2009年11月12日

戦争・大失業の攻撃強める民主党・連合政権を倒せ 1047名解雇撤回を軸にさらに前進を

週刊『前進』08頁(2414号4面1)(2009/11/12)

戦争・大失業の攻撃強める民主党・連合政権を倒せ
 1047名解雇撤回を軸にさらに前進を

 11・1全国労働者総決起集会を新たな出発点に大失業と戦争・改憲の攻撃を強める民主党・連合政権と全面対決する階級的労働運動の形成へさらに前進しよう。国鉄1047名解雇撤回闘争が全労働者の結集軸だ。民主党政権の支柱となった連合ダラ幹ら一切の体制内派を打倒しよう。11月27日の国労5・27臨大闘争弾圧の判決公判は決定的な闘いだ。民主党・連合政権を根底的に批判する。

 国鉄闘争
 民営化を強行する民主党との激突点
 JR体制の打倒へ今こそ

 11・1労働者集会は、国鉄1047名解雇撤回を軸に、大恐慌をプロレタリア革命に転化する労働者の国際的隊列を鮮明に登場させた。1047名解雇撤回を貫き、国鉄闘争を勝利に導くことができるのは動労千葉派=11月集会派だけだ。解雇撤回を果敢に貫くことは、民主党・連合政権との激突となる。そうした闘いを主導する勢力がついに姿をあらわしたのだ。
 民主党・連合政権打倒の立場に立ちきってこそ、労働運動は階級的原則を貫くことができる。今や体制内派は、民主党・連合政権への幻想をとことんまであおり、雪崩を打ったように転向と屈服を遂げている。この状況を食い破り、労働運動のど真ん中に革命の旗を真正面から打ち立てよう。
 「1047名解雇撤回」をあくまで貫き、不屈に闘い抜くことの歴史的意義は限りなく大きい。なぜなら、1047名闘争をめぐってこそ、階級的原則が最も峻厳(しゅんげん)に問われるからだ。

 屈服深める4者4団体

 4者4団体は、民主党・連合政権への幻想を目一杯あおり、「年内、年度内政治解決」を唱えている。
 10月25日の団結まつりで、国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長は「鳩山政権は国民生活第一で頑張っている」「批判や打倒だけでは片づかない。鳩山政権に期待する」と叫び立てた。民主党・連合政権を批判するなということだ。さらに彼は「主導権は誰が取ってもいい。国労が取ってもいい」と発言した。政治解決路線に全面的にのめり込んでいる彼にとって、国労本部との対立などすでに存在しないというわけだ。二瓶議長はまた「来年の2・16は越えさせない」と公言した。2月16日までに、何があっても1047名闘争を終結させるという宣言だ。
 4者4団体は、この秋の最大の目標を、11月26日に予定されている星陵会館での集会に、自民党を含む全政党を参加させることに置いている。民主党に加え、自民党も集会に出てくれば、政治解決はできるというのだ。国鉄闘争史上、ここまであからさまな政治依存が表明されたことは、かつてない。
 こうした方針のもとに行われている4者4団体の国会前行動は、見るも無惨な土下座運動に純化した。国会前で国労本部の高橋伸二委員長は、鳩山の所信表明演説を最大限美化し、「まさに友愛の政治、不採用問題の政治解決へ大いに光明を見いだした」と言い放った。あろうことか4者4団体指導部は、シュプレヒコールも弾劾的にやってはならないと闘争団員に制動をかけている。こんな屈辱に耐えられるか。
 そもそも、首相の鳩山や民主党幹事長の小沢は、自民党議員として国鉄分割・民営化を強行した張本人だ。官房長官の平野を始め、政権に入った連合ダラ幹どもは、国鉄分割・民営化を推進し、国鉄労働運動に背後から襲撃をかけた連中ではないか。そんなやからに、どうしてここまで卑屈な態度をとらなければならないのか。
 今や民主党・連合政権の本質はますますあらわになっている。自民党支配を崩壊に追い込んだ労働者階級の決起を鎮圧し、プロレタリア革命を圧殺するために登場したのが民主党・連合政権だ。民主党は、マニフェストに「公務員賃金の2割削減」を掲げた政党だ。それは、公務員労働者の大首切りと大幅賃下げをテコに、労働者全体を大失業にたたき込むということだ。
 厚生労働相の長妻は、懲戒処分歴のある社会保険庁職員を分限免職にすると公言した。国交相の前原は、国家主導で日航の大リストラ=大量首切りへと突き進んでいる。総務相の原口は、大阪府知事・橋下や名古屋市長・河村と組んで、360万人公務員労働者の首切りを軸とする道州制を強行しようと躍起になっている。鳩山が打ち上げた「東アジア共同体」構想は、アジア侵略そのものだ。
 とりわけ社保庁労働者への攻撃は、「怠け者」のレッテルを張り首を切る国鉄型の大攻撃であり、1047名が自らの課題として闘うべきことだ。
 国鉄分割・民営化以来、23年にわたり解雇撤回を求め闘われてきた1047名闘争は、本来、こうした民主党政権の本質を暴き、これと最先頭で対決すべき位置にある。1047名闘争の現実を直視すれば、民主党への幻想などたちどころに吹き飛ぶのだ。
 国鉄分割・民営化以来の国労本部の政治解決路線は、「(JR不採用につき)JRに法的責任なし」とした00年の4党合意と、鉄建公団訴訟原告団を統制処分に付すとした02年5月27日の臨時大会に行き着いた。国労本部の政治解決路線に翻弄(ほんろう)されてきた闘争団が生身で体験してきたその全過程を根底的に総括すれば、民主党への幻想など生まれるはずがない。にもかかわらず、鉄建公団訴訟原告団指導部を含む4者4団体幹部は、かつてないほど政治解決路線に傾斜し、闘争団に敗北を強いようとしているのだ。
 JR総連カクマルの松崎が、戸塚秀夫や樋口篤三と組んで、ファシスト的な復権運動を開始したことも、民主党政権の登場と、それへの4者4団体の屈服を背景とするものだ。動労千葉派以外の全勢力が民主党を持ち上げ、頭を垂れている状況だからこそ、カクマル松崎は今この時を自己の反革命的復権の時と見ているのだ。

