2009年8月17日

サンフランシスコ国際会議(発言)

週刊『前進』08頁(2403号5面1)(2009/08/17)

“次は11月に日本で会おう”と固く誓う サンフランシスコ国際会議が大成功

 アメリカ 組合官僚を打倒し、団結し闘えば必ず勝利できる ILWUローカル10 ジャック・ヘイマンさん

 今日のテーマは、「過去の闘いから現在の闘いへの教訓を学ぶ」です。
 3日の1934年サンフランシスコゼネスト記念学習集会で、あのゼネストは、腐敗した組合指導部に対するランク&ファイル労働者の反乱であり、その結果として団結がかちとられたということが明らかにされました。それは組合幹部と政府に立ち向かう団結でした。われわれが34年のストライキから学んだことは、組合官僚というものは組合員を攪乱(かくらん)し、資本と闘うことを妨害するということです。
 われわれは現在、当時と同じ状況にあります。問題は、1929年に資本主義が死にかけたということではなく、インターナショナルが死んでいた、ということです。
 去年のメーデーで起こったことは重大な意義を持っています。アメリカ史上初めて労働者が西海岸の全港湾を封鎖した。実際にはストライキです。帝国主義の戦争を止めるための職場・生産点での初めての闘いでした。
 われわれローカル10は、07年10月20日、戦争阻止のための労働者会議を開きました。会議には動労千葉やその他多くの国からの労組代表が参加しました。そこでわれわれが決定したことは、組合の現場にもどって、労働者が職場=生産点で持っている力を発揮させ、行動を組織しようということでした。ILWUはそれを実行したのです。
 このレベルにとどまらずわれわれがやるべきことは、港湾労働者の枠を越えて移民労働者を大量に組織化することです。アメリカの港湾トラック運転手の大部分は移民労働者です。しかし港湾のトラック運転手は、規制緩和の結果、ほとんど組合に入っていません。
 ILWUにも、他の組合と同様、組合官僚は存在します。ビジネス・ユニオン官僚です。彼らは会社と結託して労資協調路線をとり、政府と結託してTWIC(港湾労働者身分証明カード)のような新たな規制に協力しています。
 また彼らは、ランク&ファイルが組合会議で決めた決議に枠をはめようとしました。この決議は、イラクとアフガニスタンからの即時撤兵を要求していましたが、組合官僚はアフガニスタンからの即時撤兵の項目を削除しようとしたのです。しかし結局のところ、そうはさせませんでした。
 1934年ゼネストの教訓は何か。労働者が階級闘争的基礎において団結し、組合官僚をのりこえ、打倒して闘うならば、資本と権力との闘いに必ずや勝利することができるということです。

 日本 国際連帯の基礎は自らの職場で組織化することだ 動労千葉委員長 田中康宏さん

 ILWUが信念としているランク&ファイルの組合員への絶対的な信頼というのは、私たちの組合員が同じく信念としてきたことです。
 私たちは22年間、国鉄の分割・民営化を認めずに、ずっと闘いを続けています。私もこの民営化で解雇された労働者ですが、22年間闘いを続けてこられたのは、組合員が本当に家族のように団結をしてくれたからです。私がこの間、闘いで学んだことは、労働者は団結をした時には、解雇も恐れずどんな弾圧も恐れず闘い続けることができるということです。
 私たちは、この闘いの後、闘いをもっと広げました。鉄道という枠を越えて日本の全国の現場の労働者の活動家たちを結集して、労働運動をもう一度再生する組織をつくりました。
 労働組合が最も闘わなければいけない時に、ほとんどの多くの労働組合が労資協調派に転落し、闘えなくなっていく。この現状こそ、僕らが打破しなければいけない問題だと思っています。
 今、日本では大恐慌のもとで労働者に対する重大な攻撃が激しく襲いかかるとともに、北朝鮮をめぐって戦争の危機が高まっています。日本政府とアメリカ政府によるこの危機を止めることができるのも労働者の団結した力、これを許してしまうのも労働者です。だったら私たちは、これを止める団結した労働者の力を日本で登場させたいと願っています。
 法政大学をめぐる状況がこの間激変したのも、労働者に対する大変な攻撃や社会的な反動が急速な速度で進行していることを示すものです。
 労働者にはこうした国際連帯が絶対に必要です。それ抜きには今の情勢に立ち向かうことは絶対にできません。その基礎は、一番困難な自らの職場で同志を組織する、自らの職場で本当に組合員の団結を組織する、この課題に挑戦することだと思います。問われていることは、社会主義をめざす労働運動への変革です。
 私たちは、韓国の民主労総の同志たちを心から尊敬しています。というのは、今日80万人の組織である民主労総は、新自由主義攻撃まっただ中の1995年にナショナルセンターとして立ち上げ、世界全体の労働運動が後退を続ける過程で、世界中の労働運動の先頭に立っているからです。
 私たちは、ILWUの同志たち、民主労総の同志たちとともに闘えたことを心から誇りに思います。これからも私たちは永遠に闘い続けることを誓います。

