〈焦点〉 「貨物検査特措法」粉砕を
〈焦点〉 「貨物検査特措法」粉砕を
国連決議受け戦争を狙う
6月12日、国連安保理で北朝鮮に対する新たな制裁決議1874が採択された。これに対応して日帝・麻生政権は、公海上で自衛隊による軍事力を伴った貨物検査=臨検ができるようにするための特別措置法の今国会成立をめざして、6月中にも法案を作成し、国会に提出しようとしている。日帝は米帝と共同して北朝鮮への新たな経済封鎖を強化し、北朝鮮侵略戦争の発動へと突き進み始めた。
新決議1874は、06年の北朝鮮核実験に対する制裁決議1718ではまだ題目にすぎなかった貨物検査を、6項目にわたり細かく具体化し、「実効性」あるものにしようとしている。決議に盛り込まれた武器禁輸や金融制裁と合わせて貨物検査が厳格に履行されれば、北朝鮮は体制崩壊的な打撃を受ける。制裁決議自体がきわめて挑発的な侵略戦争宣言なのだ。
領海内では海上保安庁が、公海上では自衛隊が、それぞれ貨物検査=臨検を行う特措法案が現在浮上している。米韓などの艦船への補給や輸送支援も認めようとしている。現在の船舶検査活動法では「周辺事態」の認定がなされなければ発動できない。そこで政府・自民党は、核実験そのものは周辺事態とは強弁できないので、国連新制裁決議をバックに、より戦争的な新たな貨物検査特措法を具体化しようとしているのだ。
公海上での貨物検査は、検査対象の船舶の所属する国(旗国)と船長の同意を得ないと行えない。しかも、停船命令や警告射撃などの強制措置はとれず、任意での検査となる。また自衛隊の武器使用は「自己の防護のためやむを得ない場合にのみ」可能だ。衆院で今まさに再可決・成立させられようとしている海賊対処法案に盛り込まれている「停船命令に従わない船舶」への船体攻撃はできないのだ。それに、北朝鮮に出入りする船の旗国が北朝鮮である場合、検査の「同意」など得られない。
そのため自民党内から、特措法では一定の要件下で船長などの承認は不要とし、停船に応じなければ警告射撃や船体射撃ができるようにすべきだという一線を越えた要求が噴き上がっている。だが旗国や船長の同意なしに強制的に臨検に踏み込み、警告射撃や船体射撃を行ったりすれば、それ自体がまさに戦争行為であり、北朝鮮侵略戦争の発動そのものである。
麻生政権は16日、北朝鮮に対する日本独自の追加制裁として、北朝鮮への輸出の全面禁止や、金融制裁に違反した在日外国人の入国制限などを閣議決定した。輸入はすでに全面禁止しており、今回の措置で北朝鮮との貿易は全面的にストップする。この独自制裁強化で日帝は、北朝鮮への戦争的対決姿勢を一層明確にした。河村官房長官は同日、この独自追加制裁について、「拉致、核、ミサイルの一括解決と国交正常化」に向けた措置だと強弁し、北朝鮮が日帝に全面屈服することを要求した。
世界大恐慌のただ中で、今や日帝・麻生は、米帝オバマとともに北朝鮮スターリン主義の体制転覆と南北朝鮮人民大虐殺の侵略戦争に現実的に突き進みつつある。海賊対処法案に続く貨物検査特措法案の成立策動を粉砕しよう。日米韓と全世界の労働者階級の決起で北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。