 有罪判決を粉砕しよう

 だが、そこに松崎の誤算もある。11・1労働者集会は、資本や体制内派との非和解的対決を貫くことによって1047名の解雇撤回をかちとる路線を鮮明にさせた。そして、それを実践する巨大な隊列を登場させたのだ。動労千葉派=11月集会派が1047名闘争の主導権を握りしめ、1047名解雇撤回闘争を革命に向けて開かれたものとして闘いぬく時が来たのである。
 もはや4者4団体路線にはなんの説得力もない。闘争団員と現場国労組合員の4者4団体路線への離反・決別は、今や時間の問題だ。@dan
 11・1は、4者4団体路線を粉砕し、これにとって代わる1047名闘争の新たな主導勢力を生み出した。11・1集会で形成された不抜の陣形を軸として、1047名闘争が労働者階級全体を糾合すれば、革命に向けての壮大な展望が切り開かれる。
 その最初の決戦は、11月27日の国労5・27臨大闘争弾圧の判決公判だ。5・27被告団を先頭とする国労共闘は、08年2月の旧弁護団解任という壮絶な決断をとおして、動労千葉派としての自己を鮮明にさせた。5・27被告団の存在と闘いは、1047名闘争を革命的に塗り替える強固な砦(とりで)をなしている。
 だからこそ権力と資本は、5・27被告団に階級的憎悪を集中しているのだ。司法権力は、検察を圧倒しきった被告団−現弁護団の最終陳述と最終弁論に圧倒されつつも、被告に有罪判決を下そうとたくらんでいる。

 動労千葉と共に闘おう

 11・1で形成された階級的力を権力と資本にたたきつけ、有罪攻撃をなんとしても打ち破らなければならない。国鉄闘争は、11・1を経て直ちに新たな攻防に突入した。
 この闘いは、1047名解雇撤回、JR体制打倒の闘いと一体だ。
 今やJR体制は完全に破産をあらわにしている。今年7月以来、4波のストを貫いた動労水戸の闘いは、運転士登用差別を居直るJR東日本を根底から揺さぶった。検修部門の外注化を阻んできた動労千葉に対するJRの組織破壊攻撃は、動労千葉の不屈のストライキによって迎え撃たれた。動労千葉・動労水戸を先頭に打ち抜かれた10月16日のJR東日本本社抗議闘争は、JR体制を震撼(しんかん)させた。
 安全を根底から崩壊させたJR体制は、まともに鉄道を動かせなくなっている。資本=カクマル結託体制も、崩壊寸前だ。
 にもかかわらず、国労本部ら4者4団体はJRとの闘いを放棄し、現場の決起を圧殺することによって、1047名闘争の展望をも自ら閉ざしてしまったのだ。現場労働者と被解雇者が階級的団結を打ち固め、JRとの徹底対決を貫けば、必ず勝機はつかめる。11・1は1047名解雇撤回、JR体制打倒の号砲を打ちならした。民主党・連合政権に屈服する一切の勢力を踏みしだき、勝利の道を突き進もう。

