2009年9月 7日

〈焦点〉 失業率5.7%、最悪更新 実質は11%超

週刊『前進』08頁(2406号7面3)(2009/09/07)

〈焦点〉 失業率5.7%、最悪を更新
 大恐慌下で実質は11%超

 労働者階級の憤激が自民党を打倒した歴史的な総選挙を目前にした8月28日夕方、ブルジョア新聞各紙に「失業率最悪5・7%」というまったく同じような大見出しが躍った。これは世界大恐慌のすさまじい現実を明らかにし、2日後にせまった自民党惨敗を予兆させる決定的な事態であった。
 この日、政府から発表された7月の完全失業率は、前月比0・3ポイント上昇して5・7%となり、戦後革命期を除いて現在の方法で統計が取られ始めた1953年以降、最悪を更新した。特に男性の失業率は6・1%と初めて6%台を突破した。年齢別で見ると、15歳から24歳の男性はなんと12%だ。まさに青年労働者に大失業攻撃が集中していることが分かる。
 だがこのような数字は、まだ事態を正確に反映しているとは言えない。日本では失業者は、「働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態にある人」を言い、仕事探しをあきらめた人は含まれない。実際、ハローワークに行っても仕事が見つからない、求人票もダミーでしかないという声をよく聞く。就職を希望しながらも求職活動をしていない「就業希望者」は、4〜6月期の調査では461万人にものぼっており、この人びとを加えると失業率はすでに11%を突破している。
 さらに、7月24日に政府が発表した09年度版の「経済財政白書」では、企業の余剰人員とされる「企業内失業者」が1〜3月期に過去最悪の607万人に上ったなどと異例のキャンペーンがなされている。世界金融恐慌のさらなる爆発の中で失業問題は最大の治安問題として今後大爆発していく。
 失業率と帝国主義の労働者支配とは一体の関係にある。戦後革命の爆発に恐怖した日帝支配階級は、「終身雇用制」などを柱にした国家独占資本主義的な労働者支配を行ってきた。その過程では失業率は60年代以降1%台を維持してきた。それを日帝は「完全雇用」だなどと主張してきた。
 それが74〜75年恐慌以降一変した。失業率はじりじりと上がり、バブルがはじけた90年代以降は4%台にまで上がった。この背後には日帝の労働者支配の転換があった。日帝は95年の日経連報告「新時代の『日本的経営』」を突破口に9割の労働者を非正規雇用にたたき込む攻撃に踏み切ってきた。その突破口こそ国鉄分割・民営化攻撃だった。この攻撃をさらに激化したのが小泉構造改革。非正規雇用化は一気に進行し、ITバブルがはじけた2002年には失業率が5・5%にまで跳ね上がった。労働者は使い捨てのモノ扱いされるにいたったのだ。
 小泉構造改革で一気に加速した民営化と労組破壊、非正規雇用化攻撃に労働者階級人民の怒りが今回大爆発した。だが自民党支配の崩壊の中で、日帝には道州制・民営化攻撃として新自由主義攻撃を貫く以外に延命の道はない。これは公務員労働者360万人首切りを突破口にさらなる大失業に労働者階級をたたき込むことになる。
 民主党・連合政権のもとで新たに強まる大失業と賃下げ、道州制攻撃と闘おう。新自由主義攻撃と闘い続けている国鉄1047名闘争こそその基軸だ。11月集会1万人結集を絶対に実現しよう。