2009年7月13日

対角線 最高裁の広報紙「赤旗」

週刊『前進』06頁(2399号3面5)(2009/07/13)

対角線
 最高裁の広報紙「赤旗」

 「“凄惨証拠”見た裁判員に『心のケア』実施へ/最高裁」という見出しのコラムが日本共産党の6月29日付「赤旗」に載った。
 「裁判員裁判で凄惨(せいさん)な遺体の証拠写真を見ることもある裁判員の多様な心理的負担に配慮し、最高裁は28日までに、裁判員や経験者を対象に、臨床心理士らの対面カウンセリングを無料で受けられる体制を整えることを決めました」という書き出しの記事は、何の批判的コメントもなく、最高裁の宣伝をしている。
 「裁判員裁判は殺人や強盗致死などの重大事件が対象で、悲惨な写真などが証拠になることが想定されます。重い判決を出したことが裁判員の心の重荷になるとの声もありました」などと言って、最高裁が「24時間」「無料」でケア業務を民間委託で行うことが紹介されている。
 何だ、これは。国民の8割以上がやりたくないと言っている裁判員制度は、今すぐにも廃止あるのみだ。だが、裁判員制度を推進してきた日本共産党は、ほころびを繕ってあくまでもスタートさせたいと言うのだ。
 だいたいそんなケアが必要になる制度をなぜ推進するのか。それが大問題ではないか。
 イラク侵略戦争に駆り出された若い米軍兵士が、次々とPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、苦しんでいる。そのケアに力を注がなければならない、と言って侵略派兵そのものから目をそらさせる(派兵を継続強化するということだ)のと同じことを日共はやっているのだ。
 国家の統治行為に国民を動員し、改憲を先取りする裁判員制度に協力する「赤旗」はついに最高裁の広報紙に成り下がった。(来)