2010年1月25日

解雇撤回貫く2・13集会へ 検修外注化阻止・JR体制打倒を

週刊『前進』06頁(2424号2面1)(2009/01/25)

解雇撤回貫く2・13集会へ
 民主党・国交省が「年度内解決」策動
 1047名闘争圧殺許すな
 検修外注化阻止・JR体制打倒を

 2・13全国労働者総決起集会は、国鉄1047名解雇撤回を貫き、JR東日本の検修・構内業務全面外注化を粉砕する決定的闘いだ。1月13日、民主党・連合政権の国交副大臣・辻元清美と政務官・三日月大造(JR連合出身)が与党3党(民主党・山下八洲夫、社民党・又市征治、国民新党・自見庄三郎)と会談し、国鉄1047名闘争の「政治解決」を年度末までに目指す方針を打ち出した(NHK報道)。その本質は、大失業時代における労働者の闘いの結集軸である1047名闘争を解体することにある。民主党・連合政権による1047名闘争の圧殺と、これに呼応した4者4団体の「政治解決」策動を絶対に許してはならない。1047名闘争解体策動への怒りを爆発させ、2・13への5千人結集をかちとろう。

 労働者の反乱恐れる鳩山政権

 与党3党と国交省による1047名問題の「年度内解決」策動は、徹頭徹尾、1047名闘争の解体が目的だ。今、民主党・連合政権がやっていることは何か。社会保険庁の労働者525人の分限免職と、1万5700人の日航労働者の解雇だ。360万人の公務員労働者を解雇する道州制への突進だ。その民主党・連合政権が、1047名の解雇撤回など認めるわけがない。彼らの言う「年度内解決」とは、1047名闘争と階級的労働運動を根絶するということだ。
 世界大恐慌の中で、日帝支配階級はかつてない危機に陥っている。小沢と検察との抗争は、支配階級の危機と分裂の現れだ。米軍基地に対する沖縄プロレタリアートの怒りは、日米安保体制を揺さぶっている。55年体制が崩壊した今、もはや自民党の復活はない。この現実の中で、支配階級は統一した軍事・外交政策も経済政策も打ち出せず、断末魔の危機にあえいでいる。
 この危機を突破するために、民主党・連合政権は1047名闘争の解体にのめり込んできたのである。その核心は、動労千葉の解体だ。今や、分限免職に真っ向から対決する社保庁労働者の決起が始まっている。大恐慌下の大量解雇・大失業攻撃に対し、膨大な労働者が1047名闘争に続いて立ち上がってくることに、民主党政権は心底、恐怖しているのだ。
 民主党政権は連合を基盤にしているという点できわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。動労千葉と1047名闘争の存在は、連合の最大の対抗軸となっている。1047名解雇撤回を不屈に貫けば、民主党・連合政権を打倒してプロレタリア革命の勝利を切り開くことができるのだ。
 ところが4者4団体は、民主党に呼応し、自ら解雇撤回を投げ捨てて、勝利の地平を明け渡し、涙金で1047名闘争を終わらせようと策している。それは、全労働者階級の未来をふさぐ歴史的な裏切りだ。
 動労千葉派は、昨年の11・1労働者集会で1047名闘争の主流派となることを宣言した。これをとおして、1047名闘争は、民営化と闘う全世界の労働者の結集軸となった。動労千葉派が切り開いたこの勝利が、1047名闘争をめぐる歴史的決戦を引き寄せたのである。
 2・13集会は、1047名解雇撤回闘争の新たな発展か、その解体かをかけた大決戦になった。1047名解雇撤回をあくまで貫き、国鉄決戦に勝利しよう。

