2009年8月24日

現場の怒りで自治労本部打倒を 自治労熊本大会決戦へ

週刊『前進』06頁(2404号2面1)(2009/08/24)

現場の怒りで自治労本部打倒を
 労働組合運動の原点投げ捨て道州制・民営化推進する本部
 自治労熊本大会決戦に総決起しよう

 自治労弟81回大会(8月25〜28日、熊本)は歴史的な大決戦となった。世界大恐慌と自民党崩壊のなか、自治労本部は8・30衆院総選挙での民主党への政権交代をめざす一方、自治労熊本大会で労働組合運動の原点を捨て去り、道州制・民営化推進、戦争協力へ大転向を遂げようとしている。現場労働者の怒りの総決起で本部を打倒しよう。大会決戦の爆発を跳躍台に職場を組織し、11月労働者集会1万人結集をかちとろう。大会決戦をどう闘うかを以下に提起したい。

 階級間激突が情勢決める

 第一に「大恐慌を革命へ」の革命的時代認識・路線を鮮明に掲げよう。
 世界は1930年代を超える大恐慌情勢に突入した。帝国主義は保護主義と公的資金の大量投入、大幅赤字予算によって資本救済、景気回復を図る一方で、民営化・労組破壊、大量解雇と大幅賃下げ、労働強化の新自由主義攻撃をますます強め、イラク・アフガニスタン侵略戦争を長期化・泥沼化させ、イラン、北朝鮮への戦争衝動を強めている。ドル暴落と世界戦争の危機が切迫している。世界のあらゆる国の労動者は現場からのストライキ・実力闘争に立ち上がっている。
 自民党支配と戦後日帝の議会制民主主義による階級支配とが崩壊する時を迎えた。問題は、自民党や民主党などいずれのブルジョア政党を選択するのかということではない。階級と階級の激突、力勝負がすべてを決する時代に入ったのだ。
 労働者階級の実力で自民党にとどめを刺し、階級支配を根底から打ち破り、革命情勢をたぐり寄せよう。労働組合をよみがえらせ、その団結と決起をつくり出すなかで、労働者階級を資本家階級に代わる新たな支配階級として形成しよう。
 革命情勢においては革命的労働者党—戦闘的労働組合を破壊・絶滅しようと大反動が襲いかかってくる。資本、国家権力、右翼ファシスト、体制内労働運動指導部と革命派との党派闘争が激化する。最大の戦場は国鉄1047名解雇撤回闘争と三里塚闘争である。

 国鉄・三里塚決戦の爆発を

 第二に、闘う自治体労働者は国鉄1047名解雇撤回闘争と三里塚闘争を自らの中心的課題として取り組もう。
 〈戦争・改憲、民営化・労組破壊〉攻撃と闘う4大産別決戦の基軸的闘争が国鉄1047名闘争と三里塚闘争だ。国鉄分割・民営化絶対反対・解雇撤回を貫く22年、空港絶対反対・農地死守・一切の話し合い拒否を貫く43年。絶対反対と階級的団結を核心とするこの2大闘争は、世界と日本の階級闘争の光り輝く金字塔だ。この地平を守り勝利を切り開くことが階級闘争の最大の課題だ。
 現に国鉄1047名闘争と三里塚闘争は労働者の国際連帯を飛躍的に強化する拠点となっている。
 だからこそ支配階級は、国鉄1047名闘争と三里塚闘争を解体・壊滅しようと躍起になっている。この2大闘争を解体せずして、4大産別労働運動の解体も、道州制=公務員360万人首切りも、戦争・改憲もできない。したがって国鉄1047名解雇撤回闘争と三里塚闘争の勝利は自治体労働者にとって死活的な課題なのだ。熊本大会のすべての代議員、傍聴者に国鉄闘争、三里塚闘争への決起を訴えよう。
 国鉄1047名闘争支援陣形の最大勢力は自治体労働者だ。自治体労働者が自治労本部を打倒し、また解雇撤回を降ろした4者4団体と決別し、動労千葉派として闘うならば、国鉄1047名解雇撤回闘争の勝利の展望は大きく開かれる。

