2009年11月12日

戦争・大失業の攻撃強める民主党・連合政権を倒せ

週刊『前進』08頁(2414号5面1)(2009/11/12)

戦争・大失業の攻撃強める民主党・連合政権を倒せ

 安保・外交 「対等な日米同盟」「東アジア共同体」
 日米争闘戦の激化と戦争

 民主党・連合政権は、自民党支配を打倒した労働者階級の帝国主義打倒に至るまでやむことのない怒りに震えあがり、本質的に革命を抑え込むために登場した資本主義救済政権だ。そのために帝国主義労働運動の連合幹部を政権に取り込み、戦争と改憲、大失業(大量解雇と賃下げ)の攻撃を強める危機的なブルジョア政権だ。

 日帝の生命線的な要求

 鳩山由紀夫首相は安保・外交政策について、「緊密で対等な日米同盟」と「東アジア共同体」構想を2本柱にしているが、この日米軍事同盟強化と東アジア共同体構想こそは、日帝ブルジョアジーの資本家的利害を体現した帝国主義的な侵略戦争・世界戦争の政策であり、自民党政権以上に反動的・反革命的な軍事・外交政策である。
 もともと「東アジア共同体」構想は、「極東の番犬帝国主義」として歴史的に出発した日帝ブルジョアジーにつきまとった「生命線」的要求である。当時の小泉首相も02年に提唱していた。日本経団連は、03年1月に当時の奥田会長が「東アジア自由貿易圏」構想を打ち出しており、先日の10月20日には「危機を乗り越え、アジアから世界経済の成長を切り拓く」なる提言をまたぞろ発表し、東アジア経済共同体構想を再確認している。
 鳩山の「東アジア共同体」構想は、世界大恐慌のもとで、保護主義が吹き荒れ、資源・市場をめぐって帝国主義間争闘戦が激化している最中に、日帝の基本的外交政策として大々的に打ち出されたことに重大性がある。
 9月初めに岡田克也外相が「東アジア共同体」の参加国について、「米国は加えない」と米排除を露骨に発言。また10月10日の日中韓首脳会議で、鳩山は「日本は今までややもすると米国に依存しすぎていた。日米同盟も大事だがアジアの一員としてアジアをもっと重視する政策をつくりあげていきたい」と日米同盟の重大性を確認した上で「アジア重視」の姿勢を示した。
 これに対して10月14日、米国のカート・キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が「アジアにおける主導的な枠組みは確定していない。いずれにしろ米国をカヤの外に置くべきではない」と激甚に反発した。
 他方、オバマ米大統領は、9月25日のG20首脳会議(金融サミット)で、米帝の経済的没落を認め、世界経済の牽引車としての役割放棄の承認を求めると同時に、中国と組んでG20をG8(G7プラスロシア)を超える「最上級の会合」に格上げする地ならしをした。これは明らかに日欧に対する蹴落とし作戦だ。そして10月4日のG7で「米中主導」とも言うべきG4(米中EU日)を提唱した。
 世界大恐慌の爆発によって世界経済の巨大な地殻変動が起きている。ドル基軸体制の崩壊が時間の問題という事態を前にして、米帝が中国を取り込む形で対日欧の争闘戦を強烈に展開して自らのヘゲモニーを貫徹しようとする構図となっている。
 鳩山の「東アジア共同体」構想は、こうした米帝の対日欧争闘戦からの必死の脱出策動であり、中韓を取り込んだ東アジアの勢力圏化を狙ったきわめて帝国主義的なあがきである。
 具体的には、ドル基軸体制に対抗する「アジア共通通貨」の実現であり、米帝を排除した「円経済圏」確立への野望である。これは本質的に戦前の「大東亜共栄圏」そのものだ。
 しかしこれは米帝と完全に激突するものであり、日米争闘戦の激化を不可避とするものだ。さらに今やGDPにおいて日本を抜いて世界第2位になろうとする「新興大国」中国とも激突は不可避である。要するに、「東アジア共同体」構想は、日帝が延命するためには絶対の課題であるが、それを実現するためには高いハードルがいくつもある。
 何よりも戦後長きにわたる日米同盟が、アジアと世界において日帝が帝国主義国として存立する上で絶対的な基盤になっているということだ。「最弱の環」日帝は絶望的危機にある。
 日帝にとって、とりあえずは日米同盟の強化を果たしつつ、対米争闘戦を構え、改憲による戦争国家化を貫徹することが前提だ。改憲、道州制・民営化攻撃で労働者階級を制圧することなしに対米争闘戦も無理だ。しかしここには国鉄1047名闘争を始めとする闘う労働運動の対抗基軸が存在する。

