〈焦点〉 「10%」突破した米失業率
〈焦点〉 「10%」突破した米失業率
銀行破綻も底なしで急増
1929年10月24日のニューヨーク証券取引所の株価大暴落を端緒として世界経済を破滅にたたき込み、第2次世界大戦にまで行き着いたかつての世界大恐慌。それをも上回る新たな大恐慌が、現在激しく進行し、「二番底」への転落も不可避となりつつある。
現在の大恐慌の震源地であるアメリカでは、オバマ政権やブルジョアジーの「底を打った」などという希望的観測とは裏腹に、米帝経済の破局的危機はむしろ一層激化している。それを端的に示しているのが、米失業率の10%突破であり、米商業金融ノンバンク大手CITグループの破綻と地方銀行の倒産の激増だ。
米労働省が6日発表した10月の雇用統計によると、失業率は10%台を突破し、10・2%と9月より0・4ポイント上昇した。1983年4月(10・2%)以来、26年半ぶりの高水準に達した。非農業部門の雇用者数の減少は22カ月連続で、景気後退が始まった2007年12月以降、計730万人もの労働者が職を失った計算になる。しかも16歳から19歳の若年失業率は、27・6%と危機的水準だ。
だがこれらの数字は、求職活動をあきらめた就業希望者などは失業者に計上しない「狭義の失業率」でしかない。過去1年間に一度でも求職活動をした人やフルタイムの仕事を探しているパートタイム労働者まで含めた「広義の失業率」でみると、10月の失業率はなんと17・5%にも上る。かつての大恐慌時の失業率は25%に達した。まさに、1929年〜30年代の危機が再現されつつあるのだ。
11月1日、CITグループは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し破綻した。負債総額は約6兆円で、今年6月に破綻した自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぐ米史上5番目の大型破綻となった。その3日前には、商業用不動産金融 「キャップマーク・フィナンシャル」 が約2兆円の負債を抱えて同じく破綻、そのほかにも数百億円規模の企業がバタバタ倒れている。
さらに今年になってから地方銀行の破綻が相次いでいる。13日には、米連邦預金保険公社(FDIC)が地銀3行を業務停止とした。これで今年に入り破綻した銀行は123行となった。昨年1年間の破綻数26行に比してすさまじい激増ぶりだ。これらの地方銀行は大手銀と違ってFRB(米連邦準備制度理事会)に差し出す担保が残っていないために救済を受けられず、預金者が預金を引き出し始めるや、たちまち資金繰り難で倒産するケースが続出している。米帝経済の根幹をなす金融システムは周辺からも崩壊を始めており、その一方で財政赤字が天文学的に膨張し、ドル大暴落も避けられない情勢だ。
現在、大恐慌対策として米帝など各国政府や中央銀行が膨大な財政投入を続けている。それで大企業・大銀行がなんとか延命する一方、膨大な過剰マネーが市場にあふれ、それが株価を押し上げ、原油や金価格を上昇させ、再びバブル経済の様相すら呈している。これがはじけた時、世界経済はさらに深刻な奈落に転落する。「大恐慌を世界革命へ」の闘いはまさに待ったなしだ。