市東さん裁判 公団は“不在地主” 農地法違反露呈
市東さん裁判 公団は“不在地主”
農地法違反の暴挙露呈
7月21日、千葉地裁で市東孝雄さんの二つの農地裁判が開かれた(①市東さんが千葉県を訴えた行政訴訟と②空港会社=NAAが市東さんの農地の明け渡しを求めた民事訴訟=農地法裁判)。
農地強奪攻撃の張本人NAAとそれにお墨付きを与えた千葉県への怒りに燃え、連続裁判に労働者・学生・市民85人が駆けつけ傍聴席を埋めた。
法廷で決定的な事実が反対同盟側によって突き出された。空港公団(現NAA)は「不在地主」であったのだ。
農地法第6条は「誰であろうとも自分の住所地(市町村)以外のところに小作地を持つことができない」と定めている。これは戦後の農地改革で耕作者の権利を守り、不在地主を規制するものだ。
市東さんの農地を公団が旧地主から取得したのは1988年。この時、公団の本社は東京都内にあった。成田市内に移転したのは1996年だ。
空港公団は空港建設のためになりふり構わず金に飽かして現に農業が営まれている土地を旧地主らから買いあさってきたが、そもそも公団が「地主」として小作地を所有することは農地法6条違反なのだ。この一点で、NAAには市東さんの土地を取り上げる権利などない! しかも耕作者(市東家)の同意なしで秘密裏に買収し、旧地主が地代を何食わぬ顔で15年間も取り続けた。賃貸借契約解除のために成田市農業委員会に出した申請書には「2003年に登記して土地を取得した」と虚偽を記載するなど、NAAの行状はことごとく違法のオンパレードだ。
これらの事実が二つの裁判で千葉県とNAAを決定的に追いつめた。弁護団に追及されNAA代理人は、「空港公団は農地賃借権があると認識して天神峰の農地を買収した」と認めた。違法を承知で土地を取得し、後で力ずくで農民を追い出せばいいという居直りだ。
裁判終了後に弁護士会館で記者会見が開かれ、冒頭に市東孝雄さんが決意を表した。「調べれば調べるほど新しい事実が明らかになっています。法廷ではこちらが有利に進んでいますが、けっして油断はできません。3本目の誘導路計画は絶対に許せない攻撃です。今まで以上に力を入れてがんばりますのでよろしくお願いします」。大きな拍手と歓声に包まれた。
法廷でのやりとりについて記者と弁護団との熱心な質疑応答が交わされた。特に今、農地法の改悪によって、「耕す者に権利あり」の大原則が破壊され、農地が企業に奪われようとしている中で、この農地裁判の闘いは決定的だ。
この日開廷前には、天神峰現闘本部裁判での仲戸川裁判長の反動的訴訟指揮に抗議する申し入れが、千葉地裁民事第5部に対して行われた。しかし、仲戸川本人は反対同盟と弁護団の面会を拒否し奥に隠れたまま。別室で北原鉱治事務局長が担当書記官に申入書を読み上げ、①石橋、法理証人の再喚問、証人尋問、②現闘本部建物の実地検証を強く要求した。
NAAと千葉県を徹底追及する場として、この二つの裁判は一層白熱化する。次回は10月20日。全力で結集し闘おう。