2009年8月17日

8・12杉並「つくる会」歴史教科書採択弾劾

週刊『前進』08頁(2403号7面2)(2009/08/17)

「つくる会」歴史教科書採択弾劾する

 8・12杉並 右翼粉砕し阻止闘争 “職場の団結と国際連帯で”

 杉並区教育委員会は8月12日、中学歴史教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書(扶桑社版)を4年前に続いて採択した。この暴挙は、多数の右翼ファシストや公安警察に守られ、区教委が採択反対の意見を押しつぶすために庁舎内にバリケードを築く中でやっと可能になったものだ。山田宏・杉並区長がもくろんでいた「つくる会」公民教科書の採択は阻止した。
 杉並区役所前はこの日10時過ぎから騒然たる状況となった。横浜市での採択に勢いを得た右翼ファシストども約20人がのぼりや「日の丸」を掲げて徘徊(はいかい)し、採択阻止を掲げるわれわれと激突した。一歩も引かないわれわれの迫力に圧倒された右翼ファシストどもは、すぐさま区職員や警察権力に助けを求めた。宣伝カーを乗り付けた右翼団体も加わり、採択終了までマイクでがなり続けた。
 北島邦彦区議を先頭に参加者が次々とマイクを取り「山田区長や横浜市長・中田宏のように、資本との癒着と腐敗にまみれ、労働者の怒りの的になっている連中が『つくる会』教科書と道州制を導入しようとしている。労働者の団結でぶっ飛ばそう!」と徹底弾劾をたたきつけた。通行する人が右翼の目の前で採択阻止署名に次々と応じ、右翼に食ってかかる人が何人も現れた。追いつめられた右翼は「静かな採択を」「売国奴」「中核派」と絶叫を続けた。
 正午からは採択阻止集会を開催。杉並の教育労働者が戦闘的な司会でリードし、約百人の参加者が区役所前の歩道を埋めて聞き入った。東京西部ユニオン、沖縄民権の会、都政を革新する会、部落解放同盟全国連合会杉並支部、婦人民主クラブ全国協議会、青年、杉並・親の会などがアピール。集会後、この間集めた採択阻止署名1052筆(累計2284筆)を教育委員会に提出した。
 午後2時から審議が始まった。井出隆安教育長が「今回採択する教科書の使用は学習指導要領改訂までの2年間。前回と変わると新たな資料をつくるのが大変」と発言。まさに「つくる会」教科書を採択するための審議だ。「教員から反対意見が出ている」と「つくる会」教科書の採択に反対した安本ゆみ委員を大蔵雄之助委員長がねじ伏せて採択を強行した。井出教育長は「教科書には長短がある。記述で学習内容が決まるものではなく補助資料も使うから」と強弁した。“どれほどでたらめでも「つくる会」教科書を採択する”というのが井出の本音だ。
 教育委員会での審議終了後、ただちに教育委員会への弾劾声明をたたきつけ、抗議と傍聴に訪れていた多くの教職員や区職員に「ともに闘おう」と呼びかけた。
 どんな教科書を採択しようとも、教育労働者の団結と職場支配権がある限り戦争教育を貫徹することなどできない。ここが勝負だ。同時に「つくる会」教科書攻撃は国際プロレタリアートの分断と団結破壊そのものだ。労働者階級の階級的国際的団結こそが山田区長と杉並区教委への回答だ。4大産別決戦と11月集会1万人結集へ闘おう!
 (東京西部・飯野依子)

 8・4横浜 「自由社」版、全国で初採択 “道州制の中田許さぬ”

 横浜市教育委員会は8月4日、中学歴史教科書に「つくる会」教科書(「自由社」)の採択を強行した。自由社版の採択は全国で初めてだ。採択は横浜市18区のうち8区、全145の市立中学校のうち計71校(生徒数約3万9千人)になる。
 神奈川労組交流センターは7月30日に続いて4日早朝、横浜市庁舎・教育委員会へのビラまきを行い、自治体労働者・教育労働者に対して「戦争賛美の教科書採択阻止へともに闘おう」と訴え、傍聴に駆けつけた250人以上の労働者市民の先頭で闘い抜いた。
 前横浜市長の中田宏が教育委員長に登用した今田忠彦は、前回の05年採択時に教育委員会で「つくる会」教科書採択を主張した唯一の人物だ。今田は採択後の会見で「自由社の教科書は歴史がわかりやすく書かれている。戦前に逆戻りするとか戦争賛美とか、植民地支配を正当化するような教科書だとは読めなかった」「日露戦争の記述では、小国日本が大国ロシアに勝った経緯が詳しく書かれ、良い意味での日本人の誇りが感じられる」などと語った。ふざけるな! 「大東亜戦争はアジア解放の戦争」と侵略戦争を賛美し、天皇を中心に歴史を描き、労働者民衆の闘いを歴史から抹殺する教科書など労働者にとって粉砕あるのみだ。
 今や、改憲・戦争、民営化・労組破壊との闘いは力と力の激突、とりわけ労働運動・労働組合をめぐる攻防で一切が決まる情勢となった。「つくる会」教科書採択強行への怒りを爆発させ、杉並・山田区長打倒の闘いと一体で闘おう。

 労働者の怒りが中田を打倒した

 横浜市長・中田宏は7月28日に辞任を表明した。小泉「構造改革」以来の新自由主義攻撃と、それを推進してきた中田への労働者の怒りが、中田を追いつめ打倒したのだ。中田こそ、小泉、安倍らとともに労働者がまともに生きていけない社会をつくり出した張本人だ。
 中田横浜市政になってから、市営バス・地下鉄の障害者や生活保護受給者への無料パスの廃止、医療費削減と厳しい取立てが強行された。国民健康保険証を交付されない子どもたちの数は横浜市が突出している。中田は、定額給付金への問い合わせを行う市民を「物ごい」とまで言ってのけた! なによりも徹底した民営化・労組破壊だ。02年から09年で実に7千人近い労働者が削減された。
 他方で中田は、「インベスト神奈川」と称して県知事・松沢とともに日産などの大資本に巨額の資金を与え、癒着と腐敗の限りをつくしてきた。そして「つくる会」教科書採択に見られる戦争教育の推進だ。
 中田のような軽薄漢が道州制に向けた政界再編に性懲りもなく突き進むことなど労働者は絶対に許さない! 大恐慌、自民党の崩壊、そして中田辞任は労働者にとって最大のチャンス到来だ。職場生産点こそ最大の激突点だ。資本・当局と対決し、体制内指導部をぶっとばし、絶対反対を貫いて隣の労働者を組織し、11月労働者集会に1万人の力ある結集をかちとろう。これこそ「つくる会」教科書攻撃を粉砕する力だ。
 (神奈川・O)