2009年5月25日

〈焦点〉 アフガンで民間人大虐殺 オバマ

週刊『前進』06頁(2392号5面5)(2009/05/25)

〈焦点〉 アフガンで民間人大虐殺
 侵略戦争激化するオバマ

 米帝オバマのアフガニスタン—パキスタン侵略戦争が激化の一途をたどっている。オバマは大統領選の当初から、軍事戦略の重心をイラクからアフガンにシフトし、「より危険な」武装勢力、アルカイダやタリバンを壊滅すべきだと主張してきた。実際に今、オバマのイラク—アフガン新戦略(2月末発表)のもと、アフガン駐留米軍の大増派と越境空爆を含む軍事作戦がエスカレートしている。
 アフガニスタンは今、米軍とNATO軍が撤退するなら、たちまちタリバンが首都と全土を制圧してしまうと言われる状況だ。この事態の中でオバマは、アフガン新戦略に基づき2万1千人の米軍を増派する方針を打ち出した。4月初めのNATO首脳会議で欧州諸国もこの新戦略を支持し、5千人増派で合意した。現在、米欧を中心に7万人以上のアフガン国際治安部隊(ISAF)がタリバン掃討と全土の軍事制圧のために展開している。彼らの当面する最大の課題は8月のアフガン大統領選での「カルザイ再選」だ。
 そこに向かって5月6日に、ワシントンでオバマは、パキスタン大統領のザルダリ、アフガニスタン大統領のカルザイと初の3者会談を行い、3カ国がアフガン—パキスタン国境地帯でアルカイダとタリバンなどの武装勢力を「粉砕、解体、壊滅する」ことを共通目標として確認した。
 そして、アルカイダとタリバンを掃討すると称して、米軍は3月末からパキスタン側への越境空爆を激化させ、多くの住民を虐殺している。パキスタンも米帝の要請に応え、一部タリバン勢力との和平協定を破棄し、4月末からタリバン掃討作戦を開始した。
 特に5月5日に米軍がアフガン西部のファラ州で強行した空爆では、140人の民間人が死亡した。これに対しアフガン各地で大規模な反米デモが起こった。カルザイも「空爆はテロとの戦いの効果的な方法ではない。中止すべきだ」と言わざるをえなくなった。だがオバマ政権は5月10日、「空爆の継続」を強調し、カルザイの要望をも真っ向から否定した。
 こうした事態に直面してアフガン下院議員らは外国軍を管理する法制度を要求した。昨年8月、西部ヘラート州の空爆で市民90人以上が殺された後にも法整備の要求が起きたが、米軍は「攻撃対象は武装勢力メンバーだった」と主張し、空爆を正当化、法整備はうやむやとなっていた。
 オバマが就任直後に命令を出したキューバ・グアンタナモ米軍基地の対テロ戦収容所の閉鎖も、米議会の強い反対などもあって、空証文になろうとしている。
 米帝の新たな侵略戦争のエスカレーションは、世界大恐慌下でのオバマの憎むべき犯罪行為だ。4月5日のプラハ演説でのオバマの「核独占」宣言や、中東「2国共存」論によるイスラエルのガザ空爆とパレスチナ大虐殺の擁護にも示されるように、米帝オバマこそは戦争と抑圧の元凶である。
 ところが日本共産党や連合を始め、今やすべての体制内勢力がオバマを全面賛美し、米帝の前に武装解除している。この体制内勢力と徹底的に対決して、オバマ・麻生打倒へ、6・14—6・15連続大闘争の爆発をかちとろう。