〈焦点〉「臨調」で道州制推進 経団連の策動粉砕を
〈焦点〉 「臨調」で道州制推進狙う
日本経団連の策動粉砕を
日本経団連はこの夏、御手洗会長を先頭に、総選挙後の政権で道州制導入を推進するために「かつての土光臨調のような強力な推進機関の設置が必要」とくり返し強調している。土光臨調とは、経団連会長の土光敏夫が会長となって中曽根行革を推し進めた第2次臨時行政調査会のことだ。つまり道州制導入の攻撃を国鉄方式で推進するというのがブルジョアジーの総意なのだ。
81年当時、鈴木内閣は第2臨調を発足させ、中曽根を起用して、取り仕切らせ、国鉄分割・民営化攻撃を推進させた。その第2臨調が分割・民営化の方向を提起。職場規律の確立をはかるためと称して、職場の労使慣行や現場協議制度に攻撃を開始したのだ。
自民党内にも82年、三塚委員会が発足した。三塚委員会は現場協議制度を「諸悪の根源」として攻撃を集中。マスコミを使ってヤミ手当・カラ出張キャンペーンを展開した。それは労働者の生命の安全を守るために現場の闘いでかちとった労働条件や汚染職場における時間内入浴の既得権を奪うなど、従来の労使慣行を徹底的に破壊するものだった。
そして国鉄改革法が制定された直後の86年、国鉄当局は、職員を選別のふるいにかけるために職員管理調書を作成した。処分歴や分割・民営化への賛否、ワッペン・バッジの着用など、組合差別に満ちた内容だった。
国鉄改革法23条は、国鉄や新会社に採用すべき者を選定して名簿を作成し、そこから新会社に採用するという仕組みをつくった。国鉄当局が名簿に登載しないことで新会社に採用しないという仕組みだ。国鉄当局は全国1440カ所に人材活用センターを設置、国労や動労千葉の役員や活動家を余剰人員として狙い打ちで配転した。仕事はそれまでの技能とは関係ない草むしりや清掃だった。こうして政府と国鉄当局は、大量の国鉄職員を希望退職という形で実質的な解雇に追い込んでいったのだ。
このような財界と自民党の手法は、社会保険庁や全農林に対してくり返し使われてきた。自治労や日教組が直面する問題だ。
この国鉄分割・民営化に際して、当時の動労本部は、民営化賛成に転じて反対派の動労千葉や国労の組合員の首を切って自分だけが生き残ろうとした。「ヤミ・カラ」キャンペーンに対して手当返上や「働こう運動」を進めた。他労組や年配の労働者に「後進に道を譲れ」と退職を強要した。
今日、自治労本部は、この動労本部と同じ道を進もうとしている。熊本大会の議案で自治労本部は「道州制の議論への参加」を明記し、「組合員利益の維持・向上のみを求めるこれまでの労働運動からの質的転換」とまで書いているのだ。「賃金が半分になっても、民営化を逆提案しても、雇用が確保されればよい」。これは、まさしく国鉄分割・民営化の時の動労本部の論理であり、20万人解雇をもたらした論理ではないか。
道州制をめぐる攻防は現場で激しく鋭く始まっている。現場の労働者の怒りに依拠し、動労千葉のように闘えば必ず勝てる。自治労本部を打倒し、国鉄1047名解雇撤回闘争と結合し、「道州制・民営化絶対反対」で闘い抜こう。