JR東日本 検修業務の全面外注化粉砕へ
JR東日本 検修業務の全面外注化粉砕へ
全職場で動労千葉型の反合闘争を
強制出向で職場分断、団結破壊
JR東日本が提案してきた検査・修繕業務の全面外注化は、かつてなく凶暴な大合理化攻撃だ。JR東日本は検修業務をグループ会社に「一括して委託する」とし、「腹をくくってやる」「若年出向も含めてやる」と宣言している。強行されれば、今検修で働いている大多数の労働者が強制出向に駆りたてられる。
これは、青年運転士に対する「ライフサイクル」攻撃とともに、「グループ経営ビジョン2020—挑む—」の本体をなす攻撃だ。JR資本は、民主党・連合政権のもと、自民党政権下ではできなかった全面的攻撃に踏み込んだのだ。
会社は、「エルダー社員の技術力・ノウハウを活かせる仕事場(出向先)を拡大するため」「65歳まで安心して働いてもらう受け皿」と説明しているが、完全なペテンだ。それは、01年に強行された保線・電力・信号通信など施設職場の一括外注化をみれば明らかだ。JR東は3300人分の業務を外注化したが、外注先企業で配置された要員は2451人に過ぎなかった。850人分もの雇用が失われた。
結局、人件費をさらに削り、出向の脅しで職場の団結を破壊することが狙いなのだ。そのためだったら安全運行の生命線である検修業務まで丸ごと放り出すというのだ。
その最大の核心が、動労千葉の幕張車両センター、動労水戸の勝田車両センターという両拠点の破壊、国労共闘の破壊にあることは明らかだ。
しかしこれは、動労千葉を先頭とする外注化阻止闘争に追い詰められた中で出されてきた攻撃であり、矛盾と破綻点に満ちている。徹底して人員を削減し、新たな要員養成を怠ってきた結果、JRのあらゆる職場で要員がパンクし、大量退職期を迎える中でその矛盾は抜き差しならないものとなっている。検修全面外注化との闘いは、破綻をきわめるJR体制の危機を促進し、JR体制打倒をたぐり寄せる決戦だ。
シニア制度粉砕の決定的な地平
8年間にわたって外注化を阻止してきた動労千葉の職場闘争は、その勝利の指針を示している。
JR東日本での本格的な業務外注化は、2000年に打ち出された中期経営計画「ニューフロンティア21」から始まった。これは「4党合意」(00年5月)を始めとする1047名闘争解体攻撃と一体であり、動労千葉を解体し、国労本部を最後的に屈服させ、国鉄労働運動の絶滅を狙う大攻撃だった。動労千葉はこれを「第2の分割・民営化攻撃」ととらえ、総力で対決してきた。
最大の焦点はシニア制度(再雇用機会提供制度)との闘いだった。JR東日本は、外注化と定年後の再雇用とを抱き合わせにし、「組合が外注化を積極的に推進する協定を結ばなかったら、その組合の組合員の再雇用を拒否する」という卑劣きわまりない攻撃を加えてきた。JR東労組はシニア協定を率先して妥結し「第2の雇用安定協約だ」「東労組の組合員以外は再雇用されない」と大宣伝し他労組に揺さぶりをかけた。国労本部もシニア協定を締結した。
他方、動労千葉は”こんな協定を認めたら労働組合として終わりだ”と腹をくくってシニア協定の締結を拒否した。しかし、これは生半可な闘いではなかった。定年間近の組合員と執行部が連日話し込んだ。「子どもが大学に行っていて、再就職できなければ生活していけない」。切実な現実と向き合い、退職後の職場を確保するために執行部が東奔西走した。
幕張支部には01年12月、支部の中心を担っていた長田敏之・本部組織部長(当時。現本部書記長)、繁沢敬一・本部副委員長に対する強制配転攻撃が加えられた。あまりに露骨な組織破壊に組合員の怒りが爆発した。幕張支部は、現場管理者への徹底追及、休日勤務や超過勤務の拒否、仕事を実力で遅らせる順法闘争、指名ストなど縦横無尽の職場闘争を展開。同時に、シニア制度を巡る討論を重ねる中で団結を打ち固めていった。
動労千葉がシニア制度と闘い抜いて検修外注化を阻み続ける中で、検修職場の要員が足りなくなった。その結果、04年から05年にかけて、駅などに強制配転され続けてきた14人の組合員の運転職場への復帰をかちとり、06年度にはシニア制度そのものを粉砕する決定的勝利を切り開いた。
田中康宏委員長はこの過程を振り返って「どんなに厳しい攻撃でも、はね返す力は現場にある」「展望というのは始めからあるわけじゃない。原則を曲げずに必死で闘う中からつかみとっていくものだ」(『俺たちは鉄路に生きる3』)と総括している。このシニア制度との闘いこそ、8年間にわたって千葉での検修外注化を阻み、組織拡大闘争の前進を切り開く決定的土台となった。
そして、この間の幕張支部に対する支部役員強制配転を始めとする激しい組織破壊攻撃は、この力関係を転覆し、検修を全面外注化するための攻撃であることが完全に明らかになった。
1047名闘争と一体の大決戦
検修業務の全面外注化との闘いは、動労千葉型の反合理化闘争を全国鉄職場に押し広げる闘いだ。”労働と生活、団結の拠点を明け渡せ”と迫るJR資本への怒り、外注化提案に合意を与え会社と一緒になって組合員を出向に追いやるJR東労組カクマルに対する現場労働者の怒りが、かつてない規模で燃え広がることは間違いない。とりわけ青年国鉄労働者にとっては、ライフサイクルとともに、未来を根こそぎ奪う大問題だ。
全面外注化の開始予定とされる来年4月までの過程は、1047名闘争の最後的解体策動との一大攻防過程となる。1047名闘争、国労5・27弾圧粉砕と一体で、検修全面外注化阻止の闘いに総力で突入しよう。
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検修業務外注化提案の内容
「グループ会社と一体になった業務体制のさらなる推進」について
〈委託する業務〉
▽車輌センター、総合車輌センター等
①仕業検査業務
②機動班業務
③駅派出業務(首都圏のホーム検査を専門に行う駅派出は除く)
④信号業務(本線に係わらない車輌センター等の構内に限る)
⑤ホームでの分割・併合業務
⑥資材、倉庫関係業務(新幹線車輌に係わる業務を含む)
※委託については業務全体を「一括して委託」するとしている
▽総合車輌センター
①構内車輌移動(入換機関車による入換、トラバーサによる車輌移動等)
②在来線車輌のパンタブラフ修繕
③空気圧縮機修繕
④塗装
〈実施時期〉
2010年4月1日以降。
具体的には各支社において実施する。