2009年6月 1日

麻生=「対米隷従政権」論 日帝を免罪するカクマル

週刊『前進』08頁(2393号5面2)(2009/06/01)

麻生=「対米隷従政権」論で日帝を免罪するカクマル
 根っこは黒田の反米愛国主義

 “日本が危機なのは対米隷従だから”?!

 階級闘争とは無縁な存在になり果てて久しいカクマルが、最近、またしても驚くべき日帝・麻生政権=対米従属論(それは本質的には反米愛国主義・国粋主義だ)を満展開している。カクマル反革命機関紙『解放』紙上で連続的に「麻生政権は対米隷従政権だ」と騒ぎ立てている。
 『解放』第2041号(08年10月27日付)のトップ論文の見出しで「米帝権力者に隷従する麻生政権」と言い出したのが初出だが、それ以降、トップ論文の大見出しで、「アフガン占領支援に猛進する対米隷従政権」「対米隷従の道を突進する麻生ガタガタ政権」「対米隷従ゆえの八方塞(ふさ)がり」「対米隷従ゆえのジレンマに揺れる末期の麻生政権」などと、毎号のように麻生政権=「対米隷従政権」論なるものを叫び立ててきている。
 これまでもカクマルは、小泉、安倍、福田政権に対し「対米”盲従”政権」(ママ)などと規定してきた。これは日帝が小泉=奥田路線のもとで、新自由主義の構造改革攻撃を労働者人民にかけてきているまさにその時に、これを日帝の攻撃として階級的に対決するのではなく、「日本がこれほど危機なのはアメリカのせいだ」「アメリカに付き従う『盲従政権』が日本の危機を生み出しているのだ」と、カクマルは主張してきたのである。
 このようにカクマルは、日本共産党も赤面する対米従属論をわめき散らすことで、日本がまるで階級戦争・侵略戦争の攻撃を激化させている帝国主義国ではないかのように宣伝し、労働者階級の日帝に対する闘いに混乱を持ち込み、黒田的な反米愛国主義・国粋主義の立場から、日帝・麻生を必死に擁護・免罪し、尻押ししているのだ。
 70年安保決戦の大爆発に恐怖してK=K連合(警察=カクマル連合)による反革命襲撃をかけ、75年の3・14反革命で革共同の本多延嘉書記長を暗殺し、80年代の国鉄分割・民営化攻撃の最先兵となることで生き延びてきたカクマルは、世界に類例のないファシストであり、労働者階級を背後から襲撃する反革命集団だ。そのカクマルが今日、またしても麻生=「隷従政権」論をもって日本階級闘争への敵対者、襲撃者として登場しているのだ。

 日帝を帝国主義と規定できぬ『解放』

 もともと黒田の根強い反米愛国主義・国粋主義を党是とし、イデオロギー的基盤するカクマルは、基本的に日帝を「対米従属国家」と規定してきた。これは日共スターリン主義の対米従属論と同質のものだが、カクマルの場合は、黒田の日本民族主義がより濃厚に刻印されて、日共とも異質な右翼的ファシスト的なナショナリズムに貫かれている。それはマルクス主義とも(社会科学とも)、レーニン帝国主義論ともまったく無縁のものだ。
 われわれの対米従属論批判を気にしてか、カクマルは、かつて次のように言い訳をしている。「『日本はアメリカ帝国主義に半ば占領された事実上の従属国』といえば、日本共産党がとうの昔に投げすてた『対米従属』規定。この規定は国家論的には完全な誤りだが、最近の日本を見ると、現象論的にはそうともいえるんじゃないか」(02年4月14日付『解放』1714号)と。
 「現象論的には」などと弁明しているが、まったくごまかしだ。カクマルには「日本は帝国主義なのか、そうではないのか」もはっきりしていない。戦前の日共の27テーゼ・32テーゼ以下の水準だ。マルクス主義もレーニン帝国主義論も分からないカクマルには、帝国主義を分析することなど絶対にできない。とっくに綱領的、路線的に破産している。だから当然にも「アメリカ帝国主義の『一超』世界支配」に組み敷かれる日本といった、通俗的で平板な解釈しかできない。右翼民族主義者と同水準の「日本よ独立国たれ!」がカクマルの政治的路線と主張の中心なのだ。
 日米安保同盟は、米帝と日帝がそれぞれの帝国主義的利害を貫くために結んだ帝国主義の強盗同盟である。米帝は日米同盟を米軍のアジア・中東展開の不可欠の柱とし、日帝はその米帝による世界支配に依拠して自らの戦後発展と経済大国的突出、軍事大国化を可能としてきた。この日米同盟の根底には、日米間の矛盾・対立と争闘戦が激しく貫かれている。だからこそ今日、日帝はこの日米安保のもとで、憲法9条的な帝国主義としての軍事的制約を突破しようと必死にあがいているのだ。
 日帝は、カクマルの言うような米帝の「従属国家」(カクマルは小泉政権の時代には日帝を「忠犬ポチ」と呼んでいた)などではない。今や1929年大恐慌をも超える世界大恐慌の爆発は、日米同盟の基底にあった両帝国主義間の利害対立と矛盾を一挙に沸騰点に押し上げている。G20の破綻と分裂に示されるように、帝国主義間・大国間の保護主義への突進、世界経済の分裂化・ブロック化の進行は、不可避的に政治・軍事面での対立を含むものとして帝国主義的侵略戦争−世界戦争の危機を激化させているのだ。
 カクマルの日帝・麻生=「対米隷従政権」論の絶叫は、この帝国主義間の対立と争闘戦、そしてその中での日帝の帝国主義的・侵略的衝動に棹(さお)さし、反米国粋主義と民族排外主義をあおるものでしかないのだ。

