2009年7月13日

双龍自動車 工場占拠スト50日に

週刊『前進』06頁(2399号3面4)(2009/07/13)

双龍自動車
 工場占拠スト50日に
 暴力ガードマンや「救社隊」と激突

 7月9日で工場占拠スト50日を迎えた韓国・民主労総金属労組双龍(サンヨン)自動車支部。ソウルから南約65㌔にある平沢(ピョンテク)工場で無期限スト突入の5月22日から1000人を超える組合員が「闘って勝つには団結しかない」と工場を占拠し、スト隊列を守り抜いている。
 ストに先立って5月13日から組合員3人が「整理解雇撤回および非正規職・正規職の総雇用保障、公的資金の緊急投入」を要求して工場内に立つ高さ70㍍の煙突上で座り込み、非正規職と正規職の共同闘争を体現している。
 今年1月に経営が破綻したサンヨン自動車は法定管理下に置かれている(日本の会社更生法手続きに相当)。すでに正規職・非正規職の労働者ら3000人が「希望退職」の名で工場から追い出された上、スト最中の6月9日に976人が整理解雇された。
 6月16日、会社側が組織した官製デモによる工場内侵入を家族を先頭に押し返した後、18、19日の労使交渉が進展せず、会社側は20日に労組に業務妨害中止と退去を要請する文書を送りつけ、23日から「工場正常化」を要求するスト破壊のための出勤デモを再開した。
 25日から緊張は高まった。26日、法律家193人がストライキ支持の記者会見を予定していた。この準備過程で労組幹部らに私服警官が襲いかかり、抗議した弁護士を含む9人が連行された。会社役職員らの「救社隊」や用役チンピラらが武装して工場内に突入。迎え撃った組合員らもフォークリフトを操り、ヘルメットと鉄パイプで応戦した。火炎ビンも飛んだ。労組は「塗装工場」を砦(とりで)に、工場内で激突を繰り返した。
 27日未明2時20分には会社側は卑劣な闇討ちを敢行した。正門前では家族たちがスクラムを組んで立ち向かった。翌27日も終日、激突が続いた。70人を超える組合員が血を流し、病院に運ばれる事態となった。いつまで続くのかと思われた攻防戦だったが、先に音を上げたのは会社側だった。27日午後10時45分、会社側は突然、4000人の侵入部隊を撤退させたのだ。
 金属労組は6月29日の4時間ストに続き、7月1日には10万人が参加する連帯ゼネストを闘い、平沢工場前で「整理解雇粉砕決意大会」を開いた。塗装工場に立てこもっている組合員らも屋上に上って赤旗を林立させて決意大会に呼応した。
 7月4日には民主労総がソウル市ヨイドで「双龍自動車問題政府解決要求! MB悪法阻止! 全国労働者大会−汎国民大会」を開催した。全国から結集した7000人の労働者を前に民主労総のイムソンギュ委員長は、非正規法改悪案の強行とサンヨン自動車平沢工場ストライキ現場への公権力投入に対し、民主労総はゼネストで反撃することを宣言した。
 裁判所は1日に労組による工場占拠を禁止する仮処分を決定したのに続き、7日には労組が退去を拒否していることを理由に家宅捜索令状を発付。公権力投入が狙われている。会社側はすでに断水し、電気までも止めようと卑劣な兵糧攻めに出ている。
 「解雇は殺人だ!」「全雇用を闘い取るぞ!」——誇り高い労働者が決死の覚悟で闘っている。これこそ新自由主義を打ち破り、労働者の未来をつかむ歴史的闘いだ。   (室田順子)