 小沢の「国連中心主義」

 そもそも鳩山政権の安保・外交政策の基本は小沢の「国連中心主義」にある。民主党・連合政権は、鳩山・小沢政権でもあるのだ。
 小沢一郎は今年2月24日、在日米軍再編に関連し「米国もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンス(存在)は第7艦隊で十分だ」と述べ、米帝にショックを与えた。また、「あとは日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う」とし、政権交代した場合、国連活動への協力などをつうじて在日米軍基地の整理、縮小に取り組む考えも示唆した。
 要するに、小沢は、自民党のように米帝の要求に基本的に全部応えるというスタンスではなく、日帝ブルジョアジーの利害を貫くためには、日帝自らの世界戦略を持ち、軍事力を増大し、対米対抗的にいくべきだと主張しているのだ。これが「対等な日米同盟」の内容だ。つまり小沢は、世界大恐慌情勢、帝国主義間争闘戦の激化、侵略戦争、世界戦争に対応した日帝への飛躍を主張している。民主党政権は自民党以上の帝国主義的な侵略戦争・世界戦争政権なのだ。
 鳩山の沖縄・普天間基地県外移設の方針は小沢路線に基づくものだ。鳩山は、普天間基地移転での米帝の大幅譲歩をアフガニスタン支援と取引できると踏んでいた。「改革派」のオバマならそれが可能と思い込んでいた。
 しかし10月20日に来日したゲーツ米国防長官は、「アフガニスタンと普天間はセットにならない」と断言し、普天間基地の名護市辺野古への移設が唯一の選択肢だとして鳩山に迫った。
 オバマは「東アジア共同体構想」粉砕と同時に、普天間県外移設の鳩山案を粉砕する態度を露骨に示した。このゲーツのすさまじい恫喝に屈した岡田と北沢は、早々と白旗を掲げた。
 しかし選挙前から「普天間基地県外移設」を掲げ、このスローガンで沖縄で野党が全議席独占の圧勝をかちえた手前、簡単には降ろせない。そんなことをすれば政権の危機に転化する。
 しかし米帝は、対米対抗性を持って「東アジア共同体」や「米軍基地の整理・縮小」を掲げる鳩山民主党政権をたたきつぶさんばかりの態度だ。
 鳩山は今、沖縄人民への恥ずべき裏切りのタイミングを計っている。しかし沖縄の怒りは鳩山が県外移設をバラ色の夢のように語っただけ激しい。11・8沖縄県民大会で米軍基地に対する長年積もりに積もった怒りが大爆発しようとしている。はっきりしていることは、鳩山に何ら決定権などなく、名護新基地建設は沖縄の人民が絶対に許さないということだ。
 さらに小沢は、かねてからの国連中心主義の立場からアフガニスタンのISAF(国際治安支援部隊)への自衛隊派遣を提言していた。この立場からインド洋でのアフガニスタン侵略戦争支援の給油活動にも反対していた。
 「私は、日本国憲法の考え方からいって、米国であれどの国であれ、その国の自衛権の行使に日本が軍を派遣して協力することは許されないと解釈しています。同時に、国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致するという考えに立っています」「今日のアフガンについては、私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したいと思っています」

