2009年5月18日

〈焦点〉 国策捜査は破綻へ 辞任に追い込まれた小沢

週刊『前進』06頁(2391号5面4)(2009/05/18)

〈焦点〉 国策捜査は危機と破綻へ
 辞任に追い込まれた小沢

 麻生政権の支持率が10%台に落ち、自民党内で「麻生降ろし」が激化、日帝にとって危機的な情勢の中で、去る3月3日、民主党代表・小沢一郎の公設秘書が「政治資金規正法違反」の形式犯で逮捕された。それ以降、マスコミを中心に「小沢辞任」の大キャンペーンが展開され、民主党自身も「選挙で勝てない」とグラグラになった。そして5月11日、ついに小沢は代表辞任に追い込まれた。
 この小沢問題の核心は、解散・総選挙情勢下で民主党優位が鮮明となり、「小沢政権」誕生が現実化した中で、政権交代阻止のために麻生と検察権力が強行した事実上の指揮権発動=「国策捜査」ということだった。その背後には麻生と官房副長官・漆間、検事総長・樋渡の連携があった。その一端は、前警察庁長官・漆間の「捜査は自民党には及ばない」という重大発言で自己暴露された。しかし、この漆間のふざけきった発言も、マスコミなどで深く追及されることなく、「小沢辞任」への大合唱でかき消された。
 確かに、自民党・旧竹下派の中心にいた小沢が、西松建設を始めゼネコンから巨額の献金を受けてきたことは事実だ。小沢と民主党は、体制内のブルジョア政治家であり、ブルジョア政党そのものでもある。しかし「金権腐敗」という点では、国会議員の政治資金収入ランキングでも企業献金額でも、政権政党の自民党が野党の民主党や小沢を圧倒している(政党レベルの政治献金額は、自民党の224億円に対し民主党は40億円)。西松建設からの献金も、大半は公共事業発注の職務権限を持つ自民党に流れている。
 しかし民主党・小沢がターゲットにされたのは、絶体絶命の危機にあった麻生、裁判員制度「見直し」などを公言する小沢に恐怖する法務省・検察庁を始め、日帝権力中枢がこぞって「民主党小沢政権」絶対阻止に動いたからだ。また、「第7艦隊」発言や米国債の買い取り拒否を示唆する小沢の対米対抗的なスタンスに対する、米帝の懸念と一定の政治意思も小沢攻撃を後押しした。
 そして何よりも、この小沢への強権発動の核心的狙いは、「民主党支持一本化」へと動く連合にくさびを打ち込み、連合のもとにいる労働者階級の、日帝権力と資本への怒りの決起をたたきつぶすことにこそある。まだ議会主義的な幻想のもとではあれ、世界大恐慌情勢下で、労働者階級が自民党政権打倒の「政治選択」を行うことを許さないという攻撃なのだ。
 小沢辞任で、麻生と検察の狙いは貫かれたかにみえる。しかしこの間、麻生の支持率上昇などにほくそえんでいた自民党や権力中枢は、小沢辞任の衝撃後の政治情勢が、再び麻生政権と自民党への「逆風」となる可能性にも恐怖し始めている。事態は断じて麻生や権力の思惑どおりにはいかない。
 今や大恐慌の進展の中で世界的に問題となっていることは、資本主義の終わりであり、革命の現実性ということだ。日帝・麻生政権を打倒し、4大産別決戦の勝利でプロレタリア革命をたぐり寄せることこそ、労働者階級の現実的課題である。麻生とオバマの打倒を真っ向から掲げ、6・14—15の中央政治闘争に総決起しよう。