 道州制 360万の公務員を一旦全員解雇!
 戦争できる国へ改憲狙う

 地域主権国家は道州制

 民主党政権の登場から約2カ月、戦後的政治支配体制の全面的な崩壊がわれわれの眼前で進んでいる。1930年代に政党政治が瓦解(がかい)し、大政翼賛会と産業報国会に支えられた天皇制ボナパルティズムのもとで世界戦争に突き進んだのと、同様の過程が進行しつつある。
 鳩山政権の2本柱は、「東アジア共同体」と「地域主権国家」だ。「地域主権国家」とは道州制のことだ。道州制の導入は、戦争と強権支配への国家体制の転換であり、改憲攻撃そのものである。それは、「55年体制」に浸りきってきた自民党によってはついに実現できなかった課題でもある。
 民主党が選挙過程で振りまいた数々の甘言にもかかわらず、民主党・連合政権の最大の使命は、自民党政権がやりきれなかったことを連合を使ってやりぬく点にある。すなわち、大恐慌下での労働者階級への大量首切り・賃下げ・リストラと、改憲攻撃の強行、戦争への国家大改造にある。
 10月26日に開かれた臨時国会での鳩山の所信表明演説は、「鳩山内閣が取り組んでいることは、いわば『無血の平成維新』、…国の形の変革の試みです」という言葉で締めくくられた。これこそ改憲派、日帝ブルジョアジー、極右勢力の共通のスローガンだ。「国の形を変える」とは改憲の実質だ。
 帝国主義間争闘戦での敗勢による衰退に直面してきた日本帝国主義は、1990年代からすでに、「東アジア共同体」と「道州制」を柱とする国家改造と、社会生活の全面にわたる「構造改革」という名の新自由主義攻撃によって、体制的危機の突破を図ろうと必死になってきた。民主党それ自体が、この過程の「政治改革」の産物にほかならない。
 そして、この新自由主義「構造改革」によって抑圧、分断、非正規職化と低賃金化、失業、貧困にさらされてきた労働者階級を先頭に、全人民の怒りが噴出したのが、自民党支配を打倒した8・30総選挙である。それは社会の根底において、階級対立が「これまでどおりの支配を続けられない」までに深まっていることを突き出した。
 民主党政権が、連合を内側に組み込んだ体制としてしか成立しえなかった根拠は、この階級対立の深化にこそある。この体制的危機は、さらに強まりこそすれ弱まることはけっしてない。
 民主党は、本質的には自民党よりもはるかに新自由主義の政党であり、改憲派の政党である。首相の鳩山、外相の岡田、国土交通相の前原らはもとより、何よりも民主党の実権を握る小沢一郎が、日本をアメリカと同じような「戦争のできる国」に変えることを最大の使命としてきた人物だ。
 世界大恐慌の本格化と世界帝国主義の保護主義、ブロック化への突入という事態に対し、それがどんなに絶望的で破綻的であろうとも、日帝が帝国主義として生き残るためには改憲=国家改造によって突破する以外に選択肢はないのである。

