〈焦点〉 賃下げ攻撃も重大段階に
〈焦点〉 賃下げ攻撃も重大段階に
首切り・非正規化と一体
大恐慌のもとで日帝ブルジョアジーは、首切りの拡大、非正規雇用化のさらなる推進と、底なしの賃金カット攻撃をエスカレートさせている。賃下げは残酷なまでの貧困の拡大に直結しており、労働者人民とその家族の苦痛は、もはや忍耐の限界を超えている。
6月の労働者一人あたりの賃金が、前年同月比で7・1%下落したと報道された。調査開始以来、過去最大だ。日本経団連は97年以降、くり返し「総額人件費削減」を叫んできたが、彼らは今回の総選挙で、さらに「道州制の導入で5・8兆円の財政削減が可能だ」とうそぶき、恥知らずにも公務員労働者の大量首切りとさらなる大幅な賃下げを要求している。
小泉「構造改革」で加速し、大恐慌で底が抜けた賃下げや首切りで何が起きているのか。働き盛りといわれる35歳前後世代への調査では、「収入が少なくて結婚できない」人は正規社員で35%、非正規社員では70%にものぼる(NHK報道)。男性の独身率は、所得が100万円未満では過半数の56%。所得が100万円〜200万円でも45%が独身を余儀なくされている。
また世代全体の56%が「貯蓄を取り崩して生活」している。正規社員だが大幅な賃下げにあい、マンションのローンをかかえ、家族と過ごしていた土日も“ダブルジョブ”のアルバイトとか、夫の年収が半減し、小さな子どもをかかえつつ深夜コンビニのバイトと昼間パートのダブルジョブを「睡眠時間2時間半」でこなす女性など、巨大な貧困層が広がっている。
厚生労働省の調査で、親から離れて児童養護施設に入所している児童数(18歳未満)が昨年2月時点で4万人を超えた。4万人を超えたのは、戦災孤児らが保護されていた時代の1961年の調査以来47年ぶりだ。入所理由は「児童虐待」が全体の34%。「親の精神疾患」が11%、親の「破産」も7%に迫る。高校中退者は年間7万人で、他の高校に戻れるのはわずか5千人。年間6万5千人が高校を中退したままドロップアウトしている。最低限の社会保障からさえ排除された“若者のホームレス化”も起きている。
このような貧困層の拡大のもとで、自殺者が10年連続で3万人を上回った。10年で30万人を超える人たちが命を絶った。自殺の原因は「健康問題」と「経済・生活問題」で95%に達する。「健康問題」の大半はうつ病だという。
残酷をきわめるイラク戦争の死者が5年間で9万人(イラク・ボディカウント集計)という数字と比べても、年間3万人超の自殺者を出す日本社会がいかに残酷な状況かが分かる。世界保健機関(WHO)の統計では、日本の自殺率はアメリカの2倍で、OECD諸国で突出した1位だ。
労働者人民はブルジョアジーに殺されているのだ。ブルジョアジーが富を独占する資本主義社会とは、かくも残酷なのだ。新自由主義を加速させた小泉や竹中(元財務相)らが「貧困は自己責任」といまだに言い放つ社会体制を、労働者人民はこれ以上容認する必要はみじんもない。大恐慌と自民党支配の崩壊をプロレタリア革命に転化するために闘おう。