 「生活と権利守る」を解体

 第三に、自治労本部の大転向を暴露し、自治労本部を打倒しよう。
 大会議案が示すように自治労本部は①これまでの自治体労働運動からの質的転換をはかる②道州制議論に参加し民営化・合理化を積極的に推進する③北朝鮮への制裁=戦争と排外主義を扇動する——ことに踏み切った。労働組合から産業報国会に転換し、戦争・改憲、道州制・民営化を積極推進する路線を選択したのだ。
 自治労本部は、この歴史的大転向・大裏切りを熊本大会で決定し、全体に押し付けようとしている。現場組合員の怒りの総決起で本部を包囲し打倒しよう。自治労本部は、労働者の生活と権利を守り向上させるという、労働組合運動の原点をなす最も基本的な活動をもうやめると宣言している。
 「組合員の利益の維持・向上のみを追求するこれまでの労働運動ではなく」「社会的な公正・公平の実現をめざす運動への質的転換を」
 大恐慌のなかで絶体絶命の危機に立つ日本の国家財政・地方財政を救うためには、労働組合は自らの権利や利益を追求してはならないというわけだ。公務員バッシングへの屈服だ。こんなことを労働組合が組合員に強制するのは6000万労働者階級への敵対であり、許されない。
 大恐慌下の今、自治体の現場では非正規職の増大、首切り、賃下げ、長時間労働、極限的労働強化の攻撃がますます激化している。これに対し労働者の怒りと要求、闘いの希求はますます高まっている。「こんな賃金では生活できない」「もう体がもたない」「人員削減を許すな」と具体的な要求が広がっている。
 この職場の怒りと要求を道州制・民営化攻撃としてとらえ、その先頭に立って闘うことが労働組合指導部の役割だ。動労千葉は、組合員の低賃金や労働強化への怒りと労働条件改善の要求を闘いの出発点にして、路線を確立して闘ってきた。ところが自治労本部は、こうした労働組合にとって必要な当然のあり方を原点から否定し解体しようとしているのだ。
 今や自治労本部は、大恐慌下で資本と国家を救済する新自由主義攻撃の担い手になろうとしている。議案で「構造改革路線からの転換」と称して「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想」を提案している。
 「公平な負担と給付」「消費税引き上げ、『社会保障目的税』化」「地方消費税」「納税者番号制の導入」
 破綻国家・日本を救うための処方箋(しょほうせん)だ。だが、労働者が生きていけないような社会をどうして持続させる必要があるのか!?
 「新たな公務員制度の実現」として「新たな人事評価制度の確立」「勤務実績の賃金への反映」「現業任用替えの対応」「雇用保険制度適用の検討」を挙げる。競争と分断と差別、労働強化、整理解雇の前提化だ。

 2割カットの「標準的給与」

 そして「地域民間賃金準拠への圧力」「下方圧力をはねのけることはきわめて困難」として「自治体職員の標準的給与」の「合意と確立に向けた基盤整備」を提案する。
 「標準的給与」として自治労本部労働局は5月に2割賃下げ案を提起した。民主党マニフェストの「公務員人件費2割削減」に合わせた提案だ。賃金闘争を闘うなと屈服を迫る。本部は、総務省の現業賃金3〜5割カット方針にあらかじめ屈服し、現業に「単組の交渉力を」と恫喝する。

 11月1万で道州制粉砕へ

 自治労本部は「道州制議論に参加」すると議案に明記した。「新たな地方分権の動き(道州制導入のことだ!)を見すえながら公共サービスを再生させる」とも言っている。
 道州制とは日本全体の分割・民営化であり、改憲・戦争国家化であり、大資本の道州私物化による延命策である。その核心は360万人首切り=選別再雇用による自治労、日教組破壊の反革命だ。4大産別労働運動破壊、階級闘争解体なくして戦争も改憲も大恐慌突破も不可能だからだ。
 今日、御手洗冨士夫が会長を務める日本経団連、橋下徹・大阪府知事、中田宏・横浜市長、山田宏・杉並区長らの「首長連合」が道州制の先兵として動いている。
 御手洗は7月23〜24日の日本経団連夏季セミナーで道州制基本法の早期制定を提唱、橋下に道州制をテーマに講演させた。続く25日に橋下と対談し、道州制国民運動を起こすことで一致した。
 「首長連合」は8月11日、民主党支持を打ち出した。民主党の最大の支持者が自治労本部だ。自治労本部—民主党—首長連合—日本経団連の道州制連合ができている。
 道州制連合は同時に北朝鮮侵略戦争ための国家体制、総動員体制づくりの推進部隊である。
 道州制・民営化推進、戦争協力路線を粉砕し、自治労の産業報国会化、戦争動員機関化を阻止しよう。資本救済、祖国防衛を拒否しよう。絶対反対を貫き、階級的団結を固め、国鉄・三里塚決戦に立ち、国際連帯を強化しよう。大恐慌を革命に転化せよ。自治労本部打倒—熊本大会決戦に勝利し、11月労働者集会1万人結集を実現しよう。
------------------------------

 大転向はかる自治労本部 (大会議案より)

●労働組合としての運動を全面否定
 「労働運動が、個別労使関係における組合員利益の維持・向上のみを追求するのでは、社会的共感は得られず、運動が孤立しかねません」
 「社会的な公正・公平の実現をめざす運動へと質的転換をはかる」
●「道州制議論に参加」で道州制推進へ
 「道州制の検討は、真に地方分権に寄与するものとなるかどうか、国民合意が形成されているかどうか、を判断基準に議論に参加します」
●北朝鮮への制裁=戦争と排外主義を扇動
 「6カ国協議を一方的に離脱した北朝鮮によるミサイル発射や地下核実験が行われるなど北東アジアの緊張は一気に高まりました。こうした行動は許されるものではありません」