郵政JPEX統合が完全破綻へ 総務省が「10・1認可」断念
郵政JPEX統合が完全破綻へ
総務省が「10・1認可」を断念
民営化絶対反対闘争を強化し現場労働者の勝利の総反撃を
民営郵政による大規模な合理化と労働強化、非正規職化推進の「戦略事業」と位置付けられた小包部門の子会社化計画「JPEX」(JPエキスプレス。日通との共同出資)が、現場労働者の怒りと闘いでついに「10・1事業統合の延期」に追い込まれた。総務大臣が9月8日の会見で、事業認可を最終的に「見送る」と表明せざるを得なくなったのである。日本郵政・西川善文社長は、JP労組中央本部の屈服と「承認」を取り付けたことにすがって、直前まで「10・1スタートの強行」を強く主張していた。しかし、現場労働者の怒りと闘いがこの反動的結託体制を最後的に打ち砕いたのである。8割の労働者を非正規職に置き換える“首切りの自由化”でもあるJPEX計画は、その全面的粉砕すら射程に入った。郵政民営化絶対反対の闘いの圧倒的な地平である。いまこそ、11月1万人決起へ怒濤(どとう)の進撃をかちとろう!
計画挫折させた現場の怒り
商業新聞の報道では、JPEX計画を挫折させた直接の原因は「移籍要員がそろわず、現場の混乱は避けられない」ことだ。つまり現場労働者の怒りと抵抗でSD(サービスドライバー)要員、とりわけ非正規職の移籍要員が確保できなかったのだ。「新事業に必要な業務研修がわずか1時間(!)しか行われていない」ことも暴露された。
SDとは「自己責任」や「独立採算制」で配達員が営業の責任まで取らされる労働形態。その現実は「セブン・イレブン労働」などと言われ、一日15時間労働も当たり前の労働地獄で知られている。連合中央など御用労働組合指導部の屈服は、かくも残酷な現実を生んでいる。
しかしJP労組中央の度し難い裏切りにもかかわらず、この春以来、民営郵政当局が解雇や雇い止めを振りかざして強圧的に行ってきた「JPEXへの出向・移籍の意向調査」に対し、ほとんどの現場労働者が〈出向・移籍には応じない〉意志を表明したのだ。
東京では「JPEXに行け」と当局の肩たたきにあった労働者が、苦悩を突き破って「俺は使い捨て要員か!」と職場闘争を開始、自ら職制に立ち向かい、現場労働者の共感と反撃を巻き起こして出向内命通知を阻止する勝利をかちとった。
この過程で多くの現場労働者が沈黙を破り、数十人規模で職場集会を開き、職制たちを追及し、一方で闘いを放棄した労組執行部を取り囲んで弾劾の声を上げるという闘いが始まった。06年以来の郵政民営化絶対反対の闘いが、ついに現場労働者の怒りと結びつき、団結した力となり、具体的な行動として動き始めたのである。
この中で、郵政当局は8月3日からJPEX体制のための業務研修を各局で見切り発車する挙に及んだ。現場の怒りは爆発した。「認可も下りていないのに業研を強行するとは何事か!」「当局がコンプライアンス違反をやるのか!」——全員参加を強要された業研は、現場労働者の怒りが噴出する場と化した。業研が全国的に「1時間しかできなかった」と総務大臣が嘆く事態は、こうして生まれたのだ。
そして決定的なことは、この過程で、非人間的な低賃金と雇い止めの攻撃に日常的にさらされているゆうメイト(非正規職)の若い青年労働者たちの大衆的反撃が始まったことである。
JPEX攻撃は同時に、郵便事業会社本体の非正規労働者に対する賃下げと雇い止め攻撃として襲いかかった。「6、7時間勤務契約から4時間勤務への契約変更」などの賃下げを一方的に通告され、「この契約がいやなら辞めてもらって結構だ」(いずれも東京)という理不尽な首切り攻撃が始まった。しかしこれに対して、現場の若い労働者たちは団結し、御用執行部の制動をはね飛ばし、職制に対する抗議闘争を自力で始める動きが広がったのである。JPEX攻撃に「絶対反対」で臨んだ一連の職場闘争の積み重ねをとおして、現場の広範な労働者たちが「団結は力だ」ということを身をもって知り、その瞬間、行動を始めたのである。
ここでも、一切闘おうともしない本部派執行部の正体を、多くの現場労働者が目の当たりにすることになった。現場の抗議行動を支え、ともにその先頭に立ち、職場の団結の拡大に結びつけ、職場集会をくり返し開き、闘いを継続させる道を確保したのは、労働代官となって「組合室」でたばこを吸うだけの御用執行部ではなく、このかんJPEX攻撃をめぐって資本当局との厳しい攻防をやり抜いてきた多くのランク&ファイル(現場労働者)たちだったのだ。
「俺たちの労働組合を本気で取り戻そうではないか!」が、ついに現場労働者たち自身の切実な声となった。3年間にわたる激しい「民営化絶対反対」の闘いは、本部派による分断の壁をついにうち破る地点にのぼりつめようとしている。
JP労組中央打倒へ闘おう
JPEX計画の破綻は、郵政民営化絶対反対の闘いが現場労働者の怒りと結びついたことで、民営化そのものの破綻が突き出された結果だ。総選挙の結果は郵政民営化への労働者人民の怒りの爆発だったのだ。この中で権力政党となった民主党が、日本郵政などの株式上場を凍結する法案を「速やかに成立させる」方針を決めた。また、日本郵政・西川善文社長の辞任を求める方針を早々と打ち出した。これらの動きの階級的な意味とその背景は何か。
第一に、これは郵政民営化攻撃そのものの撤回ではなく、支配階級の分裂をも背景にした民営化攻撃の大破綻と迷走への突入である。郵政民営化は、道州制攻撃と一体の日帝ブルジョアジーの死活的な延命策で、民主党・連合政権は、その新たな貫徹を政策化している。しかしその緒戦で全逓労働者の決定的な反撃が始まり、民営化の根幹が破綻をさらけ出した。
第二に、「ゆうちょ銀行」「かんぽ保険」の株式上場の「凍結」は、300兆円を超える巨大な人民の資産を簒奪(さんだつ)しようとする、支配階級同士の熾烈な奪い合いだった。しかもこの争奪戦は、大恐慌下で危機を深める日帝ブルジョアジーにとって、引き続き最大級の焦点である。
第三に、総選挙で「民主党・連合政権」誕生を支えたのは、「労働運動内のブルジョアジーの手先」である、JP労組中央を始めとした連合の体制内指導部だ。彼らこそが小泉政権以来の郵政民営化に賛成し、その決定的な推進者だった事実を忘れてはならない。
JP労組中央は今でも公然とJPEX計画推進を掲げている。これを覆したのは、まさに現場労働者の闘いなのだ。今後JP労組中央が、権力政党そのものとなった民主党の支柱として、ますます現場労働者の利益に反する非和解的な敵対物として登場し、民営化攻撃のより悪らつな手先として振る舞ってくることは明らかなのである。
いよいよ郵政民営化絶対反対で闘い、勝利を開く時が来た。JP労組中央を下から打倒するランク&ファイルの行動と組織化は各地で始まっている。「民主党・連合政権」となったこれからが本当の正念場だ。闘う労働組合を現場労働者の手に取り戻そう! 第2、第3の動労千葉の旗を打ち立てよう! 11月1万人決起へ進撃しよう。