 「官僚答弁禁止」の狙い

 さらにここで重大なことは、10月7日に小沢が記者会見で、国会で政府の憲法解釈を示してきた内閣法制局長官の答弁を今後禁止するとしたことだ。法制局長官を含む「官僚の答弁禁止」の国会法改悪案が国会に提出されている。これが通れば首相や官房長官が政府の憲法解釈を示すことになる。小沢の「国連中心主義」に基づく憲法解釈論が政府の憲法解釈となる。自衛隊のアフガニスタン(ISAF)派兵が合意される。小沢民主党の独裁政治だ。
 しかしこの改憲・戦争、道州制・民営化・労組破壊と侵略戦争・世界戦争の攻撃に対して、国鉄1047名闘争を基軸とする4大産別の労働者が立ちはだかって大決戦を闘っていく。民主党・社民党・連合指導部の裏切りを職場からの決起で粉砕して職場で、街頭で、総決起していく。世界大恐慌下の戦争と大失業が渦巻く革命情勢を、体制内労働運動を打倒し、革命へと転化する時が来たのだ。

 連合 国鉄分割・民営化と総評解体で発足
 松崎“対案戦略”粉砕せよ

 最末期帝国主義の危機が1929年を超える世界大恐慌として爆発する中で、資本主義の存続を前提にしてきた一切の潮流は破綻し、日本階級闘争は大流動を開始している。連合こそ民主党政権の支持基盤であり最弱点だ。連合ダラ幹どもを打倒して鳩山政権打倒に攻め上ろう。
 戸塚・樋口を先兵として利用するJR総連・カクマルの国鉄1047名闘争圧殺策動を粉砕し、11月集会派が日本労働運動の主流派に躍り出よう。

 民主党と連合が結託し

 自民党長期支配と国鉄分割・民営化を突破口とする新自由主義攻撃への労働者階級人民の怒りは、8・30総選挙として大爆発し、ついに半世紀以上にわたった自民党支配を打倒した。
 代わって登場した鳩山内閣は、官房長官に平野博文(電機連合)、経済産業大臣に直嶋正行(自動車総連)らを置き、民主党代表代行に輿石東(日教組)を据えるなど、本質的にも実体的にも「民主党・連合政権」である。
 ここでまずはっきりさせなければならないことは、民主党も連合も、国鉄分割・民営化攻撃という戦後階級闘争の壊滅を意図した攻撃の結果誕生したということだ。中曽根発言(「国鉄の民営化ができたら国労は崩壊し、総評が崩壊し、社会党が崩壊した」)は、そのことをあけすけに述べている。
 民主党とは、自民党・田中派出身の小沢一郎を事実上の党首とし、鳩山ら保守系・旧自民党系と、国鉄分割・民営化に屈服した旧社会党系、旧民社党系グループなどが合体して誕生した徹頭徹尾ブルジョア政党であり、労働者階級とは絶対的に非和解の存在だ。
 連合は、戦後日本の戦闘的労働運動を解体してきた旧同盟とIMF・JC(金属労協)のダラ幹どもが、国鉄分割・民営化攻撃に屈服・加担しその先兵を買って出たJR総連・カクマルをも取り込み、総評を解体してデッチあげた帝国主義的労働運動のナショナルセンターである。
 職場闘争を否定する連合は、政府に政策・制度を要求し、その実現を追求することこそが労働運動だとする「政策制度要求」路線を主張してきた。そして民主党政権が誕生すればすべては解決するとしてブルジョア政党である民主党支持を打ち出してきたのだ。
 だが連合は、鳩山民主党政権が誕生し、「政権与党」となることによって、ブルジョア政党である民主党の政策と、労働者階級の怒りや利害との矛盾に挟撃され、大恐慌下で逆に労働者支配の危機を深めている。
 その危機を全面的に明らかにしたのが10月上旬に開かれた連合大会だった。大会では「公務員人件費2割削減」を公言する民主党マニフェストに対して、労働者階級の怒りを恐れた自治労などの労組幹部が懸念を表明する事態となった。これに対して新たに連合会長となった古賀伸明(電機連合)は、「民主党マニフェストと一致しない政策はたくさんある」と、民主党との矛盾を自認せざるを得なかった。
 日帝の未曽有の危機の中で、資本主義の延命のために労働者階級を犠牲にするしかない民主党。その民主党政権を支える連合の「政策制度要求」路線は大恐慌下で破綻の危機に直面している。日帝ブルジョアジーにとって民主党・連合政権がその最大の弱点、破綻点に転化しようとしているのだ。

