2009年12月14日

大学と教育の民営化粉砕 獄中8学生年内奪還を 革共同中央学生組織委員会

週刊『前進』06頁(2420号4面1)(2009/12/14)

大学と教育の民営化粉砕
 2010年全国学生ストライキへ
 獄中8学生年内奪還を
 勾留続ける東京地裁許すな
 革共同中央学生組織委員会

 東京地検と法大当局による「暴処法」デッチあげの全構造は完全に破綻している。8学生に対する勾留は、これ以上一秒たりとも認められない。労働者・学生の怒りで東京地裁を包囲し、獄中8学生を取り戻そう! 11・1日比谷野音に結集した5850人の団結が、洞口朋子さん(法大文化連盟、全学連副委員長代行)への処分策動を粉砕し、全世界の教育ゼネスト、暴処法弾圧粉砕の勝利を切り開いている。団結して闘えば勝てる。大恐慌の危機にのたうつブルジョアジー・国家権力の憎しみを一身に受けながらも先頭で闘い抜く8人の仲間をただちに取り戻し、2010年「教育の民営化粉砕!」全国学生ストライキを実現しよう!

 暴処法弾圧の全構造が破綻

 東京地裁で12月7日、暴処法弾圧裁判の大きな山場である第5回公判が、傍聴席からあふれる労働者・学生を大結集してかちとられた。
 はっきりしたことは、織田陽介君、新井拓君の冒頭意見をはじめ被告団の圧倒的正義性・獲得性であり、その対極における検察官・岡本、証人として出廷した法大総務部総務課長・小川浩幸のあまりのお粗末さだ。そして、今なお8人の身柄拘束を続ける秋吉淳一郎裁判長の不正義性だ。デッチあげのためだけにデタラメな「証言」を繰り返す小川に対して、被告席と傍聴席から激しい弾劾が浴びせられた。
 証人としては何の価値もないこのような連中を次から次へと呼びつけて「検察側立証」を故意に長引かせることによって、検察はどこまでも8人の勾留を延長しようとし、それに裁判所が「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」などの「理由」をこじつけてお墨付きを与えている。絶対に許すな!
 11月27日の国労5・27臨大闘争弾圧裁判では、闘う国鉄労働者が「暴処法」「共謀」デッチあげを粉砕する歴史的な勝利判決をかちとった。大恐慌と大失業の時代、そして新自由主義と民営化攻撃が労働者階級から職ばかりか誇りと命をも奪おうとしている時代において、「国鉄分割・民営化絶対反対」の階級的原則を貫いて闘う被告7人と1047名解雇撤回闘争の階級的大義が東京地裁を圧倒したのだ。
 この勝利が示したのは、暴処法の唯一の目的は団結破壊と階級闘争圧殺であり、そのためのデッチあげ法だが、労働者階級が完全黙秘・非転向の闘いを貫いて団結を守り抜けば、敵の不当・不正義の弾圧は絶対に打ち破れるということだ。そして法大裁判においても、8学生の一歩も引かない戦闘意志と怒りが、敵を早くもぐらぐらにしている。
 12月3日と9日には、暴処法弾圧と4・24弾圧の8被告の保釈請求が提出された。「立証ならざる立証」に手を貸し、保釈請求を却下し続けて長期勾留に執念を燃やす東京地裁・秋吉裁判長(刑事第1部)と登石郁朗裁判長(刑事第17部)を徹底的に弾劾しよう。5千筆を突破した即時釈放を求める全国声明署名を職場・キャンパス・街頭でさらにガンガン集めよう! 公判傍聴と12・17奪還総決起集会に集まろう! 東京地裁を包囲し、8人を実力で取り戻そう!

 学生が生きていけない現実

 世界大恐慌と対決し、青年・学生は革命をやろう。
 第一に、ブルジョアジーが大学と教育を蹂躙(じゅうりん)し、未来を奪っている。
 民主党・連合政権は「事業仕分け」によって道州制に向かってのファシスト的「国民運動」をつくろうとし、「無駄遣いをなくせ!」なる大キャンペーンで、公務員大量首切りと労働組合破壊に突っ込んできている。
 国立大学法人に配分される運営交付金など大学・教育予算も仕分けで「縮減」「見直し」とされた。これに対し、東京大や慶応大など9大学学長が異例の共同抗議声明を発するなど、支配階級内部での「対立」と分裂も拡大している。日本帝国主義は、もはや「公教育」を保障する気もないし、その能力もなくなっているということだ。
 これまでも運営交付金は、国立大が法人化した04年度から毎年1%ずつ削られ、5年間で約720億円が減らされてきた。私大の一般補助金も、28年間で1大学あたり4割、計1億4千万円が減らされた。
 こうした予算削減と、資本の利潤追求をすべてにおいて優先する民営化攻撃が青年・学生に何をもたらしているか。
 なにより、べらぼうな学費のつり上げだ。物価が2・9倍になった過去30年の間に私立大学の授業料は5・6倍、国立大学は47・2倍に膨らんだ。教育費(入学金や授業料、交通費など)は、学生1人あたり平均で4年間で国立大学507万6千円、私立大学735万8千円だ。
 北海道では今年、授業料の免除や減免、延納を申請する学生が昨年より18%増えた。とりわけ新入生は、昨年比45%も増えた。過去最多の398人が申請した小樽商科大は、「異常な多さ。親の解雇や賃金引き下げを理由に挙げる学生が例年より目立つ」と語っている(北海道新聞6月14日)。そもそも、そうした親を持つ多くの学生が大学進学をあきらめている。また、昨年度は7715人が高い学費を払えずに中退に追い込まれた。
 「3人に1人が借りている」とされる奨学金も、実態は労働者階級としての将来の賃金の差し押さえだ。学部だけでも4年間、高校から借りていた学生は通算7年間、卒業時に300〜800万円という巨額の借金を抱える。しかし、大恐慌は青年層を直撃し、卒業してもまともな働き口などどこにもない。今年の4年生は、10人のうち4人が内定を取れていない。結果、返済滞納額は10年間で倍増し、07年末で約2252億5千万円となった。