 根底に黒田の謀略論哲学が

 カクマルは「対米隷従政権」論を満展開させながら、麻生政権について、「ヨレヨレ政権」「ガタガタ政権」「臨死政権」などという非政治的で軽薄極まる規定を乱発している。これはおよそマルクス主義的・社会科学的な概念とも、日帝打倒=プロレタリア革命に向けて決起する労働者階級の団結や闘いともまったく無縁な代物である。
 そもそもカクマルの政治・情勢分析には、生きた労働運動・階級闘争と切り結び、その中から闘いの路線と実践方針をつかみ取るというマルクス主義者の立場は全然ない。かつて黒田は、「謀略論」デマ運動を推進するために『政治判断と認識』を出したが、その中で「政治判断によって現実認識は決定される」などと主張している。これは黒田観念論哲学=謀略論哲学の論理そのものである。
 結局、カクマルの「対米隷従政権」論は、黒田の反米国粋主義と謀略論哲学から導き出されたものだ。だから「米CIA」が、あるいは「アメリカ東部エスタブリッシュメント権力者」が、「麻生隷従政権」を「米帝に繋(つな)ぎ止めておくために」、または「政権の座から蹴落とすために」謀略攻撃をしかけているといった「謀略論」に行き着くのである。

 日帝の体制危機に反革命的な危機感

 さらにカクマルの「対米隷従政権」論は、日帝・政治委員会の崩壊的現実に対するファシスト的危機感の表現だ。安倍、福田、そして麻生政権と続く自民党政権の末期的危機は、統治能力の喪失を示している。戦後憲法体制のもとでの階級支配、議会制度をつうじたブルジョア独裁が全面破産し、機能停止状態に陥っている。「政権交代」の現実化の中で、政敵である民主党・小沢に国策捜査を強行しなければならない事態が危機の象徴だ。
 世界大恐慌がこの日帝・政治委員会を痛撃し、非正規労働者への「派遣切り」を始めとした首切り・大リストラ攻撃に対する、「生きさせろ!」の階級的怒りが爆発している。国鉄分割・民営化攻撃と徹底対決する動労千葉を先端とした国鉄闘争陣形が、闘う原則を貫きつつ連合支配を突き崩す「対抗基軸」としてぶっ立っている。「大恐慌を世界革命へ」の闘いが、4大産別決戦を軸にした革命勝利の戦略方針の実践として前進している。
 カクマルは、この大恐慌と戦争、そのもとでの革命情勢の成熟に対し、ファシスト反革命としてあらためて身構えている。日帝・政治委員会の危機に、「アメリカへの隷従はやめろ」「隷従しているから『八方塞がり』になり、『ジレンマ』に陥るのだ」と叫び、反米愛国主義・国粋主義の立場から、日帝を免罪・擁護し、反動的に尻押ししているのだ。日帝の戦争・改憲と民営化・労組破壊、道州制・民営化の攻撃に、国鉄分割・民営化の最先兵として、またしても労働者の団結を破壊し、大裏切りをしようとしているのだ。
 結論は鮮明だ。〈戦争・改憲と民営化・労組破壊〉〈道州制・民営化〉の攻撃と全面的に対決し、第2次国鉄闘争を基軸に4大産別決戦の一大飛躍をかちとろう。カクマル、連合、日本共産党、4者4団体派など一切の体制内勢力と徹底対決し、法大「暴処法」弾圧を全社会的な反撃で粉砕し、6・14−15中央政治闘争の大爆発をかちとろう!
 〔矢剣 智〕