 当局・カクマルが結託し首切り

 1047名の解雇撤回に向かって決定的な事実が明らかになった。昨年12月16日の動労千葉鉄建公団訴訟において、1987年国鉄分割・民営化当時の不当労働行為の実態が、分割・民営化から23年にして初めて国鉄幹部の口から暴かれたのである。証言したのは元国鉄職員局課長補佐・伊藤嘉道(現JR東日本高崎支社長)、87年4月1日に発足したJRの採用候補者名簿作成の実務を取り仕切った人物だ。
 伊藤によれば、87年1月末段階で国鉄のつくった採用候補者名簿には、JR不採用となった動労千葉組合員12人を始め、本州でJR不採用となった職員(計117人)が含まれていたという。それが、国鉄職員局次長の葛西敬之(現JR東海会長)の指示で、名簿から削られたというのだ。
 国鉄分割・民営化を強行した中曽根内閣は86年11月、「国鉄とJRは別法人」と強弁する国鉄改革法を制定し、国鉄がJRに採用すべき者を選定して名簿を作成し、その名簿に登載された者のうち設立委員が採用通知を出した者のみがJRに採用されるという仕組みをつくった。
 この採用候補者名簿から動労千葉の組合員らを排除する攻撃は、国鉄当局と動労カクマルの結託によって強行された。
 動労カクマルは当局と真っ先に「労使共同宣言」を結んで分割・民営化を推進した。このカクマルの悪行により、大量の国鉄職員が「希望退職」を強要された。カクマルは国労組合員だけでなく動労組合員に対してもあらゆる嫌がらせで退職を強いた。この過程で200人を超える国鉄労働者が自殺に追い込まれた。こうして1981年時点で約40万人いた国鉄職員は86年には約24万人に激減した。国鉄分割・民営化の直前にも、大量の「自主退職」者が出た。その結果、JRの定員21万5000人に対し、採用者総数は20万5586人、9414人の定員割れという事態が生じた。87年1月末段階で、本州JR3社とJR四国では定員割れが確実となっていた。
 87年2月2日、動労や鉄労などが合体し、鉄道労連(現JR総連)を結成した。その結成大会では、「国鉄改革に反対する不良職員が採用されかねない。しかし、このようなことは許されるものではない」「改革に努力している職員と努力せず妨害している職員とを区別するのは当然であり、われわれはこのことを強く主張し、具体的な処置を求め、全力をあげて闘う」という「新会社の採用・配属に関する特別決議」が上げられた。"動労千葉や国労の首を切れ"と当局を突き上げたのだ。これが労働組合のすることか!
 この日の午前、杉浦喬也国鉄総裁は記者会見で「(本州では)全員採用の方針」と述べていた。だが、夜に行われた鉄道労連レセプションでは「皆さんの努力に応える」と方針を転換。そして国鉄当局は、採用名簿が決定されたJR設立委員会の直前の2月2日〜7日にかけて、急きょ「過去3年、停職6カ月、または停職2回以上」の不採用基準を当てはめて、該当する者を名簿から排除した。その結果、JRへの採用通知が届いた2月16日には、本州117人を含め7千人を超える労働者の不採用が明らかになった。
 「名簿に載せないと指示したのは、葛西さん」(伊藤証言)。JR東海会長の葛西こそが首切りの張本人だったのだ。
 不採用基準は、処分歴の対象期間を「過去3年」に限定していた。それは、動労カクマルを対象外にし、分割・民営化反対ストライキで処分された動労千葉の組合員などを狙い撃ちにすることが目的だった。動労千葉の解体を頂点とする闘う労働運動の破壊を狙って、国鉄分割・民営化は強行されたのだ。
 これを不当労働行為と言わずに何というのか!伊藤証言が示していることは、不採用は百パーセント無効ということだ。しかも85〜86年の分割・民営化反対ストによる動労千葉組合員28人の公労法解雇は、すでに1997年に国鉄清算事業団が全面的に撤回している。"分割・民営化ストで処分を受けたからJRに不採用"などという理由は通用しない。そもそも、分割・民営化反対の正義のストライキに対し、解雇・停職という大量重処分を出したこと自体が不当きわまるのだ。
 伊藤証言で、国鉄分割・民営化の不正義性はこの上もなく明らかとなった。1047名解雇撤回闘争の正義性は満天下に明らかだ。国鉄当局−JR資本とJR総連カクマルが結託して強行した分割・民営化への怒りを燃え立たせ、解雇撤回の原則を貫き闘えば、1047名闘争の勝利は必ず切り開かれるのだ。

