〈焦点〉通年国会や官僚答弁禁止
〈焦点〉通年国会や官僚答弁禁止
21世紀臨調が小沢に提言
民主党・連合政権は、自民党政治への労働者人民の怒りを逆手にとってさまざまなペテン的幻想を振りまきながら、自民党もできなかった戦争国家への反動的大転換を強行しようとしている。
10月26日の所信表明演説で鳩山は、「戦後行政の大掃除」「無血の平成維新」をやると述べた。それは1980年代の中曽根の「戦後政治の総決算」をも超える国家大改造=戦争国家化を行うという決意表明である。中曽根は国鉄労働者20万人の首切りを強行したが、鳩山政権は社会保険庁1千人、日航1万3千人の首切りから、さらに道州制・民営化で公務員360万人の全員解雇—選別再雇用を強行しようとしている。
この鳩山政権の国家大改造の一環として、「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)は4日、小沢の依頼を受け「国会審議活性化等に関する緊急提言」を発表した。提言の核心は、①法案審議における「官僚答弁の禁止」であり、②国会法が定める150日という会期制限や「会期不継続の原則」を撤廃し「通年国会」を実現することである。
これは衆参両院での過半数確保を前提に、国会の会期に縛られることなく反動法案を成立させる体制を狙うものである。日帝支配階級はもはや議会制民主主義的なやり方では支配できなくなり、大恐慌と世界戦争の時代に、争闘戦の激化に対応できる強権的独裁体制をつくろうとしている。
同じ4日、平野博文官房長官は、鳩山政権は憲法解釈について「内閣法制局長官の過去の答弁に縛られない」「憲法9条などの解釈は、今後内閣が政治判断で行う」と表明した。鳩山も「法制局長官の考え方を金科玉条にするのはおかしい」と述べた。
これは21世紀臨調の提言と一体の重大攻撃だ。直接には小沢・鳩山らは「集団的自衛権」を合憲とし、自衛隊を国連軍に参加させることを狙っているのだ。
民主党幹事長・小沢の持論は、「自衛隊が国連待機軍として国連の要請に応じて出動し、国連の指揮下に入ることは、なんら憲法に違反しない」(『日本改造計画』1993年)というもの。ところが、内閣法制局は「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」「自衛隊の国連軍参加は、武力行使を伴うものであれば許されない」としてきた。かつて小沢が自民党幹事長だった1990年当時、湾岸戦争に自衛隊を派兵するため「国連平和協力法」を制定しようとしたが、内閣法制局長官が「不可能」との立場をとり、廃案になった経緯がある。
ここに明らかなように、小沢と鳩山は、内閣法制局長官(官僚)の国会答弁を禁止し、首相の独断で自衛隊の国連軍参加を合憲とし、アフガン派兵もテコに自衛隊の本格的な海外派兵—侵略戦争参戦に突き進もうとしているのだ。
「緊密で対等な日米同盟関係」「東アジア共同体」構想は、日米争闘戦の激化を前提としながら対米対抗的に仕掛けている、歴史を画する戦争政治である。連合中央はこの小沢・鳩山の戦争政治、さらには大失業の攻撃に労働者を屈服させようとしている。一切の民主党幻想と美化論を粉砕し、民主党・連合政権打倒へ闘おう。