 国鉄闘争解体の先兵に

 だからこそ、国鉄分割・民営化に反対して2度のストライキに立ち上がり、団結を維持している動労千葉とそれに呼応した国鉄1047名闘争が日本階級闘争の中に屹立(きつりつ)し、4大産別を始めとした国鉄闘争支援陣形が広範に存在していることは決定的である。
 この連合の危機の中で、国鉄1047名闘争圧殺のために登場してきたのが、戸塚・樋口と結託したJR総連・カクマルの一連の策動である。
 戸塚・樋口は連合の政策制度要求路線に対して、ファシスト的な「対案戦略運動」なるものを持ち出し、JR総連・カクマルの国鉄分割・民営化時の大裏切りは裏切りではなく、資本主義の危機の時代における労働組合の生き残り戦略としての「対案戦略運動」のさきがけであったなどと徹底的に美化しているのだ。
 彼らの言う「対案戦略」とは、“危機の時代に資本と闘ってもつぶされるだけだ。むしろ労働組合の側が資本の生き残り策を対案として提示すべきだ”というものだ。それは連合の政策制度要求路線よりも悪質である。資本が危機の時に、資本に屈服し政府にお願いするのでも不十分だとして、資本の生き残りのために率先して協力しようという完全な奴隷の思想である。それは結局「骨身を削る」と称して労働者階級への徹底的な資本攻勢を労働組合の名をもってやることになるのだ。
 JR総連・カクマルが国鉄分割・民営化時に国労や動労千葉に対して行った卑劣な組合破壊攻撃や、動労の50歳以上の組合員に対して行った陰湿きわまる退職強要を思い起こせばいい。それは他労組をつぶして犠牲にし、松崎と動労カクマルだけが生き残るためのものだった。この対案戦略の行き着く先は「欲しがりません勝つまでは」と、侵略戦争に全面協力していった戦前の産業報国会の再来となるのだ。

 自治労本部も全面屈服

 このカクマル松崎、戸塚・樋口の「対案戦略」に連合内で屈服し呼応する動きが今や自治労の内部から公然と生じていることは絶対に許せない。
 自治労本部衛生医療評議会は昨年12月「(公立病院の)運営形態変更・公立病院の再編・ネットワーク化に係わる取組み指針」を提起した。この指針は「現実対応」などと言って、「自ら医療法人を設立し、指定管理者制度を適用させる」と病院労働者に労働組合として民営化を逆提案しようと呼びかけている。さらには「賃金削減を受け入れても病院(を守る・で働く)」とまで主張している。
 こんなものが労働組合の方針なのか。これこそ松崎の「働こう運動」であり、「対案戦略」そのものだ。自治労中央は今年の大会議案書で「単組は、自らの自治体の財政を客観的に分析し、その結果に基づいて政策の改善を提案する」などと述べて自治体労働運動の質的転換を提案し、可決した。事態はここまで進んでいるのだ。
 大恐慌下で連合路線は破綻し、労働運動は大流動・大再編期に突入した。国鉄分割・民営化攻撃にうちかった動労千葉労働運動の中にこそ勝利の展望がある。戸塚・樋口らと結託したJR総連・カクマルの1047名闘争破壊策動を粉砕し、闘う労働運動の再建を絶対にかちとろう。