2009年10月26日

“成田30万回発着へ”「羽田ハブ化」と一体 前原発言

週刊『前進』06頁(2413号5面4)(2009/10/26)

“成田30万回発着へ”
 「羽田ハブ化」と一体の攻撃 前原発言を許すな

 前原誠司国土交通相は10月12日、これまでの羽田空港は国内、成田空港は国際という首都圏でのすみ分けを取り払い、羽田を24時間稼働するハブ空港(国際拠点空港)にする方針を明らかにした。成田空港の利権に群がる地元の財界や首長らは、「寝耳に水だ」「地元に何の相談もない」などと反発した。千葉県の森田健作知事は「怒り」の表明を行った上で前原と会談し、「大臣とは成田が国際線の中心という位置づけは変わらないと確認した」と「成田格下げ」の打ち消しに躍起となった。世界大恐慌の圧力はブルジョアジーを締め上げ、利権の配分をめぐる見苦しい衝突と調整が繰り広げられている。
 これらの一連の事態が表していることは何か。成田の位置づけが下がるので、攻撃が少しでもゆるむのか。いや、まったく逆だ! 敵はますます農地強奪、農民追い出し、反対同盟つぶしをエスカレートさせてくる。
 前原発言は、「韓国のインチョン空港に負けるな、アジア最大のハブ空港を造れ、成田と羽田は競い合って発展しろ」ということだ。その基盤には、鳩山政権がぶち上げた「東アジア共同体構想」がある。航空産業でアジアに遅れをとるな、アジアを日帝の力で制圧せよ、という徹頭徹尾侵略的、帝国主義的な思惑である。実際に前原は「首都圏の空港の発着需要が2030年に94万回に増えるが、成田と羽田の現行の拡張計画では71万回しかまかなえない」というとんでもない試算をもとに、どんどん増便しろとけしかけているのである。10月20日の延伸記念セレモニーでは、「発着回数の年30万回に向け、皆様の尽力で一日も早く合意を」とあいさつした。空港会社(NAA)や自治体、地元の利権まみれの反動勢力に向かって、反対運動をつぶして早く30万回化、24時間化を実現しろと要求しているのだ。
 また前原は12日泉佐野市で大阪府の橋下徹知事と会談し、関西空港のハブ化を求める橋下に対しまずは羽田のハブ化だとの意思を伝え、「いい道州制にむかっていくために首長さんと議論をする、そのために橋下知事の突破力、発信力に期待する」などと述べた。道州制導入で橋下の力を動員すると持ち上げ、ここでも羽田との競争をけしかけたのである。
 われわれは、43年の三里塚闘争が日帝の戦略的空港づくり、航空産業に致命的な打撃を与え破綻に追い込んできたこと、その勝利の地平を確認できる。そして農業破壊・農民切り捨て、アジア侵略・軍事空港化の攻撃の前に三里塚が敢然と立ちはだかっている。10・11全国集会の大成功が、日帝をとことん追いつめた手応えを実感できる。
 前原や森田がいくら見て見ぬ振りをしようと、暴力的空港建設を許さず原則を貫き闘いぬいてきた三里塚農民と労働者人民こそが、成田空港問題の当事者中の当事者なのである。反対同盟とこの労農連帯の陣形がある限り、空港は絶対に完成しないことを思い知れ。
 われわれは絶対に、天神峰現闘本部と市東さんの耕作地を守りぬく。