2009年8月 3日

〈焦点〉 “607万人が過剰”大失業あおる「白書」

週刊『前進』10頁(2402号5面3)(2009/08/03)

〈焦点〉 “607万人が過剰雇用状態”
 大失業攻撃あおる「白書」

 内閣府が7月24日に公表し、閣議で了承された09年度年次経済財政報告(経済財政白書)は、絶対に許すことのできない反労働者的な代物だ。それは、“日本の企業が過去最多の607万人の「過剰雇用」を抱えている”という異例の報告である。「過剰雇用」とは、実際の常用雇用者数から「最適な雇用者数」(内閣府が算出)を差し引いた数だ。これを資本家は「企業内失業」とも言う。日本の常用労働者数は4400万人だから、実にその14%が「過剰」だと言っているのだ。
 どれだけ労働者を踏みにじったら気がすむのか。日帝・麻生政権がこの白書で言いたいことは、「日本経済が生き延びていくためには、さらに600万人の首切りが必要だ」ということだ。資本家による一層の首切り攻撃にお墨付きを与えているのである。
 実際、白書は「企業にとって、生産の減少に見合わない労働投入を持続することは困難である」「すでに限界に近く、生産の迅速な回復がない場合、雇用者数の大幅な削減へと重点が移ることが懸念される」と平然と述べている。
 景気のいい時は労働者を低賃金でこき使って莫大(ばくだい)な利益を上げ、いざ大恐慌になると「雇用が過剰だ、無駄だ」と言って首切りをどんどん進め、労働者の犠牲で資本家が生き延びる——こんなことをどうして許せるだろうか!
 今年に入って首切りが激しく進んでいる。1〜3月期は、前期(昨年10〜12月)と比べて非正規労働者が97万人減り、正規労働者が4万人減った。5月の完全失業率は5・2%、完全失業者数は347万人で、1年前に比べて77万人増で、毎月増え続けている。日本だけではない。アメリカでもユーロ圏でも失業者数は1500万人に達している。これから全世界的に失業率は10%を超えて大失業時代に突入する。
 日帝経済は大恐慌にのたうち回っている。「景気は下げ止まった」などと言っているが、昨年上半期(1〜6月)と比べて輸出入は実に4割減、鉱工業生産も3割も落ち込んでいる。経済財政白書も認めているように、今回の世界大恐慌の震源である米欧以上に日帝の危機は深刻だ。過剰資本・過剰生産力の問題を絶対に解決できない。過剰なのは労働者ではなく、資本なのだ!
 白書は一方で「607万人の過剰雇用」と言いながら、他方で「雇用情勢の悪化は、社会不安につながる」と、失業への怒りがプロレタリア革命に転化することを恐れている。議会制支配の崩壊の中で、むき出しの階級的激突がこれからの時代の行方を決めるのだ。もはや資本家には労働者を食わせていく力もない。今こそ労働者階級が資本家を打倒して生産手段を掌握し、労働者の手で社会主義・共産主義を実現していかなければならない。
 連合は、衆院解散—8月末総選挙で労働者の闘いを「民主党支持」の選挙運動にねじ曲げている。このような体制内勢力と徹底的に対決しよう。国鉄1047名解雇撤回闘争を先頭とする4大産別決戦、道州制・民営化阻止の闘いを爆発させ、11月労働者集会に1万人の大結集をかちとろう。