 高校も格差と絶望の場所に

 大学だけではない。高校では学区の拡大・解消や学力、親の所得を背景に、学校間格差がつくられ、いわゆる「底辺校」に貧困層の子どもが集中している。
 埼玉のある高校の食堂メニューの売れ筋ナンバーワンは、130円のポテトフライだ。250円のうどん・そばは売れない。「55の次はいくつ?」と聞かれて答えられない生徒が10%いる。九九が完全にできるのは160人中20人。1から100まで数える補習や、軍隊のような行進とラジオ体操の練習が行われている。
 大阪は高校の中退者数も率も全国トップで7457人、全生徒の3・4%が中退している。公立校授業料は全国トップの14万4千円だ。府立校の4人に1人が減免制度を利用する。これは全国平均の3倍にあたる。生徒は生活時間の大半をアルバイトに充てている。
 一方、「エル・ハイスクール」と名づけられた進学エリート校17校が存在する。この「教育格差」を府知事・橋下徹が政策的に拡大してきた。
 私立学校(小中)の子どもの家は年収800万円以上が80%。他方で大阪・東京の子どもの4人に1人は自治体の援助がなければ義務教育もままならない。私立の中学・高校では、08年末時点の授業料滞納率は2・7%だ。経済情勢の悪化で前年の3倍に増えた。
 大学・高校が教育を営利活動として食い物にし、金にならない学生はどんどん締め出されている。未来を生み出すべき教育が、民営化(私物化)のもとで人生まで奪い、学園が絶望を与える場所となっている。
 そして権力者たちは、「国際競争力をつけるために」「国家財政がないから我慢しろ」などといって開き直っているのだ。この逆立ちしきった許しがたい現実を覆し、労働者・学生の手に大学・教育を実力で奪い返そう。

 資本主義を打ち倒し革命を

 第二に、「教育の民営化」への怒りを、歴史的命脈の尽きた資本主義体制を打倒する闘いとして爆発させよう。
 日本帝国主義の体制的危機は日に日に深まっている。09年度の新規国債発行額は過去最大の53・5兆円に達する。これは、「世界一の借金王」と自称した小渕政権当時の37・4兆円の1・4倍だ。しかも、大恐慌のもとで税収も激減し、当初見込みを9・2兆円も下回る36・9兆円へと落ち込む。国債発行が税収を上回るのは終戦直後の1946年以来63年ぶりだ。藤井財務相が記者会見で「きわめて深刻な状況」と表明したが、深刻どころか完全に破産している。
 国家そのものが財政破綻する中にあって、鳩山政権は「事業仕分け」で公務員の首を切り、教育や保育、医療など社会の基盤的分野まで片っ端から削減するという破滅的政策を開始している。こんなものではもはや一つの社会として成り立たない。大恐慌のもとで、ブルジョアジーは一切の解決能力を失っている。
 「社会はブルジョアジーのもとでは、これ以上生きていくことはできない。ブルジョアジーの存在は、もはや社会とはあいいれない」(『共産党宣言』)。唯一、社会と生産に責任をとれるのは団結したプロレタリアートだけだ。「教育の民営化粉砕!」をプロレタリア世界革命のスローガンとしてさらに発展させよう。学生の未来もこの闘いの中にある。

 11・1の地平発展させよう

 第三に、11・1集会の路線と団結こそ、大学・教育を取り戻し、「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」転化する力だ。
 11月集会の力が偉大な地平を生み出している。アメリカ、ドイツ、フランスでは「教育の民営化粉砕!」を掲げた大学ストが労学ゼネストとして闘われている。鉄道労組の民営化反対無期限ストを先頭に、韓国100万人ゼネスト情勢が切り開かれている。闘いの中軸には動労千葉労働運動と国鉄1047名解雇撤回闘争がある。これは、11月集会派がたぐり寄せた情勢だ。
 そして、11月の地平は5・27弾圧裁判勝利判決をたぐり寄せ、法大暴処法弾圧粉砕−8学生即時奪還の道を大きく開いた。動労千葉や動労水戸を先頭にしたJR検修全面外注化阻止の闘いは、分割・民営化攻撃を根幹の部分で打ち砕き、国鉄決戦が再び日本階級闘争の最前面に躍り出る決定的なチャンスだ。
 この2009年の勝利を最後に確定づけ、巨大な2010年決戦の導火線となるものこそ、世界・日本の学生運動のリーダーである8学生の奪還だ。
 法大闘争と全国大学キャンパスにおける自治攻防を闘いぬき、2010年「教育の民営化粉砕!」全国学生ストライキへ!