西郡住宅裁判 “勝手な値上げ認めぬ” 古老が陳述
西郡住宅裁判 “勝手な値上げ認めぬ”
部落解放運動の古老が陳述
6月5日、大阪地裁(稲葉重子裁判長)で行われた家賃供託者への貯金差し押さえ弾劾裁判は、意見陳述に立った86歳のNさんの怒りが八尾市住宅管理課(住管)を突き刺し、裁判所を圧倒する戦闘的で感動的な裁判闘争となった。
証言台に立ったNさんは、住管が目の前にいることに気づき怒りを爆発させた。陳述をやめ、不自由な身体を杖で支え、一歩一歩住管に迫っていく。「住管は何しに来てるんや」「差し押さえた金はどうしたんや」。鬼気迫る迫力だ。裁判官も圧倒され声が出ない。弁護士が止めなかったら住管を打ちのめしていただろう。満席の傍聴席から「住管は帰れ」の声が上がり、感動の拍手が響いた。Nさんは「陳述書を読め」と裁判官に突きつけた。Nさんこそ、西郡の部落解放運動を体現してきた一人だ。
Nさんは、1960年暴力団井上会と警察が結託し、村の青年を不当逮捕したことに対する差別糾弾闘争(「井上会事件」)が、八尾市の差別行政糾弾闘争に発展し、同和住宅を「何回も東京に行き、何度も国と交渉して建てさせた」と語った。だからこそ「住民の同意もなしに八尾市がなんで勝手に家賃の値上げができるのか」。応能応益家賃制度は絶対に認められないし、「見返りを求め」応能応益制度に賛成した吉村議員(地区協=解同本部派)は絶対に許せない。「一部の部落解放同盟の幹部の利益のために家賃が上がり、私たちが住めなくなってしまうことは絶対許せません」と、供託の闘いに決起した思いを述べた。
弁護団は、提出した第3準備書面に基づき、応能応益家賃制度の導入が「住民の合意」で行われたものではないことを暴き、応能応益を認めた大阪高裁判決を見直すことを要求する力のこもった弁論を行った。
総括集会では、Nさんの怒りをみんなが共有し、「涙が出るぐらいうれしかった」「感動した」と次々に語った。
この日の裁判は、12日の八尾北医療センター不当捜索弾劾の闘い、法政大学学生運動への暴処法弾圧を打ち破る学生の闘いと一体のものとして闘われた。
医療センター民営化阻止へ
2・26住宅明け渡し強制執行実力阻止闘争は、道州制粉砕、〈戦争・改憲、民営化・労組破壊〉粉砕の闘いの最先端で、八尾北労組のストライキ決起を土台として部落差別による分断を打ち破り、労働者階級としてひとつに団結した闘いだった。そして、国鉄1047名闘争を軸に4大産別決戦を発展させ、八尾北労組が地域ソビエトの砦(とりで)となり、「大恐慌を革命へ」転化する巨大な展望を開いた。
5・12弾圧弾劾闘争につづき、5月25日、押収品を八尾北医療センターに返しに来た大阪府警公安三課の捜査責任者養老ら4人に対して、八尾北労組が先頭に立って徹底的な弾劾をたたきつけると、またも大阪府警は逃げ出した。八尾北医療センター民営化阻止決戦本番への突入の合図だ。
(投稿/八尾北医療センター労組員・青木麻季)