入管法改悪を弾劾 「在留カード」施行絶対阻止へ
入管法改悪を弾劾する
「在留カード」施行絶対阻止へ
7月8日、入管法改悪案を始め関連法案が参議院本会議で可決・成立した。死に体の麻生政権のもと、なぜ自公民一致で可決なのか。これを突破口に戦争・改憲と民営化・労組破壊、道州制へと道をつけようとする日帝ブルジョアジーの意志がそこに貫かれているからだ。しかし、外登法廃止こそ戦後入管体制の破綻の結果そのものだ。その破綻を見据えようともしないで何が「外国人管理を入管法に一元化する」だ。やれるものならやってみろ! 世界は革命情勢だ。改悪入管法を徹底弾劾するとともに、怒れる在日・滞日外国人労働者222万人とともに闘い、3年以内に施行するという「新たな在留管理制度」=「在留カード」導入を阻止することを宣言する。
自公民一致で可決
倒壊寸前の麻生政権は、今国会で入管法だけでなく、海賊対処法や臓器移植法改悪など、労働者人民の生命を切り捨て、戦争へと踏み込む悪法を成立させた。このことを徹底的に弾劾する。
8日の参院本会議で可決・成立したのは入管法(出入国管理及び難民認定法)、入管特例法(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法)と住民基本台帳法の各改悪案だ。法務委員会と総務委員会(住基法)で審議されたが、参院では6月25日に趣旨説明があり、審議3日目の7月7日には各委員会で採決され、本会議に回されたのだ。
森英介法務相が「戦後入管体制が発足して以来、最大の制度改正」(7月7日参院法務委)とぶちあげ、住基台帳システムの整備だけで200億円をかける大事業でありながら、驚くべきスピード審議で採決に至ったのだ。形式的な参考人意見聴取は行われたものの、当事者である外国人から意見を聴く場はなく、国会での審議内容を当事者に知らせることもなかった。
今次入管法改悪は、世界大恐慌に対応し在日・滞日外国人に対する管理を入管法に一元化し、日本人労働者階級との差別・分断、治安管理の徹底・強化を狙うものだ。
第一に、特別永住者を除く「中長期在留者」に対して、偽造防止用のICチップが埋め込まれた顔写真付きの「在留カード」を交付する。氏名や国籍、住所などに加えて在留資格と有効期間、就労できるかどうかも明記され、「不法就労者を一目で見分けられる」ようになっている。
現在143万人といわれる「中長期在留者」とは、特別永住者を除く永住者、研修生・実習生、技術者や留学生など、日帝の労働力政策の環として在留している人びとだ。「在留カード」受領・常時携帯・提示の義務が課され、違反者には刑事罰が科せられる。
住居地以外の事細かな「身分事項」は、地方入管局に届け出る。登録事項に変更があった場合には14日以内に届け出なければならない。地方入管局は全国8局、支局・出張所を含めても76カ所にすぎない。従来の全国各地の自治体窓口での手続きと比べても大きな負担が強いられる。例えば、改悪法のもとでは外国籍の高校生(特別永住者以外の中長期在留者)は、16歳の誕生日に学校を休んで地方入管局に行って「在留カード」を受領し、14日以内に市町村窓口に行き、カードに住居地を記載してもらった上でそのカードを常時携帯しなければならない。しかも「在留カード」は警察にもリンクされる。
第二に、在日朝鮮人・中国人など特別永住者には、入管特例法に基づく「特別永住者証明書」が交付される。今回、常時携帯義務については削除されたが、受領義務・提示義務は維持され、違反者には「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」が科せられる。
「特別永住者証明書」も顔写真、生年月日、居住地、職業などの記載が義務化され、これらに変更があれば14日以内に届け出の義務があり、違反したら刑事罰(20万円)となる。日本人が転居の登録を怠った場合、行政罰として過料5万円だ。
第三に、短期滞在者や非正規滞在者、難民申請者には「在留カード」は発行されない。日帝は現在、13万人を超える非正規滞在者に対しては徹底的に国外追放すると宣言しているのだ。
入管体制強化の動き
入管法改悪動向と一体のものとして入管体制をめぐる動きは激しい。
第一は、改悪入管法成立後、日帝・法務省が7月に発表した「在留特別許可に係るガイドラインの見直し」だ。
このガイドラインには「積極要素」として「日本人の子または特別永住者の子」「日本人または特別永住者と婚姻が法的に成立」などが列挙され、「当該外国人が、不法滞在者であることを申告するため、自ら地方入国管理官暑に出頭したこと」との項目もある。
これは入管法上、一切の外国人的権利から排除されている非正規滞在者に対して日帝への屈服を強要するものであり、「自ら申告すれば特別在留の対象者」だとするアメをちらつかせて、追放政策を強化しようとするもくろみなのだ。もともと在留特別許可制度は「法務大臣の自由裁量権」で決定される。そこには「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」という入管体制の本質が貫かれている。
第二に、国際的な人材獲得競争に勝ち抜くためとして、日本経団連の提言を受け入れ、「高度外国人材受け入れ」を推進することを明確化したことである。
麻生は「高度人材の受け入れについては、グローバルな競争に後れを取らないよう、推進組織を設置し、外国高度人材の受け入れを国家戦略と位置付け、取り組んでほしい」と檄(げき)を飛ばした。外国人労働者のうち資本にとって都合のいい「人材」だけを選別雇用して、日帝の延命のためにこき使うというのだ。留学生30万人計画も同時に発動した。
第三に、激しい排外主義の扇動が推し進められていることである。特に、北朝鮮の人工衛星発射以来、反北朝鮮バッシングが激しく展開されている。その動きとあいまって、「在日特権を許さない会」などというファシスト運動が、各地でうごめいている。
こうした入管体制の強化の動き、排外主義扇動の動きを粉砕できるのは労働者階級の団結した闘いのみである。動労千葉労働運動を自ら実践し、排外主義との闘いの先頭に立とう!
道州制粉砕−11月へ
橋下大阪府知事や東国原宮崎県知事を先兵として、道州制・民営化攻撃が本格的に開始されている。地方自治制度の解体をとおして戦後的な労働者支配のあり方を一掃し、新たな仕組みに改編していく道州制攻撃を粉砕しよう。
道州制は「国のかたちを変える」改憲・戦争攻撃そのものだ。日帝は道州制攻撃の一環として入管体制を「国家戦略上不可欠の課題」とすえきり、外国人治安管理を入管法に一元化しようとしている。
外国人住民票の「記載、削除、修正」について市町村が法務大臣に通知することを法で定め、住民基本台帳制度を在留管理制度の一環とするというのだ。これは自治事務を国の「在留管理」事務に従属させることであり、粉砕あるのみだ。
労働者には国境はない。出入国を管理する入管法こそ、全世界の労働者が団結することを恐れた国家権力と資本による分断政策の極みだ。現在13万人に上ると見られている非正規滞在者には徹底した排除、追放政策で臨もうとしているが、彼らを「見えない存在」に押し込むことは、イコール入管体制では管理できなくなるということだ。日帝が「内乱勢力」「革命勢力」と恐れる彼らと革命的に結合し、団結し、新たな在留制度=「在留カード」のスタートを阻止することはまったく可能だ。在日・滞日労働者人民と団結し、11月労働者集会に1万人結集をかちとり、民族・国籍・国境を越えた労働者の団結の力を解き放とう。