反対同盟から全国へ(下)
反対同盟から全国へ(下)
「前倒し」は敵の危機だ 事務局次長 萩原進さん
総選挙で民主党が過半数を取って大勝したが、どのような政権になってもわれわれの考えは変わるものではない。今の支配階級の危機からすれば、むしろ突出した強権的な政策を出さないと政権として持たないだろうから、三里塚、動労千葉の闘いをつぶすことにますます体重をかけてくるだろう。三里塚にかけられている今の攻撃をそういう敵の危機として見すえて迎え撃つ、ということだ。
今むだを省くと称して真っ先に八ッ場ダムのことが俎上に載せられている。だが、この成田空港とその関連施設につぎ込まれた金は一体いくらになるのか。途方もない、想像もできないくらいの額だ。
恐慌の嵐が吹き荒れる中で、航空需要、貨物需要は目に見える形で激減している。日航を始め、航空会社の経営はほとんど破綻している。どれをとっても明るい未来なんかない。成田だけでなく、地方空港を含めた全国の空港の見直しがなされてしかるべきだ。
東側誘導路が前倒しで供用を開始されたが、そうしたらNAAは今度は3本目の誘導路を市東さんの家と畑を囲い込むようにしてつくると言い出した。だったらあの東峰の森を破壊して造られた東側誘導路とは、何だったんだ。何をどうつくっても、結局あの現闘本部と市東さんの畑のへの字に曲がったところの問題はなんの「解決」もしない。結局いつまでたっても、「完全空港」なんて夢のまた夢なんだ。
裁判の情勢も、暫定滑走路と同じ「前倒し」でスピードを上げて敵の攻撃が早まっている。現闘本部裁判が年内結審、いや年内判決さえありうる情勢だ。もちろん仲戸川裁判長がわれわれが満足するような判決を書くはずがない。さらにNAAは一坪共有地の強奪のために、次々と提訴を乱発している。
10・11全国総決起集会は、そういう敵の攻撃に対して、われわれが今もてるすべての力を使って反撃に立つということだ。敵はあせっているがわれわれにも余裕なんかない。一人でも多くの人が駆けつけてほしい。
全国の労働者人民の闘いを三里塚にもちより、10・11の大結集をかちとろう。その分厚い陣形で、現闘本部と市東さんの農地を何としても守りぬこう。
一坪共有地強奪許さぬ 事務局員 鈴木謙太郎さん
10・11の大結集に向けて9月からすでに攻防が火を噴いている。うちの一坪共有地の裁判が先日、同盟と弁護団、そして多くの傍聴の方々とともに闘われたが、千葉県がNAAに転売することだけのために土地を強奪するなんていうことを、どうして許すことができるか。
そして反対同盟は9月21日の群馬の集会を始め、全国に出かけてアピールを行っている。市東さんは先頭でがんばっている。あの第3の誘導路をつくるという計画は、絶対に許してはならない。これからも敷地内に対し目に見える攻撃が増えるだろう。同盟全体で一致結束し、市東さんを単に「支える」のではなくどこまでも一緒に闘うという心意気でやっていくつもりだ。
成田空港は今の年間20万回離発着を30万回に増やすなどと息巻いているが、現実的には便数は減っているのが実情だろう。関西新空港でも何便も減っているそうだし、航空需要全体がこの大恐慌の中で落ち込む一方だ。こんな中で「完全空港化」へ向けて、つくれるものはどんどんつくれとばかりに、誘導路など次々と計画し実行に移そうとしているが、そこに住んで耕作している農民を何だと思っているのか。
実際に今の農家では、容易に食ってはいけない状況だ。私の住んでいる菱田でもみんな後継者に苦労している。反対を貫くことが厳しいからといって、闘いを捨て空港に協力している人たちが現にいるが、そういう人がいくらかでも楽になったかというとそんなことはない。闘いの正義を貫くことで、私はここで農業を続けている。
民主党が勝ったけど、4年後に同じ票が取れるという保証はない。とにかく自民党の支配を一度ひっくり返したいという全国の人びとの怒りが、あのような結果になった。北海道も、東北も、またここ千葉県も農民の怒りが表された。
八ッ場ダムは「やめる勇気のある人がいなかった」と言われている。成田だってこれだけ地元の農民の生活を圧迫しているんだから、「やめる」ならまだ間に合うよ(笑)。暫定滑走路離着陸の直下にあるうちも、騒音や排ガスの被害を受けている。
先日、全学連の学生が援農に来て、一生懸命働いてくれた。これまで三里塚なんか知らずにいた若い労働者、学生がどんどん現地に集まってほしい。集会参加とともに、援農、現地調査などで、反対同盟との交流を広げてほしい。裁判にも傍聴に来てもらいたい。
現闘本部裁判は11月最終弁論から、年内判決さえありうると言われる情勢だ。市東さんの農地をめぐる裁判も、大詰めになってくる。そして暫定滑走路北延伸がこの10月に前倒しで供用開始されようとしている。
三里塚はまさに決戦の秋だ。10・11全国集会に皆さんの大結集を全力で呼びかけます。