スト・不起立は免許取り上げ 民主党「免許更新制廃止」の大ペテン
スト・不起立は免許取り上げ
民主党「免許更新制廃止」の大ペテン
鳩山政権下で、「免許更新制が廃止へ」という大宣伝がされている。
免許更新制は、安倍政権下で、06年の教育基本法改悪に続く07年、教員免許法改悪により導入され、今年度から本格実施された。これまで終身免許だった教員免許が10年ごとの更新制に変えられ、現職の教育労働者にも10年ごとに30時間の研修を受講することを義務づけ、修了認定試験に合格しなければ免許失効で失職するという、許しがたい制度だ。
これに対して、今年3月に民主党は教員免許改革法案を提出。さらに総選挙後の9月12日、民主党参院議員会長・輿石東は、早ければ11年度中にも教員免許更新制を廃止すると述べた。
しかし、この「免許更新制廃止」はとんでもないペテンだ。実際に狙われているのは、現行の更新制以上に極悪の教育労働者首切り制度である。
まず第一に、これまで4年制大学卒業で取得できた教員免許が、大学院の修士課程を修了しなければ取得できなくなる。
第二に、免許を「専門免許状」と「一般免許状」に分ける。専門免許状を取得するには、実務経験8年以上、教職大学院で単位を取得するか、検定試験合格が必要だ。
第三に、専門免許状は「教科指導」「生活・進路指導」「学校経営」の3分野別。「学校経営」の専門免許状は、企業での8年以上の管理職経験でも取得できる。これは全国で導入されている主幹教諭、主任教諭、総括教諭などの新たな「職」と新級設置、職階制に対応したものであり、免許状においても労働者を分断し、団結を破壊しつくそうとするものだ。
第四に、現職の労働者にとって死活的な問題は、現免許が有効なのは「当分の間」だけで、新免許への切り替えが必要とされることだ。検定試験に合格しなければ新免許は取得できず、失職する。しかも教育委員会による恣意(しい)的な合否判定による「君が代」不起立者や組合役員などの選別排除は、免許更新制より容易にできる。
そして第五に、最大の問題は、「教員免許の取上げ」という条文を独立して設け、「法令の規定に故意に違反」「教育職員たるにふさわしくない非行」を理由に、文科相が免許状を取り上げられるとしたことである。ストライキに参加しても、不起立でも、免許状取り上げによる失職を可能にするということだ。
総じて民主党案は、教員免許更新制より以上に、教育労働者の首切りをより容易に、しかも大量に可能とする、極悪の代物なのである。
民主案推進の幹部と対決を
何よりも許しがたいのは、日教組本部を先頭に各教組本部が「免許更新制廃止へ」と大宣伝して組合員に幻想をあおっていることだ。民主党案の中身を一切知らせずに民主党案推進の署名を始めた教組、輿石発言の記事を組合員に配り歩く教組などが続出している。
他方で、今年度の免許更新制の該当者(10年度末に35歳、45歳、55歳を迎える人)には「研修を受けて合格しないと失職するぞ」と脅して、受講をゴリ押ししている。
こんな組合幹部のもとでは教育労働者は生きていけない。とりわけ青年労働者にとっては、免許法改悪も、道州制導入による非正規化と大量首切りも、「生きさせろ!」のかかった大攻撃だ。民主党案のペテンを暴いて現場労働者の怒りを解き放ち、すべてのエネルギーを11・1日比谷へ!
---------------------------------
民主党の教員免許改革法案
(09年3月25日、参院に提出)
①教員免許状は「修士の学位を有」する者に授与する
②免許状を「専門免許状」と「一般免許状」に区分。「専門免許状」を取得するには、実務経験8年以上で、教職大学院で単位を取得するか、検定試験合格が必要
③「専門免許状」は、「教科指導」「生活・進路指導」「学校経営」の3分野に分ける
④旧免許状で教員を続けられるのは「当分の間」。その後、「教育職員検定に合格した場合」は新制度の免許状を得られる
⑤「教育職員が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行があって、その情状が重いと認められるときに、免許状を授与した者(=文科大臣)がその免許状を取り上げることができる」