2009年9月28日

鳩山外交 日米争闘戦激化と戦争 小沢的対米対抗性が基礎に

週刊『前進』06頁(2409号1面2)(2009/09/28)

鳩山外交 日米争闘戦激化と戦争
 小沢的対米対抗性が基礎に

 米帝が「警戒」

 鳩山政権=民主党・連合政権の外交政策の2大キャッチフレーズは、「緊密で対等な日米同盟」と「東アジア共同体」の構築である。これは自民党政権の日米軍事同盟基軸の政策を基本的には継承しつつも、もともと小沢路線のベースに根強くある対米対抗性・対米自立性をより強く押し出した、帝国主義的・侵略的な外交政策だ。
 こうした鳩山外交に、総選挙前から米帝は「警戒」を表明し、日帝権力とブルジョアジーは「日米関係は民主党のアキレス腱(けん)」などと騒いできた。このため民主党自身が、すでに総選挙を前にして政権公約の事実上の「軌道修正」を進め、選挙圧勝後の米帝オバマとの電話会談で、鳩山は早々と「日米同盟が基軸」と表明した。
 そして9月23日にニューヨークで行われた初の日米首脳会談では、「日米同盟が基軸」「日米同盟を強化する」ということが相互に繰り返し確認された。鳩山自身、このオバマとの会談で、「日米同盟を外交の基軸として重視していく」「日米安保体制はアジア太平洋地域の平和と安定の礎であり、いかなる問題も同盟の基軸を強化する形で協力したい」と、日米軍事同盟の重視と強化の方針をはっきりと主張したのである。
 だがしかし、これは従来の自民党路線の単純な延長ではない。この背景には、日米同盟を基軸としつつも「具体的な行動指針を日本の側からも提言していける対等な関係を目指す」という衝動が明白に存在し、民主党・連合政権のもとで、日帝の帝国主義的な安保・外交政策がより対米自立性をもって強化されていくことは不可避だからだ。そしてそれは同時に、アジアをめぐる日米争闘戦の激化と、日帝の改憲=侵略戦争・世界戦争への動きをより一層、促進するものとなるのだ。
 日米首脳会談に先立つ21日、鳩山は中国の胡錦濤国家主席と会談し、「東アジア共同体」構想を提唱した。この鳩山の構想は、月刊誌『Voice』9月号の論文に掲載され、その中で「アジア共通通貨」や、日中韓を中心とした東アジア集団安全保障体制の構築などが主張されている。
 そして、この論文の「東アジア地域の安定を図るため、米国の軍事力が有効に機能すべきだと思うが、政治的・経済的にも影響力を行使し続けるのには、できる限り歯止めをかけたい」などの主張が、日帝独自のアジア侵略・勢力圏化の動きとして、米欧帝国主義から強く「警戒」されるにいたった。
 これに慌てた鳩山と民主党は、政権掌握を前に「現実路線」的な一定の修正を図ってきた。しかし世界大恐慌が深まり、世界経済の大収縮と分裂化・ブロック化が進展する中で、鳩山・小沢らを先頭とする民主党・連合政権が、自民党政権以上に対米対抗性を強め、帝国主義的な争闘戦激化政策、独自の軍事・外交政策展開の道を追い求めるものであることは、基本的に不可避だと言える。

 各論での激突

 鳩山とオバマの「日米同盟が基軸」の確認の上に立って、今後、11月のオバマ初訪日に向け、日米間でインド洋での海自給油継続、アフガニスタン侵略戦争の支援、日米地位協定見直し、沖縄普天間基地移設などの具体的課題をめぐって、矛盾・対立と争闘戦が具体的に激化、深刻化していく。この中で、鳩山が政権公約などもどんどん反故(ほご)にし、日米同盟強化と「東アジア共同体」の路線のもと、帝国主義的侵略戦争・世界戦争への攻撃を激化させることは不可避だ。
 そして政権の中枢に入った連合の帝国主義労働運動の幹部と、社民党や旧社会党の帝国主義的社民勢力が、労働者階級への戦争と大失業(大量解雇・賃下げ)の攻撃の先兵として反労働者的役割を担っていくのだ。
 この大失業、戦争・改憲と民営化・労組破壊と徹底対決し、民主党・連合政権を打ち倒す11・1集会に全国・全世界から総決起しよう。