2009年7月27日

スト鎮圧に決死抗戦 韓国・双龍自動車労組 2カ月こえる工場占拠

週刊『前進』06頁(2401号6面1)(2009/07/27)

スト鎮圧に決死抗戦
 韓国・双龍自動車労組 2カ月こえる工場占拠
 大恐慌下の階級戦争
 国際連帯で11月1万結集へ

 韓国で2カ月を超える平沢(ピョンテク)工場占拠ストライキが闘われている。7月20日以来、李明博(イミョンバク)政権と資本によるスト鎮圧攻撃に決死抗戦の階級戦争が続いている。このストライキ闘争の原動力は現場労働者の力だ。「解雇は殺人だ!」「一緒に生きよう!」と立ち上がった民主労総金属労組双龍(サンヨン)自動車支部組合員千人の闘いは、資本・権力によるあらゆる分断をのりこえ、世界大恐慌下の新自由主義攻撃といかに闘うべきかを指し示している。

 強制執行始まる

 「整理解雇撤回、非正規職・正規職の総雇用保障、公的資金の緊急投入」を要求し、サンヨン自動車支部が無期限全面ストに突入したのは5月22日。激しい攻防を闘いぬき、スト60日、70㍍の煙突上での籠城(ろうじょう)69日となった7月20日、ついに強制執行が始まった。
 今年1月、サンヨン自動車は銀行融資を断たれ、法定管理(日本の会社更生法手続き)を申請した。法定管理人らは2646人もの整理解雇方針を打ち出すとともに希望退職が強要された。「闘って勝つには団結しかない」——整理解雇対象者も生き残った者も、正規職も非正規職も、家族も一緒にストライキに唯一の活路を見い出した。「一緒に生きよう!」
 労組は砦(とりで)として構える塗装工場前をバリケードで固めて強制執行を迎え撃った。敵の接近を阻むためシンナーが入ったドラム缶を各所に転がす。さらに正門から100㍍ほど入った地点に山積みした古タイヤに火を放った。
 会社側は16日から食料搬入を阻止、さらに19日には医療支援団の出入りまで禁じるという卑劣な兵糧攻めに踏み切っていた。20日も裁判所の執行官が現れる10時に始まる鎮圧作戦に備え、塗装工場の電気を切った。昼前には水、ガスも切るという天人ともに許されざる暴挙に出た。
 7月20日午前10時過ぎ、警察部隊、会社役職員などで組織された救社隊など2千人がフォークリフトなどの重機を先頭に工場内に侵入した。労組が放送で「私たちは人間らしく生きるために死ぬことを覚悟して決死抗戦する」と宣言し、ストライキに参加しなかった組合員には「絶対に工場内に入ってくるな。労使葛藤(かっとう)に介入してはならない」と呼びかけた。
 攻防渦中の昼過ぎ、サンヨン自動車支部政策部長の妻が自殺したという衝撃的な知らせが飛び込んだ。ハンサンギュン支部長が「私たちの仲間の大切な妻を失った。私たちのどこが悪いのか!」と絶叫。労組は「解雇は殺人だ! これ以上殺すな! 会社側の整理解雇強行と政府の無責任な対応が労働者と家族の命を相次いで奪っている。会社側は家族への脅迫などスト破壊策動をただちに中断し、整理解雇を撤回せよ! 政府は直接対話を行い、死の行進を防ぐために積極的に対応せよ!」と声明を発した。
 この機に乗じた会社側は、神経を逆なでする大音響で大衆歌謡曲と「啓蒙(けいもう)放送」を流し続け、上空を旋回するヘリが騒音をまき散らした。
 翌21日、警察部隊が増強され、「対テロ特殊部隊」と言われる警察特攻隊も待機態勢に入った。塗装工場へと接近を図る警察部隊に対し、労組が塗装工場の屋上から射程距離200㍍以上の大型パチンコでボルトを発射。火炎瓶も飛び、着火した古タイヤの黒鉛が平沢工場を包む。昼ごろから低空を旋回するヘリが工場屋上をめざして催涙液をぶちまけた。地上では侵入してくる警察部隊に数百人の組合員らが応戦、鉄パイプでの白兵戦となった。
 夜を徹した鎮圧作戦の中、明けた22日、警察ヘリは催涙液に加えて新たな化学薬品を投下。包囲網を狭めて塗装工場に迫ろうとする警察部隊との白兵戦が続く中、警察がテーザー銃を使用、発射された矢が顔面や足に命中し組合員が重傷を負う事態となった!
 22日、民主労総・金属労組はゼネストに突入! 国会では与党ハンナラ党が言論悪法の上程を強行! 平沢駅前に怒りに燃える労働者5000人が集まった。「最後まで闘って、必ず勝利しよう!」のシュプレヒコール。起亜自動車支部ファソン支会から1千万ウォンを超える闘争カンパが届けられた。サンヨン支部の家族も「世の中で最も立派な人は労働者だ。労働者の力で平等な世の中をかちとろう」と呼びかけた。決意大会後、デモは平沢工場を目指したが、行く手を阻む警察部隊と対峙。警察の暴力的連行が行われた。
 23日、大規模兵力を投入するとの発表に現場の緊張は極点に達した。これを阻止しようと午前8時、金属労組サンヨン自動車支部組合員がソウルの独立門駅前の高架道路の橋げたで高空籠城に決起した! 金属労組はこの日も4時間のストライキで闘いぬいた。

 “共に生きよう”

 連日30度を超える猛暑が続く中、水も食料も電気もガスも断たれた塗装工場に催涙ガスが立ち込めている。しかし、この闘いこそ、イミョンバク政権と資本の新自由主義攻撃を突き破る歴史的決起であることは明らかだ。
 サンヨン自動車支部は塗装工場から世界の労働者に誇り高く呼びかけている。「困難な状況にも同志たちは英雄的に戦っている。蓄積した疲労、食事を取ることもできず、1日に数十回と続く攻撃にも組合員らは塗装工場を強固に守っている」「今は外での強力な連帯闘争が本格的に広がらなければならない。サンヨン労働者の闘争がすべての労働者の雇用と生存をかけた闘争であることを知らせて、政府の責任を促す強力な連帯闘争を準備しよう! 残された時間は多くない。サンヨン組合員らの英雄的闘争に応える連帯闘争を組織しよう!」
 塗装工場への警察特攻隊突入は、最終的にはイミョンバク大統領の政治判断に委ねられている。「サンヨン自動車の整理解雇を貫徹できないで、今後、現代、大宇、起亜の構造調整ができるのか」との法定管理人の言葉どおり、スト鎮圧こそがやつらの唯一の道だ。
 この攻防の最中、訪韓した大阪府知事・橋下と会談したイミョンバクは「公務員の賃金カットは韓国ではなかなかできない」と言い、橋下も「困難な中で政治的信念をもって事業を成し遂げていく姿勢を見習いたい」と称賛し合った。
 サンヨン労働者の闘いは、イミョンバク政権のみならず、日米帝国主義をも突き刺す闘いだ。現場労働者の誇り高き闘いが新たな時代を押し開いている。サンヨンの労働者の決死の闘いに応え、国際連帯を貫いて11月1万人結集を実現しよう。