 経団連が早期実現要求

 この改憲=国家改造の国家体制としての姿が「道州制」にほかならない。首相就任の直前の9月12日、鳩山は「地方分権の観点から改憲が必要」だと公言している。
 民主党・連合政権の成立を受けて、10月20日、日本経団連は「改めて道州制の早期実現を求める」との提言を出した。この提言は、同じくこの日に出された「危機を乗り越え、アジアから世界経済の成長を切り拓く」と題する「東アジア共同体」推進の提言、また社会保障制度の全面改革=解体への提言と三位一体で出されている。道州制の導入は、それら一切の突破口と位置づけられている。
 90年代以降、道州制は主要に財界からの要求として論じられてきた。それは巨大独占資本が「グローバル競争」に勝ち抜くために、資本に対する抵抗を制圧し、あらゆる資源を資本のために動員し、資本の都合によって機動的に対応できる地方制度をつくりだすところに基本的な狙いがあった。
 そのためには戦後憲法体制を支える柱であった地方自治制度そのものを葬り去る必要がある。ブルジョアジーにとって「民主主義とは時間とコストがかかるもの」であり、もはやそんな形式などかなぐり捨てて、資本のむきだしの専制支配を縦横無尽に貫き通せる体制に変えようということだ。それを「地方主権」「地方分権」などと呼んで、あたかも「地方自治の拡充」につながるかのような大ペテンを使って推進してきたのが道州制だ。
 この財界の要求は保守反動勢力と結びつき、地方の独裁体制への移行を目的とするさまざまな「地方分権」改革が進行してきた。最近では「地域主権型」国家として集約されつつあるが、これは典型的なデマゴーグ、松下政経塾の塾長である江口克彦が政府の「道州制ビジョン懇談会」でまとめたものである。鳩山は所信表明演説でこれとまったく同じ主張をしており、「地方制度のあり方を、税制から地方議会制度までその地方で決めて構わない」という発言を繰り返している。
 だがこれは、地方の権力を握る大資本に労働者人民への課税権や国とは違う制度をつくる権限まで与えて、好き勝手に何でもやっていいとするものだ。そのためにも公務員労働者360万人の全員解雇・選別再雇用という、国鉄分割・民営化をも上回る大攻撃に踏み出し、自治労や日教組など4大産別の労働組合を徹底的に解体しようとしている。とんでもない攻撃である。
 道州制導入は、独占資本にとっては切羽詰まった課題なのだ。この動向は今年に入ってひとつの転機を迎えた。7月、日本経団連・御手洗と大阪府知事・橋下が会談し、「道州制導入の国民運動を起こす」ことで合意した。経団連の10・20提言も、「国民一人ひとりに理解されなければ」道州制導入はできないとして、「地域の広範な人々の参加を得ながら道州制導入の議論を進展させ」ていくことが急務だと述べている。橋下や東京・杉並区長の山田や前横浜市長の中田などがその先頭に立ち、新たなファシスト運動を始めている。民主党政権下でこの動きがさらに激化するのは明白だ。

 権力機構の反動的転換

 道州制の導入は同時に、国家権力構造の反動的大転換と直結している。軍事と外交と治安の確保を国の直轄・専権事項とし、中央権力の機能をそこに特化する。そして中央—地方を貫いて、議会によらない支配体制をつくりだす。議会制民主主義的統治形態のもとでのブルジョア独裁という戦後のあり方を完全に破壊し、大恐慌と新たな世界戦争の時代に対応した強権的なむきだしの独裁体制に転換するものだ。
 この点で注目すべきは、小沢の独裁的ヘゲモニーで進行している「国会改革」である。問題になっているのは「政策立案を政府に一本化する」ことと、官僚の答弁を禁止する国会法改正である。前者は、与党は議員立法も代表質問もしないというもので、「三権分立の否定だ」との声が与党の中からも起きている。
 これは小沢が自由党党首だった頃以来の持論であり、強力な独裁的執行権力を握るため、政府は行政府ではなく執権府であるべきだというものだ。鳩山も小沢もともに現在の内閣制度を批判し、総理大臣個人への全権の集中と緊急命令発動権を主張している。
 官僚答弁の禁止は、議会を統治から切断して無内容化することが狙われているが、より重要な点は憲法9条の解釈についての内閣法制局の答弁を禁止することにある。これは憲法判断を時の首相に全面的に委ね、首相判断だけで戦争にも突入できるようにするということである。91年の湾岸戦争では、当時自民党幹事長であった小沢の自衛隊派兵計画が内閣法制局長答弁によって違憲とされて断念した。その壁を取り払うのが目的だ。
 現在の議院内閣制のもとで戦時的な独裁国家に移行するには、いったんは選挙をとおして絶対多数を握る道を通る以外にない。だが権力を掌握した瞬間から議会を完全に無力化する。小沢が来年の参院選での民主党単独過半数の確保に躍起になっているのはそのためにほかならない。

 政治支配の劇的な崩壊

 大恐慌の進行のもとで、日帝の政治支配はドラスティックな崩壊の過程を進んでいる。麻生政権のもとで09年度は44兆円という空前の新規国債が発行されるが、来年度はさらに劇的な税収減が待ち受けており、歴史上初めて新規国債発行が税収を上回る事態となるのは確実だ。借換債の激増によるデフォルト(債務不履行)の危機が迫っているのだ。
 公務員労働者に対する首切り、賃下げ、民営化と大増税の攻撃が始まっているが、それ自体が労働者階級の怒りと新たな決起を呼び起こす。国家財政破綻から社会崩壊に進むこと、内乱の勃発はもはや不可避の情勢に入った。民主党・連合政権とその道州制攻撃、戦争と民営化・労組破壊の攻撃は、日本階級闘争がついに1930年代をも超える革命と反革命との激突のまっただ中に入ったことを示すものだ。革命党の組織と階級的な労働組合の登場が一切の鍵を握っている。
 11・1労働者集会の大成功をその跳躍台として、道州制粉砕、改憲と戦争国家化阻止へさらに前進しよう。