米欧の大学にストとデモの嵐 巨大な学生反乱の時代始まる
米欧の大学にストとデモの嵐
教育の民営化に怒り大爆発
巨大な学生反乱の時代始まる
世界中の大学で学生と労働者の大反乱が始まった。11月、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカ、そして日本で激しく展開されたストライキ・デモ・キャンパス占拠は世界革命の時代の到来を告げている。この闘いは、全世界で進められている教育の民営化に対する反撃だ。さらに国際的な連帯を求め、団結を固めながら闘われている。法政大学の闘いと完全にひとつの闘いだ。アメリカとヨーロッパの闘いを紹介します。(編集局)
アメリカ 労働者と学生が一体 カリフォルニア大10校で
授業料を3割も大幅値上げ
11月18日、カリフォルニア大学は、州内の10のキャンパスすべてで労働者・学生が3日間スト、授業ボイコットに突入した。今回のストの主力となったのはUPTE(大学専門職・技術職労組)だ。UPTEは、18日午前5時から建設現場でピケを開始、7時15分から各キャンパス入口でもピケを張り、3日間ストライキに突入した。不当労働行為、解雇、賃下げ反対の9月24日のストに続く第2波だ。
UPTEだけでなくAFSCME3299(アメリカ州郡市職員連盟第3299支部。大学の清掃・営繕・守衛・食堂・看護助手・介護等の労働者の組合)もバスを仕立ててカリフォルニア全州からロサンゼルスに組合員を動員した。
最重点校のロサンゼルス校では、スト2日目の19日からキャンパス中央にテント村をつくり、全州から集まった学生・労働者の結集点にした。
18日、労働者、学生は理事会会場内と建物の前で激しい阻止行動に決起した。ユードフ総長の大学予算案と授業料値上げ案の提起は、弾劾の声で中断された。会場の外では、フル装備の機動隊の大部隊と労働者・学生が対峙し、14人が逮捕された。
この弾劾の声の中で、カリフォルニア大学理事会の財務委員会は、授業料値上げ案を可決した。2010年秋までに2段階で、全学生平均で32%(2500㌦)値上げするという。学部生の授業料は、2010年1月に585㌦、同年秋に1344㌦上げて、1万302㌦にする。それにキャンパス費用として約1000㌦が必要になる。さらに、部屋代、食費、教科書代など約1万6千㌦も必要だ。
この値上げ案は19日、数千人の労働者・学生がキャンパス内の建物や市内の道路・交差点を占拠して弾劾する嵐の中、理事総会で可決された。
またサンタクルス校では、UPTEのスト突入とともに、学生が連帯して集会・デモ・占拠闘争を行い、各校門でピケットを張って授業を閉講に追い込んだ。バークレー校でも座り込みと集会・デモ・占拠闘争が闘われ、41人が逮捕された。
サンフランシスコ州立大学は、カリフォルニア大学とは別系列の大学だが、分断を乗り越え連帯闘争に決起し、事務棟で学生が座りこんだ。
教育を労働者と学生の手に
カリフォルニアの労働者・学生を勇気づけたのは、16〜17日のイリノイ州の大学院生の2日間ストの勝利だ。イリノイ大学では学部の講義の23%が院生によって行われている。この院生の学部での労働に対する賃上げ、医療保険の大学側負担割合の増加、大学院授業料の免除撤廃計画の中止要求がほぼ認められた。千人以上の院生がピケットに立ち、数百の授業を閉講に追い込んだ団結力の勝利だ。
もうひとつ勇気づけたのは、ドイツの全国大学ストライキだ。教育を労働者と学生の手に奪い返すための巨大な決起が、今や国境を越えて始まった。
欧州 独60都市で8万8000人 “教育は売り物じゃない”
17日、ドイツをはじめヨーロッパ諸国で、欧州統一教育改革(ボローニャプロセス)反対、授業料無料化、奨学金の増額などを要求し、学生が一斉ストと街頭デモに決起した。
ボローニャプロセスとは、資本の「労働市場」に対する要求に合わせて、学修過程と学位の構造をヨーロッパ共通のものにしていこうとするものである。
ドイツでは8万5千人の学生・生徒・教育労働者らがデモに立ち上がった。この日に抗議行動が行われたのは、ベルリン、ハイデルベルク、ミュンヘンなど60都市にものぼる。1万5千人が参加したベルリンのデモでは、「教育ストからゼネストへ!」の旗が多く掲げられた。
ハイデルベルク大学では、学生が17日のスト前段の学内総決起集会の会場から立ち去らず、そのまま教室や講堂に泊り込み、占拠体制に入った。18日にはミュンスター大学、19日にはダルムシュタット工科大学でも同様の闘いが行われた。
この日の闘いは「教育は売り物じゃない」を共同スローガンとする、学生の「全世界的な行動日」として設定された。ヨーロッパではドイツ、イタリア、フランス、オーストリア、スイスなどで取り組みが行われた。そのほか、アメリカ、インドネシア、バングラデシュ、西アフリカのシエラレオネでも、学生の様々な行動が闘われた。
ウィーン大学でも講堂占拠
デモを組織した「教育スト2009」という闘争委員会は「2009年教育ストの呼びかけ」で次のように言っている。
「教育をめぐる現状と動向はもはやがまんできるものではない。全世界で構造改革が進められているが、それはけっして公共の利益のために行われているのではない。いわゆる市場原理に委ねられているのだ。この数年間、教育制度はそうした『改革』の焦点になっている。学費値上げと教育の民営化はわれわれ全員を苦しめている」「だから、われわれの運動はドイツに限られるものではない。われわれは『熱い秋』の始まりとして11月17日を『全世界的な行動日』として呼びかける」
ヨーロッパで闘いの中心になったのはドイツとイタリアだ。ドイツでは、6月27日に27万人が参加する大規模な抗議行動が闘われたが、闘いは一時沈静化したかに見えた。それに再び火をつけたのは隣国オーストリアでの決起だった。10月後半からストが行われ、ウィーン大学の大講堂が占拠された。ドイツの学生たちはその様子をインターネットで知って強烈なインパクトを受け、全国一斉スト開始日以前からストや占拠闘争に次々と決起していった。