 韓国 民主労総は労働者の闘争と変革の軸として再び立つ 民主労総ソウル地域本部指導委員 イジェヨンさん

 今、朝鮮半島は戦争の暗雲が立ちこめています。帝国主義による侵略戦争の可能性が急速に高まっています。
 オバマ政権は、世界の資本主義が恐慌に陥れば陥るほど、侵略的にならざるをえません。イラン大統領選挙を契機に内戦を誘導しており、ホンジュラスの軍部クーデターも米国と無関係ではありません。北朝鮮に対しては、戦争をとおした体制転覆を狙っています。そこでの日本の支配階級の役割も重大です。
 韓国経済は世界資本主義経済に深々と組み込まれ、大恐慌の余波をもろに受けています。08年第4四半期にはマイナス20%成長へと経済が縮小しました。このようななかイミョンバク政権は、〈内に向かってはファシズム、外に向かっては帝国主義覇権勢力の下位パートナー>という亜帝国主義化によって切り抜けようとしています。すでに「海賊退治」を名目にソマリア派兵を行い、アフガニスタン派兵も検討しています。
 こうした厳しい情勢のもと、民主労総は変革性・戦闘性を喪失し危機に直面しています。この10年以上、賃金・団体協約闘争中心の組合主義的実利主義にとどまっており、全労協時代の変革指向は「社会改革」へと後退しました。1600万労働者階級の代表ではなく正規職組織労働者中心の運動になっています。
 一方、貨物連帯が果敢に闘っています。運輸労組貨物連帯は6月11日、ストライキに突入しました。大韓通運と交渉を行い、「解雇組合員の原職復帰」など生存権要求については合意に至り、組合は認めなかったものの、合意書の署名主体に「貨物連帯」という4文字を明記させ、貨物連帯のストライキ闘争は終結しました。
 私は、マルクスが150年前に訴えた「万国のプロレタリア、団結せよ!」こそ、今の情勢において主要な実践になるべきだと考えます。今こそ労働者階級の国際連帯の強化が切実に求められています。恐慌と帝国主義戦争に立ち向かう反戦・反帝国主義・国際連帯の強化に向けてともに闘っていくため、今回の国際労働者会議は出発点になるものと考えます。
 最後に、労働運動が急進化・政治化してこそ恐慌と戦争の突破は可能であり、反イミョンバク・反ファシズム闘争へと打って出ることこそ、労働者階級の現下の任務だと考えます。そのためにも、民主労総が韓国労働者階級の闘争の軸、変革の軸として再び立ち上がっていきます。

