2009年9月14日

米失業率最悪の9.7% 大恐慌で強まる解雇攻撃

週刊『前進』06頁(2407号2面1)(2009/09/14)

米失業率最悪の9.7%
 大恐慌で強まる解雇攻撃
 1047名闘争軸に11月へ

 9月4日に発表されたアメリカの失業率が9・7%と、前月比で0・3ポイント悪化し、1983年6月(10・1%)以来、26年2カ月ぶりの高い水準に達した。

 「二番底」もあり

 これは、最近の株価の上昇や粉飾決算に支えられた大手金融機関の「黒字化」などを理由にした「最悪期は脱した」などという宣伝とはまったく逆に、大恐慌がますます激化し、「二番底」も不可避なことを示している。現にオバマ大統領自身、インタビューで繰り返し失業率が年内にも10%に達することを認めているほどだ。
 米労働省発表の統計を細かく見れば、アメリカの大恐慌の深刻さが浮かび上がってくる。
 まず確認されることは若年失業の問題の深刻さだ。16歳から24歳の青年労働者の7月の失業率は18・2%であり、男性に限れば20・7%と、20%以上になっている。5人に1人以上が失業するというまさに非常事態だ。
 若年失業の問題は全世界的な問題になっている。EU(欧州連合)の統計機関ユーロスタットが1日に発表した数字によれば、ユーロ圏(16カ国)の7月の失業率は前月比0・1%上昇し9・5%と、アメリカ同様1999年5月以来、最悪を記録した。国別の最悪はスペインの18・5%だ。その中でも特に25歳未満の青年層の失業率がユーロ圏で19・7%、EU全体で19・8%と非常に高くなっており、社会不安を招く恐れもあるなどと言われている。
 日本でも、15歳から24歳の青年労働者の7月の失業率は9・9%であり、男性に限れば12・0%と全体が5・7%であるのと比較して飛び抜けて高い。日米欧とも青年労働者の失業率は全体の失業率の約2倍である。新自由主義攻撃の中で非正規雇用が増大し、不安定雇用の青年労働者が真っ先に首を切られている。世界大恐慌の矛盾が全世界的に青年労働者に集中しているのだ。
 次に、アメリカにおける人種差別の深刻さだ。アフリカン・アメリカンの7月の失業率は18・1%と全体の2倍近い。特に20歳から24歳の青年労働者は24・5%であり、男性に限るとなんと25・8%にもなる。4人に1人が失業しているというすさまじさだ。ヒスパニックも13・4%と、白人が8・9%であるのと比較して5割も高い。
 さらに地域間の格差が大きいことだ。破綻したGMやフォードなど自動車産業の中心地であるミシガン州デトロイト大都市圏が前月に引き続いて最悪の17・7%(季節調整前)となった。

 「広義の失業率」

 だが、このような数字はけっして事態を正確に反映しているとは言えない。アメリカでは日本と同様、求職活動をあきらめたり、求職活動を行っていない就業希望者などは失業者に計上されない。そこでアメリカでは政府の「狭義の失業率」とは別に、フルタイムの仕事を探しているパートタイム労働者や、過去1年間に一度でも求職活動をした人までも含めた「広義の失業率」をマスコミが発表している。
 それによれば、8月の失業率はなんと16・8%にもなるという。7月15日付の米紙ニューヨーク・タイムズには4、5月の各州別の「広義の失業率」が掲載されている。これによれば、ミシガン州、カリフォルニア州、サウス・カロライナ州、オレゴン州で20%を超えており、自動車工場が集中するミシガン州周辺諸州も15%を超えている。工業地帯で失業率が突出しているのだ。住宅バブルが激しかったカリフォルニア州でも失業率が高い。不動産価格の高騰が結果的にその地域の経済をすり減らした。
 特にミシガン州やカリフォルニア州のロサンゼルス周辺では狭い意味での失業率が26%にも上る郡が存在する。まさにアメリカの失業率は、最大25%に達した1930年代の世界大恐慌と並ぶ水準にまで達しつつある。
 戦争と大失業の攻撃に対して、解雇撤回を掲げた国鉄1047名闘争の意義は鮮明だ。国鉄闘争を基軸に闘う労働運動をよみがえらせ、30年代に果たし得なかった世界革命への闘いを今度こそ勝利に導こう。11月集会1万人結集こそその道だ。