2009年6月22日

〈焦点〉 道州制との大決戦に 御手洗が「国民運動」提唱

週刊『前進』06頁(2396号5面6)(2009/06/22)

〈焦点〉 道州制との闘い大決戦に
 御手洗が「国民運動」提唱

 5月28日、日本経団連は第10回定時総会を開いた。世界大恐慌が日々深化する中、資本主義崩壊の現実を突きつけられ、あせりと恐怖にうち震える資本家どもの絶叫が聞こえてくる総会となった。
 今総会で新たに就任した3人の副会長を含め新体制の副会長15人の出身会社は、トヨタやパナソニックを始め膨大な赤字を出している。09年3月期で計上した赤字額はなんと総額1兆8736億円、2兆円に近い規模になった。2期4年の会長任期の最後の年にあたる御手洗冨士夫は次の会長候補も決められないありさまだ。
 この断末魔の苦しみにあえぐ御手洗は、麻生首相と一体になって戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃を仕掛けてきている。
 御手洗は就任後に「御手洗ビジョン」を出して新自由主義政策を強引に推し進めてきたが、今総会あいさつで、昨年来の世界大恐慌の勃発(ぼっぱつ)によって事態が激変したと打撃感を吐露した。そして、一方で大規模な財政出動を要請しながら、他方で「不退転の決意で経済社会の構造改革を推進しなければならない」と、あくまでも破産した新自由主義政策を推し進めることを強調した。
 具体的には、政府が取り組むべき課題として、①税財政・社会保障制度の一体改革、②道州制を含む行政改革、③農政改革をつうじた地域活性化を挙げ、官民で行う課題としては、①エネルギー・環境分野への投資、②アジア経済圏をつくるための投資を挙げた。
 これは、社会保障切り捨てや消費税増税をやるということであり、「究極の構造改革」としての道州制を強行して公務員360万人の首切りと地方の切り捨てを行うということだ。さらに「アジア経済圏」構築を掲げ、日帝によるアジアの勢力圏化を要求し、第2次世界大戦に行き着いた戦前の「大東亜共栄圏」構築を意味する軍事外交政策までも打ち出した。
 特に、道州制推進への国民運動を提唱していることは重大だ。御手洗は総会後の記者会見で、「究極の行政改革である道州制は一朝一夕に導入できるものではない……国民が納得できるように国民運動を起こしたい」などと述べ、道州制導入へ労働者人民を動員する意志を明らかにした。総会では、パナソニック会長の中村邦夫が道州制推進委員長を続投することが決定された。大阪府知事・橋下徹とパナソニックの中村が関西州を突破口に道州制導入攻撃の先頭に立つというのだ。
 だが橋下の攻撃は3・6豊中市職女性部の決起、2・26西郡住宅闘争の爆発を切り口とした労働者人民の怒りと闘いによって頓挫している。国民運動の提唱はこの現実に対する御手洗の危機感の現れだ。御手洗は巻き返しをかけて、国鉄分割・民営化の時の国鉄労働者へのバッシングのようにマスコミを使って自治労・日教組への反感を組織しようというのだ。
 日本経団連や自民党は来年の通常国会にも道州制基本法案を提出しようとしている。大恐慌の爆発で破綻した新自由主義攻撃をあくまでも貫き労働者人民を犠牲にして生き延びようとする御手洗を始めとした資本家どもをぶっ倒そう。4大産別決戦で道州制・民営化攻撃を断固粉砕しよう。