 フィリピン デモとストを打ち抜いて動労千葉のように闘う フィリピン航空地上職労組委員長 ゲリー・リベラさん

 私はマンガガワ党という名のフィリピン労働党に属しています。フィリピンは小さい国ですが、政治意識は高く、さまざまな政治的・経済的危機をめぐって普通の大衆がその政治過程に積極的に参加しています。
 フィリピンでは政治腐敗がものすごく、特にエストラダ前大統領のもとで腐敗が深まりました。そのため経済状況も悪化し、通貨の価値も下がっています。
 労働者の状態についてですが、フィリピンの人口は9000万人で、うち3分の1が労働者です。組織率は10%です。失業は400万人で、うち50万人が労働組合に組織されています。このフィリピンの労働人口のほとんどが契約労働者です。
 フィリピン労働者を苦しめている真の原因は資本主義体制そのものです。資本主義諸国は、利害を対立させつつも結束しています。問題は、労働者が国際的な団結組織をもっていないことです。「労働者の組織」と称するものは、どれも帝国主義と企業の利益を代表しており、労働者を代表するものではありません。政党も同じです。
 生産と通商の歴史的な衰退が起きています。農・林・漁業部門は収縮し、輸出総額も急落しています。フィリピン政府は輸出特区を制定し、自由貿易区域に外資を大規模に導入しています。この区域では組合の結成が許されていません。
 フィリピンでは失業が死を意味します。失業しても補償がなく、医療を受けることも困難です。労働力を輸出せざるをえない状況です。しかしわれわれは、動労千葉のように断固闘争を続けています。首都マニラに次ぐ都市・セブでわれわれ労働党の仲間が中心となってストライキを打ち抜きました。今デモをやっています。このストライキは自由貿易区域での初のストライキです。

 イタリア 大恐慌の中で生きる港湾民営化反対闘争の教訓 ジェノバ港湾労組 ピエトラサンタ・マルコさん

 私たちイタリアにも労働者の闘いの伝統があります。サンフランシスコゼネストと同じ年に、イタリア労働者もファシスト・ムッソリーニの支配に対して闘ったのです。
 80年代に世界的に行われた、全産業にわたる生産組織の大規模再編の結果、規制緩和が開始され、港湾も激変しました。機械とコンテナの大規模な導入や労働条件の変化です。
 これに対してCULMV(荷役労働者統一組合)の港湾労働者が決起し、ストライキを含む激しい闘争が行われましたが、イタリアの労働組合全国組織も既成政党も、この闘いを支援しようとせず、CULMVは孤立しました。
 92年、港湾の規制緩和・民営化を促進する法的措置がとられ、イタリアの全港湾をすべて同じ条件のもとに置き、民間企業に明け渡す流れが強まりました。94年以降、ジェノバでも、民間会社が直接、港湾労働者を雇うことができるようになってしまいました。こうして港湾は細分化され、分断され、六つもの異なった契約形態が存在することになりました。その結果、港湾労働者の賃金は低下し、新規採用の青年労働者は異なった雇用条件のもとに置かれるようになりました。
 今回の世界恐慌で港湾の作業はほぼ半減しました。現在、世界大恐慌のただなかで共産主義、革命、インターナショナルについての議論が始まっています。『資本論』を読めという声が高まっている一方、「マルクス主義は幻想だった」などと言う人がいます。
 しかし私は、共産主義は夜明けを迎えていると思います。労働運動は拡大しており、不満をもった青年たちの数は増えているからです。ともに闘いましょう!

 トルコ 労働者階級を中心とした団結のみが未来切り開く 進歩的医療労働組合書記長 トゥファン・セルトレクさん

 私たちは、1967年に設立された闘う独立ナショナルセンター、DISK(ディスク=進歩的労働組合連盟)に所属する進歩的医療労働組合です。DISKは1970年代、政府の労組弾圧法に20万人のストライキで闘うなかで、社会主義と革命をめざす運動へと飛躍をとげました。そのようななか、私たち進歩的医療労組は1973年に結成されましたが、1980年の軍事クーデターによって12年の間、組合活動禁止となりました。DISKの全指導者は、逮捕され拷問され懲役を言い渡されました。
 活動を再開できたのは92年になってからです。そのころ、すでに民営化攻撃が全面化していました。当時、同じ病院で働いている看護師の中には、政府の公務員と、民間下請け会社からの派遣労働者がいました。非正規職労働者は、すぐに首を切られてしまったり、下請け会社が武装マフィアの経営だったりして、組織化が非常に困難です。
 しかし私たちは、病院で働くすべての労働者を組織しようと決意しました。法的には、私たちが組織できるのは医療労働者(看護師、医療専門職、医師など)だけです。しかし、調理、清掃、病院事務、リネン、コンピューター関係など、病院で働くすべての労働者が私たちの仲間です。
 「組合とは賃金闘争のために存在している」という考え方がありますが、私たちは全面的に反対です。労働組合は、労働者階級が経済闘争と政治闘争を展開する一つの重要な場です。
 トルコ共和国の設立以来、クルド問題は無視抹殺され、トルコへの同化政策がとられてきました。たび重なる決起はじつに残虐な形で弾圧されてきました。また私たちは、トルコが帝国主義によるイラク、イラン、シリア侵略の手先になることを拒否します。
 労働者階級を中心とした人民の団結した運動のみが、未来を切り開く決定的な武器です。ともに闘いましょう。

