民営化反対の国際的団結を 海外から11月集会に続々 ブラジルの労組も
民営化反対の国際的団結を
海外から11月集会に続々
ブラジルの階級的労組も
今年の11月集会は、従来の米韓の労働組合に加えて、現時点でブラジルの左派ナショナルセンター、コンルータス(全国闘争連盟)の代表の参加も決まった。大激動の中で闘う路線を求める勢力が、民営化と闘い団結を強化している動労千葉に活路を求めている。
恐慌下、米大学でスト
9月24日、1960年代以来、40年ぶりといわれる巨大な大学闘争がついにかちとられた。大恐慌を理由にして、教育予算大幅カット、職員の強制休暇(その分の賃金カット)、解雇、学生の授業料値上げに対して、カリフォルニア大学の全州10カ所のキャンパスで、一斉に大学労働者と学生の巨大なストライキ・授業ボイコットが行われた。特にバークレー校の決起は大きい。
1930年代の大恐慌の時は、初期にはむしろ闘いは後退している。階級闘争が高揚したのは、大恐慌から一定の「回復の兆し」をみせた時だった。
今回も、全米自動車労組の腐敗した既成指導部などが、倒産攻撃に対して「大恐慌だからやむを得ない」として屈服を深めているだけでなく、これまで組合の体制内本部と闘ってきた戦闘的ランク&ファイルの潮流もまだ闘いを大きく組織しえていない。だが現在、大恐慌が急激に深まっているこの時期に、「大恐慌だからこそ闘う」という巨大な闘いの波が起こっているのだ。
州財政が全米一、二を争うほど破綻しているカリフォルニア州で、「恐慌だからやむを得ない」論を大衆的に粉砕している意義は、決定的に大きい。当局に協力し、州財政、大学財政を救うなどとんでもない。死すべきは資本、当局であり、生きるべきは労働者階級なのだ。
新自由主義攻撃の最前線は大学
大学集会では、「誰の大学?」「われわれの大学だ」がメインのコールになった。労働者階級こそ、大学の主人公、社会の主人公にならねばならないということだ。
国鉄分割・民営化をやった中曽根、炭鉱労組を破壊したイギリスのサッチャーと並んで、世界的な新自由主義攻撃を行ったレーガンは、60年代に学生運動への攻撃を最前面に掲げて登場し、カリフォルニア州知事になった。「バークレーのゴミどもを片付けろ」が選挙スローガンだった。構内での政治活動禁止に対して、体をはって闘ったバークレーの学生たちの「自由言論運動」が、全米の学生運動、ベトナム反戦運動を牽引(けんいん)したことに対する大反動だった。
レーガンは学生運動を直接弾圧するだけでなく、企業による公立大学への寄付(買収)を推進し、左翼的教授の排除、反動教授の送り込みに全力をあげた。この大学の新自由主義化こそ、レーガン大統領時代の社会全体の新自由主義化攻撃の突破口だったのだ。
03年11月集会以来、動労千葉と団結を深めてきたILWUローカル10(国際港湾倉庫労組第10支部)こそが、カリフォルニア州の階級関係を切り開いてきたのだ。
ILWUローカル10が切り開く
港湾から始まった1934年のゼネストを始め何度もストで地域全体の階級的力関係をつくってきた。08年メーデーには、イラク戦争反対のために米西海岸29港を全部止める闘いを組織した。
08年メーデーの根底には、動労千葉と毎年討論し、特に07年10月サンフランシスコの戦争阻止労働者会議で練り上げてきた戦争、民営化=労組破壊と闘う路線がある。
こうしてILWUローカル10は、サンフランシスコ一帯が「労働組合の街」と呼ばれるほどの階級的影響力をつくり出してきたのだ。
体制内勢力を打ち破り
UTLA(ロサンゼルス統一教組)からは、中学の分会長であり、西部地域全体の議長でもあるセシリー・マイアトクルスさんが11月集会に参加する。05年の体制内執行部からの権力奪取の中心メンバーの一人である。
8月、ロサンゼルス教委は、250校のチャータースクール(公設民営校)化を可決した。この攻撃に対して、UTLA執行部は、決定されてしまった以上、中から変えるとして、「教師集団が運営するチャータースクール」の計画を出し、それで当局と協力する方針を出している。労組破壊以外の何ものでもないチャーター化に対する武装解除であり、重大な屈服だ。これに対して現場からは大きな反対の声が上がっている。
こうした民営化との激闘、路線論争の現場そのものから、彼女は来日し11月集会に参加する。それはかつてなく重要な交流、討論の場となる。
ブラジルで“労働党政権と決別を”
ブラジルの現政権は、ルラ大統領の労働党政権だ。これは、CUT(中央統一労働組合)という労働組合ナショナルセンターを基盤にしている。だが、労働者階級の利益を売り渡し、財界トップを経済閣僚、中央銀行総裁にして、規制緩和、民営化・労組破壊、年金・福祉破壊を強行している。
この労働党に第4インター(統一書記局)は加入し続け、閣僚にまでなっている。しかも、第4インターのロセト農業開発相は農地改革の公約を全面的に破り、実力占拠で闘う農民を暴力的に弾圧しているのだ。
02年、労働党政権の誕生によってCUTが体制そのものになることに危機感を感じた活動家たちがつくったのがコンルータスだ。それは、ルラ政権や体制内「左翼」への労働者の怒りを集め、06年段階で180万人にまで達した。
コンルータスの闘いは、日本で民主党・連合政権やそれを美化し協力する諸勢力と対決するわれわれの闘いと同一だ。
民営化に屈するのか否かをめぐる党派闘争は、全世界で激化している。11月集会の大結集と国際連帯で、この闘いに勝ち抜こう。労働者自身の力で、労働者階級の解放をかちとろう。
(村上和幸)