臓器移植法の改悪弾劾 「脳死は人の死」規定で命を奪う
臓器移植法の改悪弾劾
「脳死は人の死」規定で命を奪う
参院で7月13日、A案といわれる臓器移植法改悪案が可決、成立した。徹底的に弾劾する。「脳死は一律に人の死」と勝手に決めつけているが、要は生きて動いている心臓などを取り出して売ろうとしているのだ。人体の商品化だ。労働者階級を徹底的に資本の価値増殖の手段=奴隷として扱い、臓器売買や薬品開発などのビジネスチャンスを見いだす。最末期資本主義の非人間的延命策であり、労働者階級への究極の分断・抑圧政策だ。
「自分の家族の命を守るためなら他人の死を願い臓器を奪え!」とあおっている。食うか食われるかの生存競争だ。自衛の名による侵略戦争の論理と同じだ。臓器移植法は、労働者階級を戦争に駆り立てる攻撃だ。
「脳死」は「人の死」ではありえない。「脳死判定」もねつ造された方便である。何人もが闘病から回復した事実がある。低体温下で脳圧を下げるなどの療法で救命されたケースもある。他方「移植でしか助からない」も方便だ。他人の臓器との混在で「絶対に助かる」保証などない。
現行法も含め臓器移植法は「脳死」を前提にしている。粉砕の対象だ。新自由主義下で開始された脳死臨調や97年の法制定は、12年経てもその趣旨である「患者殺害の同意」や「愛のドナーカード」は労働者からそっぽを向かれている。力ずくで「脳死判定」を81件強行したが、大破綻に厚労省はあえいできた。
しかし大恐慌突入で一気に〈戦争・改憲、民営化・労組破壊>の攻撃が強まり、日帝は「子どもの移植に反対するのは非国民」とばかりに与野党挙国一致で総屈服を迫った。誰ひとりとして臓器移植法そのものに反対する議員は現れなかったばかりか、民主党は国会解散=廃案前にわざわざ採決に応じた。結果、自民党のほとんどと民主党の半数議員を結集させA案成立で押し切ったのだ。
第一に、A案は労働者階級から命を簡単に奪うものだ。怒りなしには語れない。
事故、過労、労災、病気、障害、自殺未遂などを日帝はどれだけ労働者階級に強制してきたのか。その上で「頭部が損傷し他の臓器が傷つけられていなければ」絶好の移植対象として扱おうとしているのだ。病院で家族に「法的脳死判定」の承諾が迫られ、患者本人の「拒否」を証明しなければ応諾させられる。
しかも実際は「本人拒否」があっても医療費負担の重圧や利益誘導の圧力で、家族は偽証や詐称に追い込まれることもありうる。児童・高齢者・障害者虐待の場合の脳損傷も臓器提供の「美名」のもとに隠されるのだ。
6歳未満小児では脳死判定基準自体が禁止されているが、その解除も検討される。さらに親族への優先的臓器提供も始まる。まさに臓器あさりへの解禁が始まるのだ。
第二に、しかしこうしたA案で移植を増やそうとしても、それは、大量の労働者と家族の協力なしには不可能だ。最大の反撃は〈戦争・改憲、民営化・労組破壊>絶対反対で闘う労働運動を登場させることだ。資本主義は終わっているのだ。資本家に忠誠を誓う死生観を現場から打ち破ろう。動労千葉のような階級的団結で「命を奪うな!」と臓器移植法絶対反対で闘おう。
第三に、日共・社民の臓器移植法容認の裏切りを弾劾する。日本共産党は労働者階級の分断に手を貸す小児の臓器移植に一貫して賛成してきた。「移植を待つ子どもを障害者として救おう」と移植推進団体の紹介議員を務め、参院ではE案=「脳死」前提の対案提出に参加した。社民党も「脳死」からの移植を護持し「自案こそ移植促進への近道」と訴え、衆参で対案を提出した。
大恐慌下で改憲攻撃への屈服が始まっている。「子どもの命の救済」の名で殺人をあおり、労働者を戦争に動員する「脳死」・臓器移植絶対反対で闘おう!