。