2010年1月25日

社保庁525人解雇撤回を 公務員360万首切り阻め

週刊『前進』06頁(2424号3面2)(2009/01/25)

社保庁525人解雇撤回を
 民主党・連合政権と全面対決し道州制=公務員360万首切り阻め

 日本階級闘争は大動乱情勢に突入した。世界大恐慌下での09年8・30総選挙--55年体制の最後的崩壊と支配階級の分裂、政治権力と司法権力が激突し、ブルジョア支配の最後の砦ともいうべき小沢・鳩山政権が崩壊の危機に瀕している。国鉄決戦の爆発が4大産別決戦全体へ発展し、反合・運転保安闘争路線によるランク&ファイルの闘いが職場権力をわがものとする絶好の情勢だ。国鉄決戦と一体で民主党・連合政権を直撃する社保庁攻防を猛然と闘いぬこう。

 1047名闘争に続く525人の歴史的な決起

 社会保険庁の労働者525人は、社保庁解体による1千人の解雇攻撃に対し「退職勧奨」を拒否し「分限免職」を受けて立つ歴史的決起を行った。分限免職処分の撤回を求める人事院「不服申し立て」闘争に、全国ですでに41人の労働者が立ち上がっている。国鉄1047名解雇撤回・JR検修全面外注化阻止の国鉄決戦と一体のものとして、年頭から民主党・連合政権を揺るがす労働者の実力決起が開始されたのである。
 09年5月、社保労働者1千人余りへの「不採用通知」に対して、平口雅明さん(広島・福山社会保険事務所)を先頭とする解雇絶対反対の闘いが始まった。連合、自治労・社保労組本部は、闘争の封殺のために奔走し、「雇用確保」と称して「自主退職と有期・非常勤職員への応募」をゴリ押ししてきた。525人の決起は、当局と労組指導部が一体となった屈服強要をはねのけ、労働者としての怒りの爆発だった。12月28日、全国の社保職場で管理職を総動員して行われた最後通告の恫喝をはねのけ、彼らは辞表を書くことを拒否して決然と立ったのだ。長妻昭厚労相は、戦後の激動期以来の大量免職処分を憔悴(しょうすい)しきった表情で発表せざるをえなくなった。
 社保庁解体=分割・民営化による正規・非正規職2万人余りの全員解雇・選別再雇用として、道州制=公務員360万人首切り攻撃が本格的に開始された。これに対して、国鉄1047名解雇撤回闘争に励まされ、名実ともにそれに続く闘いとして、たった一人の反乱に始まる社保労働者の大量決起が全国の職場で切り開かれていったのである。
 社保労働者の解雇絶対反対の闘いは、国鉄分割・民営化時に匹敵する悪辣(あくらつ)な公務員攻撃に立ち向かい民営化に反対して闘う全国の自治体労働者を鼓舞激励し、国鉄決戦を基軸とする4大産別決戦爆発の突破口として発展している。さらに、525人の解雇撤回の闘いとともに、設立された日本年金機構内の労働者によって労働監獄の現実を打ち破る新たな闘いが開始されようとしている。これは決定的なことだ。大恐慌下の戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃、道州制攻撃に対する労働者階級の勝利の路線、反合・運転保安闘争路線をわがものとし、6千万労働者の総決起を実現する闘いが激しく始まっているのだ。

