2009年11月23日

不採用者排除し新労組結成策す 自治労社保労組

週刊『前進』06頁(2417号3面1)(2009/11/23)

不採用者排除し新労組結成策す
 自治労社保労組 JR総連と同罪の大裏切り

 自治労全国社保労組は、日本年金機構への採用を拒否された組合員を排除して、11月29日に「日本年金機構労組」の結成大会を開こうとしている。社保労組幹部は、年金機構設立委員会から不採用を通告された組合員を、労組からも切り捨てる歴史的暴挙に手を染めようとしているのだ。
 民主党・連合政権は、来年1月1日の日本年金機構の発足を前に、12月28日には非正規職の約1万人の社保労働者を雇い止めにし、12月31日には不採用とされた正規職員に分限免職の攻撃を振り下ろそうと構えている。この攻撃の中に、民主党・連合政権の階級的正体は明らかだ。
 民主党は、社会保険庁を解体するという自公政権の方針を見直すかのような甘言を弄(ろう)して政権の座に着いた。しかし、それは完全に裏切られた。長妻厚労相は10月8日、連合大会と同時に開かれた日本年金機構設立委員会で同機構の発足を発表し、連合大会の席上、新会長の古賀伸明(年金機構設立委員)も、これを認める姿勢を示した。そして10月23日、長妻厚労相は、自公政権の方針を踏襲し、懲戒処分歴のある職員は年金機構に採用しないと表明した。
 連合幹部を取り込んで労働組合の抵抗を封じ、公務員労働者への大首切りを強行することこそ、民主党政権がやろうとしていることだ。社保庁解体の攻撃は、道州制導入=公務員360万人首切り・選別再雇用の突破口そのものである。
 ここ数年来の社保庁解体攻撃に対し、社保労組幹部は無抵抗を決め込んで組合員を当局の攻撃にさらしてきた。そして、ついに彼らは、鳩山・小沢・長妻らとともに労働者の首切りの共犯者に転落したのだ。
 あらかじめ不採用者を排除した新労組は、労働組合の名に値しない。これは、年金機構に採用された労働者に対しても、新労組が奴隷的労働を強いる当局の先兵として現れてくるということだ。
 社保労組の執行部は、社会主義協会派によって押さえられてきた。彼らは「年金機構への円滑な移行」を唱え、長時間残業や休日出勤の強制を伴う監獄的労働に社保労働者を駆り立ててきた。その報償として、懲戒処分歴を理由に年金機構への採用を拒否された780人のうち、組合幹部ら約300人が厚労省に採用されることになった。
 これを見越して、社保労組幹部は1千人の分限免職容認へ公然とかじを切ったのだ。まさにそれは、協会派がその党派的延命のために、社保労働者の首を当局に差し出したということだ。
 当局と社保労組幹部は、国鉄1047名闘争に続いて社保労働者1千人が首切り絶対反対の闘いに立ち、その闘いが永続化することを恐れ、労働者の決起を圧殺しようと必死になっている。
 採用応募者に屈辱的な「誓約書」の提出を強制する当局の攻撃や、不採用者から団結の場を奪い去る社保労組幹部の仕打ちはすべて、解雇撤回闘争を事前に圧殺することが目的だ。だが、そこに当局と体制内派の破綻点がある。

 カクマルに学び当局の手先に

 不採用者を排除しての新労組結成の策動は、国鉄分割・民営化時の動労カクマルの裏切りに匹敵する反階級的大罪だ。
 国鉄分割・民営化を直前にした1987年2月、動労本部は鉄労と野合して鉄道労連(後にJR総連)を結成した。その結成大会で、JR総連は「国鉄改革を妨害する不良職員はJRに採用するな」という特別決議を上げた。これに基づき、国鉄当局は組合活動により処分された国労や動労千葉の組合員をJR不採用とした。
 社保労組を牛耳る協会派は、1047名闘争への最悪の敵対者となってきたJR総連カクマルと同じ道を自覚的にたどろうとしている。戸塚秀夫や樋口篤三とともに、協会派代表代行の山崎耕一郎がカクマル松崎明の反革命的復権運動に乗り出したことも、社保庁解体=1千人解雇の先兵に転じた協会派の反動的決断と軌を一にしている。
 だが、こんな恥知らずな裏切りが黙認されるほど階級闘争は甘くない。
 社保労組幹部が手本とするJR総連カクマルは、動労千葉の不屈の闘いと、それを基軸とする1047名闘争の持続的展開によって決定的に追いつめられている。JR総連とJR資本との結託体制は崩壊寸前にたたき込まれ、JRへの労働者の怒りが噴出し始めた。
 こうした中でカクマル松崎は、JR東日本の検修部門全面外注化の最先兵になることによって延命しようと策している。だが、この攻撃は、JR体制もろともJR総連カクマルを打倒する労働者の総決起を引き出さずにはおかない。
 何よりも11・1労働者集会が1047名解雇撤回を基軸に打ち抜かれ、動労千葉派が1047名闘争の主流派として躍り出たことは決定的だ。それは、全労働者の力でJR体制とJR総連を打倒し、国鉄分割・民営化に決着をつける時が来たことを意味している。
 不採用を通告された社保労働者も、その戦列を担う誇り高い存在として鮮やかに登場した。
 その時に、二十数年遅れでJR総連に続こうとしているのが社保労組幹部だ。その浅はかな思惑は必ず破産する。
 不採用者を切り捨てた新労組結成を許すな。大恐慌情勢下、解雇撤回の闘いは至る所から巻き起こる。今こそ決然と名乗りを上げ、団結を固めて闘いに立とう。社保庁解体=1千人解雇絶対反対の闘いを不屈に貫こう。