2009年7月 6日

〈焦点〉 赤字放漫財政へ転換 消費税増税「骨太09」

週刊『前進』08頁(2398号7面3)(2009/07/06)

〈焦点〉 赤字放漫財政へ方針転換
 消費税増税狙う「骨太09」

 麻生政権は6月23日、「経済財政改革の基本方針2009」(骨太方針2009)を閣議決定した。この骨太方針09で、麻生内閣は骨太方針06が掲げた「2011年度までに国・地方の基礎的財政収支を黒字化する」という目標を完全に投げ捨てた。小泉政権が策定した骨太方針06は、以降の政権の財政運営の指針とされ、新自由主義攻撃の基本プランとされてきた。06年度以来、この方針のもとに社会保障費を5年間で1・1兆円削減するという計画が立てられ、社会保障費は年々2200億円規模で削られてきた。
 すでに麻生政権は、08年度補正予算−09年度当初予算−09年度補正予算の編成に際し、実質的に「基礎的財政収支の黒字化」という目標を投げ捨て、大資本救済のための赤字放漫財政にのめり込んでいる。今回はついに、建前の上でも骨太方針06以来の基本プランを捨て去ったのだ。
 今回の骨太方針09の策定にあたり、支配階級の分裂もあからさまになった。麻生は、国家財政の破綻におびえ、「基本方針(骨太)06等を踏まえ、歳出改革を継続」するとの文言を骨太方針に盛り込むことに固執した。だが、解散・総選挙を前にしてこれに抵抗した自民党の厚生労働族らは、「社会保障の必要な修復をする」という一文を書き加えさせ、社会保障費2200億円の削減を来年度予算では停止するとの約束を麻生から取り付けた。
 ここに示されているのは、支配階級が完全に統治能力を喪失したということだ。06年以来続いた社会保障費の大幅削減は、非正規雇用化や極限的な賃金削減の攻撃とあいまって、労働者人民をもはや生きられないところにたたき込んでいる。それに対する怒りが、労働者階級の総反乱に転じることを、支配階級は恐れているのだ。
 他方で、赤字財政を放置することも支配の崩壊に直結する。だから麻生は、言葉の上だけでも財政再建に取り組むかのようなポーズをとり続けなければならない。
 日帝の財政赤字は、もはや解決可能なレベルを超えた。国・地方の長期債務残高は09年度末には816兆円に達する。GDPの168%に及ぶ長期債務を抱える帝国主義国は日本だけだ。すでに麻生政権は、09年度当初予算で33・2兆円、補正予算で10・8兆円もの国債発行に踏み切っている。大恐慌のただ中で、膨大な資本救済費を支出し続けなければ資本主義は延命できない。だが、大恐慌下であるからこそ、いつ国債が大暴落してもおかしくない。国家が借金もできないような事態になれば、資本主義は文字どおり終わりだ。
 この危機を、麻生は労働者人民へのさらなる犠牲転嫁と戦争によってのりきろうとしている。骨太方針09は「安定的な財源を具体的に明示し、検討を早急に進める」と唱えている。その柱は消費税の大幅アップだ。経団連会長・御手洗も「消費税を含む税制抜本改革を断行」せよと叫ぶとともに法人税の引き下げを迫っている。
 こうした攻撃の切っ先に、民営化・道州制と公務員労働者360万人の首切り攻撃がある。4大産別決戦の発展をかちとり、終わりを迎えた資本主義を打倒することが、労働者階級の進むべき道だ。