 反合・運転保安闘争で総反撃へ

 1047名闘争の決戦局面が煮詰まると同時に、JR体制を打倒し国鉄分割・民営化に決着をつける闘いが、JR東日本の検修・構内業務全面外注化を阻止する決戦として火を噴いている。
 動労千葉と1047名闘争という階級的団結の拠点を抱えたままでは、もはやJR体制は成り立たない。だからJRは、動労千葉や動労水戸の拠点に狙いを定め、検修業務全面外注化の攻撃に打って出てきたのだ。
 だが、それは矛盾に満ちている。動労千葉の解体を根本的な狙いとして、あらゆる検修職場を対象に外注化を強行すれば、安全はとことん切り捨てられる。JR東日本が行おうとしているのは、鉄道業務を数百の下請け会社に分割するということだ。国鉄をJR7社に分割した87年の分割・民営化の比ではない、すさまじい攻撃を強行しようとしているのだ。職場を奪い、労働者を分断し、非正規職化を推し進める攻撃に、至る所から怒りが噴き出すことは避けられない。
 JR東日本は、JR総連カクマルとの結託体制の清算を見据えつつも、外注化の先兵としてとことんまでカクマルを使い切ろうとしている。他方、カクマルは、傘下の青年労働者を資本のえじきに差し出すことで、卑劣な延命を図ろうと策している。これへの青年労働者の怒りは必ず爆発する。平成採の青年を組織し、JR体制を打倒する時が来たのである。
 それは、動労千葉派が反合・運転保安闘争路線を貫き、安全破壊や事故責任転嫁への現場労働者の根底的な怒りを結集して、JRの労働運動の主流派にのし上がる闘いだ。階級的労働運動の復権をかけたこの闘いには、全労働者階級の命運がかかっている。
 国鉄分割・民営化は、今日の大失業攻撃の出発点になった。以来、分社化と外注化をテコに労働者を低賃金・非正規雇用にたたき込む攻撃が吹き荒れた。例えばNTTは本体3社と347社の子会社に細分化され、労働者は賃金3割カットで子会社に転籍させられた。
 こんな攻撃を全社会にはびこらせたのは、資本の手先となった体制内労組幹部だ。
 他方、動労千葉は、反合理化・運転保安闘争路線のもと、外注化攻撃を阻止してきた。JR東日本は01年以来、保線、電力、信号通信など設備部門の外注化攻撃を仕掛けてきた。そのために、「外注化の推進を約束しなければ定年後の再雇用はない」というシニア協定の締結を各労組に迫った。動労千葉はシニア協定を敢然と拒否した。それは、苦難に満ちた闘いだったが、原則を貫くこの闘いこそが、千葉における検修部門の外注化を阻んできたのだ。その闘いの中で、平成採の青年が動労千葉に結集した。
 この時、国労本部はシニア協定を妥結し国労の拠点である保線職場の大半を外注化によって明け渡し、膨大な国労組合員を出向に追いやった。闘うことなく屈服を深めた国労本部は2000年、「JRに不当労働行為の法的責任はない」とする4党合意を受け入れた。
 だが、1047名闘争を裏切るこの方針に対し、02年の国労5・27臨大闘争がたたきつけられた。この決起は国労本部による弾圧を打ち破り、暴処法適用を粉砕する大勝利を実現した。これは運転士登用差別を打ち破った動労水戸の勝利とともに、労働者が団結して闘えば必ず勝利できることを示している。
 外注化を絶対に阻止し、JR体制を打倒して国鉄分割・民営化以来の新自由主義攻撃を打ち砕こう。反合・運転保安闘争路線を貫いて職場支配権を確立しよう。この闘いの中に1047名闘争勝利の展望がある。勝負は平成採の組織化にかかっている。2・13全国労働者総決起集会の5千人結集へ総力で闘おう。
 〔水森健介〕
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当初は採用名簿に載っていた!
〔87年1月半ば〕 国鉄当局がJR採用候補者名簿作成。動労千葉12人を始め本州で不採用になった117人も名簿に登載
カクマルが「不良職員排除」要求
〔2月2日午前〕 杉浦喬也国鉄総裁、「(本州では)全員採用の方針」表明
〔午後〕 鉄道労連が結成大会で「新会社の採用・配属に関する特別決議」
〔夜〕 鉄道労連レセプションで、杉浦が「皆さんの努力に応える」と表明
葛西の指示で名簿から排除
〔2月冒頭〕 葛西敬之(国鉄職員局次長、現JR東海会長)が「過去3年に停職6カ月、または停職2回以上」に該当する者を名簿から排除するよう指示
〔2月7日〕 国鉄当局がJR設立委員会に、本州117人などを排除した採用候補者名簿を提出
〔2月16日〕 JRに採用される者に「採用通知」届く。不採用者には届かず
〔4月1日〕 本州の117人を含め動労千葉・国労・全動労組合員ら7628人がJR不採用、国鉄清算事業団送り