2009年12月21日

〈焦点〉 普天間先送りと日米危機

週刊『前進』06頁(2421号5面2)(2009/12/21)

〈焦点〉 普天間先送りと日米危機
 破綻深める鳩山外交政策

 鳩山政権は12月15日、米軍普天間飛行場の移設問題で、移設先の決定を当面先送りするという政府決定を米帝に伝えた。鳩山は「辺野古ではない地域を模索する」とも言っている。それに先立つ11日の与党3党首会談では、普天間移設問題の結論先送りと米軍再編の見直し要求を決定していた。
 この間、普天間問題を軸に日米関係で情勢激変的に進展していることは、戦後史上かつてない事態だ。起きていることは、①普天間問題の日米作業部会の停止、②「日米同盟の深化」に関する日米協議の延期、③COP15での日米首脳会談の要請に対する米側からの門前払い、などなどである。
 民主党・連合政権は、戦後の自民党的な日米同盟基軸の関係を壊し、対米対抗性を貫いて、自民党が半世紀かけてもできなかった改憲と戦争国家化を強行するというスタンスで、普天間問題に臨んでいる。「鳩山の迷走」とマスコミは言っているが、むしろ鳩山は「確信犯」的に行動し危機と破綻を深めているのだ。そもそも鳩山が掲げる「緊密で対等な日米同盟」「東アジア共同体」自体が、本質的に帝国主義間争闘戦激化の政策なのである。
 小沢・鳩山は、来年7月の参議院選挙で自民党に圧勝し、戦後的な自民党体制をたたきつぶし、民主党独裁体制を築くことに全力を挙げている。そのためにも、従来の自民党的な安保・外交政策を改変し、対米自立的な姿勢を打ち出している。オバマとの首脳会談が拒否される事態の対極で、露骨に小沢の大訪中団が組織されたように、小沢・鳩山の政策は危機的である。
 もちろん、今日的に日帝・鳩山と米帝オバマを痛撃し、日米安保体制を揺るがしているのは、11・8県民大会2万1000人結集で示された沖縄を先頭とした労働者階級の怒りと闘いだ。しかし鳩山政権は、沖縄県民の怒りに応えようというのでは断じてない。「沖縄県民の気持ち」を自己の対米対抗的政策の道具として使っている。小沢・鳩山と民主党・連合政権の安保・外交政策の基軸には、鳩山が主張してきた「常時駐留なき安保」と「集団的自衛権の一部容認」「自主憲法制定」「自衛軍保持」がある。つまり自民党を超えた改憲・戦争の路線だ。
 しかもこうした超反動的な政策を、連合を基盤に、連合を使ってやろうとしていることに、この政権の特殊な反労働者性がある。
 この間、伊波洋一宜野湾市長が指摘するように、そもそも「海兵隊のグアム移転は司令部中心というのは間違い。沖縄海兵隊の主要な部隊が一体的にグアムに移転する。普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊も含まれる」のである。06年5月の「米軍再編のための日米ロードマップ」や、米太平洋軍司令部の「グアム統合軍事開発計画」には、このことが明記されている。だから「移設先が決まらなければ危険な普天間はそのままになる。それでもいいのか」という「恫喝」は、前提が違っているのだ。
 労働者と労働組合の団結で、戦争・改憲と大失業、生活破壊、労組破壊の民主党・連合政権を打倒し、普天間基地即時閉鎖・実力撤去、辺野古新基地建設絶対阻止を真っ向から掲げて闘おう。