 団結し労働者の力で港湾を止め戦争をやめさせよう 米「反戦の母」シンディ・シーハンさん

 私は言いたい。労働組合が民主党支持という政策と縁を切らないかぎり、そしてランク&ファイルの労働者が立ち上がらないかぎり、何も変わらない。これをわれわれが自覚しないかぎり何も変わりません。
 問題は階級闘争です。搾取する階級と搾取される階級の問題なのです。労働組合に属していようがいまいが、社会正義をめざしていようが、平和運動をやっていようが、搾取されている階級として団結すべきなのです。
 一部の労働組合の卑屈な指導者たちは、民主党の政権を維持するために躍起になっています。彼らは私たちの害になるだけです。労働組合は「自由貿易協定クソ食らえ」と言わなかった。自由貿易協定は、アメリカの労働者から職を奪うだけでなく、世界中の労働者を苦しめているのです。
 ILWU本部の元委員長、ジミー・ハーマンの言葉を引用します。「港を数時間止めることはできるが、それでは何も変わらない。変わるまですべてを止めよう」。本当に労働者の力で港湾を止め、戦争をやめさせよう! アフガニスタンとイラクから軍隊を撤退させるまですべてを止めよう! 搾取する階級をやっつけよう! いんちきな連中をたたきのめせ!

 ブラジル 国際連帯前進へ、もっと組織し第2回国際会議を コンルータス(全国闘争連盟) ファビオ・ボスコさん

 私は、労働組合の全国的連合体であるコンルータス(CONLUTAS=全国闘争連盟)の代表として来ています。
 ブラジルの代表的な労組組織CUT(労働者中央同盟)とFC(組合の力)は、ルラ政権のもとで労資協調主義に陥っています。ルラ大統領は30年来、この国の最も重要な労働運動指導者でしたが、彼は政権に就くや、金持ちと銀行のための政治をやりだしたのです。
 コンルータスは、年金削減に反対する公共部門労働者の40日のスト(03年)を支援するために、翌04年3月に結成されました。同年5月の第1回労働者階級全国大会には2729人の代議員、235人のオブザーバー、529の労組・団体から268人のゲストが参加し、文字どおり労働者の全国組織になりました。
 コンルータスは、譲歩によって職は守れないと考えています。われわれは公的資金を銀行や企業に注入することにも反対しています。公的資金は、公教育、医療、社会保障などの改善に使われるべきであり、資本家どものために使われるべきではありません。
 われわれはランク&ファイルの民主主義を追求しています。労働組合は、労働者が社会を運営する方法を学ぶ学校であるべきだと考えているからです。組合を運営できれば、社会と世界を運営することができるようになるからです。
 ブラジルでいま最も注目すべき闘争はGMの闘いです。ブラジルで起こっていることは、アメリカの自動車産業でも見られないレベルです。
 われわれはまた国際連帯の活動に力を入れています。昨年、ラテンアメリカ諸国の労働団体とともに、ブラジルでラテンアメリカ・カリブ海諸国労働者連帯会議を行いました。
 さらに、ハイチからブラジルの軍隊を撤退させるべく闘っています。われわれブラジルの労働者人民にとって、ハイチ人民に対する抑圧と搾取は最も恥ずべきことです。 動労千葉が教えてくれたように、国際連帯の重要な一歩が始まりました。動労千葉から決議案が出されました。私はこれを支持します。
 一定の時間をおいて、もっと多くの人と組織を集めて第2回の会議を開きましょう。それは国際連帯をつくりだすうえで重要な前進となるでしょう。マルクスが『共産党宣言』で述べた言葉、「万国の労働者、団結せよ!」を実現するためにともに闘いましょう。