 解雇反対の闘い押しつぶす社保労組本部打倒を

 日帝ブルジョアジーは歴代政府による巨額の年金資金食いつぶしと財政破綻の責任を「労働組合が強くて働かない」という大ウソで、社保庁と社保労働者の責任にすり替えた。マスコミや捜査当局まで動員し、あたかも社保労働者が「公金横領の犯罪者」であり「解雇がないことをいいことにサボる公務員」であるかのように描き、「年金破綻の罰だ」として社保庁解体=分割・民営化、道州制に対応する全国9地域ブロック化と全員解雇・選別再雇用を強行した。道州制による公務員360万人首切りの本格的開始だ。
 しかし社保労働者の決起は、この悪質な社保庁版「ヤミ・カラキャンペーン」と、それを丸のみして屈服を迫る自治労・社保労組本部の策動を打ち破り、真実を暴きだした。誇り高き労働者の闘いが、社保庁解体の反労働者的本質、戦後年金制度・社会保障制度解体に至る国家的詐欺と強盗行為の全貌(ぜんぼう)、民主党・連合政権の本性を満天下に暴いたのだ。
 社保庁攻防で明らかとなったことは第一に、道州制攻撃の本質は、公務員360万人首切りによる労働者の分断と団結破壊であり、体制内労組指導部の産業報国会運動への完全移行の攻撃であるということだ。80年代に強行された国鉄分割・民営化に続いて「労組解体と改憲・戦争国家をめざす」大攻撃なのだ。
 日本年金機構の業務開始にあたって長妻厚労相は「50年の責任を取れ」「意識改革せよ」「不祥事の過去は申し出よ」と訓示を垂れた。労働者に奴隷の屈従を迫り、「去るも地獄、残るも地獄」の現実を強制し、極限的な労働強化と低賃金化で剰余労働を搾り取ろうというのだ。道州制とは、全公務員労働者の首切り自由化であり、95年日経連プロジェクト報告で打ち出された「9割の非正規雇用化」に行き着く攻撃だ。社保労働者2万人余りにかけられた攻撃はその突破口だ。
 しかし社保労働者はこんな攻撃を絶対に認めない。闘いが巻き起こった瞬間、それは敵の最大の弱点と化す。
 一切は労働組合の問題だ。連合は年金機構設立準備委員会に参加して首切りと労働監獄化を推進してきた。自治労・社保労組本部は在籍専従(ヤミ専従)、パソコン操作の労働安全衛生、ボーナス自主返納、サービス残業などのすべての面で犯罪的な屈服を現場に押しつけた。不採用となった組合員の解雇反対の闘いをつぶすために、不採用組合員を排除したねんきん機構労組を設立、社保労組を解散しようとしている。当局と組合による二重の首切りだ。
 連合中央、自治労・社保労組が労働者の敵であることは完全に明らかとなった。彼らこそレーニンが強調する「階級的団結破壊分子」だ。動労カクマル・松崎明が国鉄分割・民営化時に果たしたファシスト労働運動としての役割を、社保労組内の腐りきった社民党・協会派幹部が担い、喜々として管理職に登用されている。これが国鉄1047名闘争破壊にうごめく戸塚秀夫ら4者4団体派の正体だ。全労働者の階級的怒りで打倒し、職場権力を革命派の手に奪取するときだ。
 社保庁攻防で明らかになったことは第二に、道州制攻撃は、医療・教育の民営化とともに年金制度、戦後社会保障制度の最後的解体であるということだ。
 民営化は「財政危機」と「持続可能な制度設計」「コスト削減・効率化」をキーワードにペテン的暴力的に進められている。しかし大恐慌下で「持続可能な制度」など土台から破綻している。すべては労働者への強搾取・強収奪のための破廉恥な大攻撃だ。
 社保庁解体(2010年1月の日本年金機構設立と2009年10月の全国健康保険協会設立)後、13年には公的年金改革関連法を制定し年金機構を廃止、国税庁と統合し「歳入庁」を設立する構想が政府「税制改正大綱」にも明記された。地域主権戦略会議の工程表では「地方自治法を抜本改正し新たに地方政府基本法を制定」することが打ち出された。「地方自治」の仮象すら投げ捨てたむき出しの支配機構としての「地方政府」だ。これが道州制だ。公的年金制度を解体し、企業負担分をなくしてすべてを税財源化し、道州制下の「地方政府」のもとで大増税を行う。年金支給額の約束をほごにし生活保護水準以下7万円程度の「最低保障年金」への切り替えと民間の個人年金保険への誘導を図る。道州制をもって新自由主義をさらに徹底化し、国家的レベルの詐欺と強奪を行おうということだ。
 この腐りきった最末期資本主義を労働者階級の団結の力、労働組合の力で打ち倒すときである。
 社保庁攻防で明らかになったことは第三に、道州制攻撃との闘いは、大恐慌下で到来した第2次国鉄決戦を基軸とする4大産別決戦で民主党・連合政権を打倒し、日本革命の勝利に至る壮大な闘いであるということだ。
 敵の攻撃は矛盾に満ちている。職場生産点で階級的労働運動路線、反合・運転保安闘争路線で闘いぬくならば、必ずや6千万労働者の総決起を引き出す闘いに発展する。国鉄決戦を基軸とする社保庁攻防はその巨大な突破口である。
 動労千葉の全歴史、23年間にわたる国鉄1047名解雇撤回の闘いと、それに続くわずか半年余りの社保庁攻防がくっきりと示している。革命派が屈しない限り、敵の攻撃の破綻性と不正義性はあらわとなる。いったん労働者の怒りに火がつくや闘いは急速に広がり、革命的大動乱情勢を切り開くことが可能となる。すでに革共同は、労働者階級自己解放の綱領草案と革命戦略、勝利の路線を手にしている。あらゆる闘いは労働組合権力をめぐる党派闘争だ。確信をみなぎらせて労働者階級が革命に勝利する時代を切り開こう。

