2009年10月15日

〈焦点〉 オバマ国連演説のねらい

週刊『前進』08頁(2410号7面4)(2009/10/15)

〈焦点〉 イランと北朝鮮に戦争も
 オバマ国連演説のねらい

 オバマは9月23日、国連総会で大統領就任後初の演説を行った。オバマは、「過激派は世界各地にテロの芽をまく。長引く紛争は永遠に続く」「地球規模の課題に立ち向かうため、今こそ加盟国が責任を分かち合うときだ」と訴えた。とりわけ、核開発問題で北朝鮮とイランを名指しし、「(両国が)国際規範を無視するなら、国際社会は一致して、国際法が空虚な口約束ではないことを示さなければならない」と軍事攻撃の恫喝を加えたのである。
 この演説をマスコミは、「ブッシュ時代の単独行動主義(ユニラテラリズム)からの転換」とほめ称えているが、とんでもないことだ。米帝はイラク、アフガニスタン侵略戦争での泥沼的敗勢にあえぎ、世界大恐慌の中で没落し、未曽有の危機を深めている。だからこそ、他帝国主義を動員して一層の侵略戦争と世界戦争に踏み込もうとしているのだ。「責任の分かち合い」とは、徹頭徹尾、米帝の独自利害のためのものだ。そして日帝・鳩山政権はこのオバマの戦略に沿って、独自の利害をかけて日米同盟を強化し、侵略戦争に突き進もうとしている。
 24日にはオバマが主宰して、「核不拡散と核軍縮」をテーマに国連安保理首脳会合が開かれた。ここでは核を保有している米ロ英仏中5カ国が「核兵器のない世界をめざす」などというペテン的な決議を採択した。
 いま米国は2700発、ロシアは4800発もの、地球を何十回も壊滅させてしまうほどの大量の核弾頭を保有している。「核をなくす」というなら、まず自ら保有する核を全廃することが先決だろう。ところがそうではなく、「間近に迫った最大の脅威」として北朝鮮とイランの核開発を取り上げ、「国際的な包囲網の構築」を強調しているのである。
 国連決議と軌を一にして、イランが2カ所目のウラン濃縮施設を建設していたことが明らかにされた。米帝はこの施設の存在を数年前から、スパイ衛星などでつかんでいたが、イランを一層国際的に孤立化させるために、わざわざこの時期を狙って問題化したのだ。
 オバマを核廃絶論者、平和主義者と美化する連合や日本共産党などの反動的主張と徹底的に闘わなければならない。4月のプラハ演説でもオバマは「核兵器が存在する限り、安全で効果的な核抑止力を維持する」と語ったのであり、6月29日には核兵器用の大陸間弾道弾「ミニットマン3」の発射実験を実施した。8月7日には世界全域への核攻撃を統合・指揮する空軍の「グローバル戦略攻撃軍団」を新たに発足させた。
 イランへの軍事攻撃は緊迫している。オバマ政権は戦術核兵器の使用を排除していない。03年の段階で、イラン・北朝鮮の核施設を攻撃する軍事計画「CONPLAN8022」がつくられたが、そこでは「(地下の核施設を破壊するために)通常兵器で目的が達成できないときには、核兵器を使用する」としている。この計画はオバマ政権に引き継がれている。
 米帝などの核兵器をなくす唯一の道は、世界の労働者階級の団結した闘いで帝国主義を打倒することだ。その勝利に向かって、11・1労働者集会に大結集しよう。