 今春国鉄決戦と結び社保庁闘争をさらに闘おう

 JR全面外注化阻止決戦の爆発こそ一切の闘いの突破口である。その勝利が号砲となり、民主党・連合政権の瓦解と全労働者の反乱がプロレタリア世界革命の扉を押し開く。国鉄決戦がいかに全社会的な闘いとなるかの度合いに応じて、すべての力関係が決まり、青年労働者を先頭とする闘う団結の拡大が進む。動労千葉の闘いがそうであったように、反合・運転保安闘争路線で階級的団結を打ち固め、無数の職場で組合権力を一気に奪取していく情勢が切り開かれる。
 国鉄決戦が爆発するとき、社保庁攻防は道州制攻撃との最大の激突点となって民主党・連合政権の屋台骨を揺るがし、大失業攻撃にさらされている公務員360万人をはじめとする労働者人民の総反乱を巻き起こすこととなるのだ。
 こうした国鉄決戦と一体のものとして、第一に、社保労働者525人の解雇撤回闘争を巻き起こそう。
 すでに平口さんを先頭に不当な分限免職処分撤回を求める人事院不服申し立て闘争が開始され、新たな社会的大反響を呼び起こしている。解雇撤回闘争を圧殺するための社保労組解散攻撃を許さず、決起した525人とともに闘う労働組合の旗を守り抜こう。
 第二に、525人の解雇撤回闘争と結合し、日本年金機構の職場から労働監獄を打ち破る闘いを巻き起こそう。職場の怒りは煮えたぎっている。奴隷頭の役を果たす連合の労働者支配は崩壊のふちにある。反合・運転保安闘争路線を実践し、闘う労働組合をつくり出そう。労組権力をわがものとしよう。
 第三に、社保庁攻防を全国の自治体労働者を先頭に闘おう。社保庁闘争は、道州制・民営化絶対反対で闘う職場からの総反乱と体制内指導部を打倒し労働組合の再生をかちとる闘いの決定的な水路である。自治労・自治労連傘下の労働者をはじめ全国的支援陣形を作り出し、職場生産点での民営化絶対反対、反合・運転保安闘争路線の闘いと結合して進めよう。青年労働者先頭に徹底的に組織しよう。
 国鉄決戦勝利の2・13大デモをかちとり、自治労本部打倒・鳩山政権打倒へ攻めのぼろう。
 〔大迫達志〕