2009年5月18日

国家的不当労働行為を居直り 4大産別の労組解体狙う3・25判決

週刊『前進』06頁(2391号5面1)(2009/05/18)

国家的不当労働行為を居直り
 4大産別の労組解体狙う3・25判決
 6・14-15連続闘争に決起し 国鉄決戦勝利の展望開け

 国鉄1047名闘争は、解雇撤回の原則を貫きその革命的発展の道を切り開くのか、4者4団体路線のもとに屈辱的敗北を強いられるのかをめぐって、かつてない決戦局面に突入した。動労千葉は「1047名解雇撤回、改憲阻止、法大学生弾圧粉砕、麻生政権打倒」のスローガンを掲げ、6・14−15連続闘争を呼びかけている。これは、国鉄闘争に勝利し、革命をたぐり寄せる決定的闘いだ。他方、4者4団体は、3・25鉄建公団訴訟控訴審判決に屈服し、「自民党にも対応窓口ができた。6月までに解決する」と唱えて、一層の政治解決路線にのめり込み、1047名闘争の終結を策している。これと対決し、動労千葉を先頭に、〈国鉄決戦を基軸とした4大産別決戦>を打ち抜くことこそ勝利の道だ。3・25反動判決と4者4団体路線を粉砕し、国鉄闘争の歴史的勝利に向けて突進する時が到来した。

 1047名闘争の勝利かけ大党派闘争に勝ちぬこう!

 6・14闘争は国鉄1047名闘争の帰趨(きすう)をかけた大党派闘争となった。4者4団体などは、6月14日に「憲法9条改定を許さない」という名目で、対抗的な集会を開こうとしている。そこにはJR総連カクマルを始め、あらゆる反動勢力が密集する。革共同から脱落・逃亡した塩川一派、旧与田派も、そこへの潜り込みを策している。国労5・27臨大闘争弾圧被告団によって解任された旧弁護団も、3・25判決を賛美し4者4団体を擁護する立場から、分裂「許さない会」を公然と立ち上げた。この5・27闘争への破壊策動を徹底的に粉砕しなければならない。
 今や4者4団体派の本質は明白だ。彼らは、動労千葉動労千葉派を敵権力に差し出すことと引き換えに、涙金を恵んでもらって1047闘争を終わらせようとしているのだ。
 これら密集した反動と激突して6・14−15闘争は闘いぬかれる。労働者階級が勝利する道は、〈戦争・改憲と民営化・労組破壊>の攻撃と全面対決し、国鉄を基軸とする4大産別決戦にうなりを上げて突入することだ。その最初の大決戦が6・14−15闘争だ。
 革共同は、本紙春季特別号の坂本論文で、革命の主体は労働者階級であり、革命の成否は4大産別の労働組合をめぐる攻防にかかっていることを徹底的に鮮明化させた。4大産別の労働組合は、敵階級の側から見れば獅子身中の虫だ。国家機構の内側に労働者の団結体を抱えたままでは、戦争も遂行できなければ、大恐慌下での支配を貫くこともできない。それは同時に、4大産別の労働組合を革命派が握ることなしに、革命をリアルに構想することはできないということでもある。われわれは、革命を現実にたぐり寄せる主体的な戦略路線を、ついにこの手につかんだのである。
 支配階級は、労働組合を徹底的に体制内化し、翼賛勢力に変質させ、4大産別労組を壊滅に追い込むことに常に全力を挙げてきた。連合中央との「労使共同宣言」体制を構築した麻生政権は、連合元会長の鷲尾悦也に旭日大綬章を与えた。その連合は、「核廃絶」の名でその実、北朝鮮への排外主義を叫び立て、そのための署名運動に傘下組合員を動員している。ついに労働組合のナショナルセンターが公然と侵略翼賛に転じた重大な事態だ。米帝による核独占を宣言したオバマのプラハ演説を賛美する日本共産党・志位も、その最悪の先兵になっている。
 大恐慌の中で、帝国主義はかつてなく戦争衝動を高めている。大恐慌下の首切り・賃下げ攻撃との攻防も、戦争・改憲との攻防も、その最大の戦場は労働組合だ。とりわけ4大産別の労働組合を革命派が握るのか、体制内派に明け渡すのかが歴史を決する。1047名闘争も、その中に位置づけられてこそ、勝利の道は明らかになる。
 国鉄分割・民営化は、労組絶滅を根幹とする新自由主義の攻撃の突破口だった。敵階級は国鉄分割・民営化を強行するや直ちに4大産別労組をたたきつぶす攻撃に着手し、改憲へと突き進むプランを描いていた。その敵階級の戦略を、根本において打ち砕いてきたのが、動労千葉の闘いであり、1047名解雇撤回闘争の存在だ。
 だからこそ敵は、1047名闘争の絶滅へと全力を挙げている。そのために振り下ろされたのが、鉄建公団訴訟の3・25判決だ。4者4団体派は、この敵の攻撃に呼応して、1047名闘争を内部から崩壊に導こうとしている。
 6・14−15連続闘争は、帝国主義の最後の支柱と化した4者4団体派との激突だ。ここに〈国鉄闘争を基軸とした4大産別決戦>の成否はかかっている。

 国鉄改革法を絶対化し解雇にお墨付き与えた3・25判決

 鉄建公団訴訟の3・25判決は、1047名闘争の解体を目的とする超反動判決だ。
 3・25判決は、国鉄改革法を絶対化し、1047名の解雇を全面的に居直った。判決は「一審原告らは、種々の事情を挙げて、国鉄改革関連法は憲法28条等に違反するなどと主張するが、最高裁判所による累次の裁判の結果等に照らし、採用できない」「JRに応募しても同社に採用されなかった職員については、国鉄が事業団に移行した後は、再就職必要職員に指定されるものとされており、そのこと自体は憲法違反でも無効でもない」と言い放っている。
 そこには、国家が法律に基づいて強行した労働組合つぶしの攻撃は、不当労働行為でも何でもないという支配階級の意思が強固に貫かれている。
 今日、麻生政権と資本家どもは、道州制導入による360万公務員労働者のいったん全員解雇・選別再雇用を狙っている。3・25判決は、まさにこの攻撃と一体のものだ。法律さえ作っておけば、どんな不当労働行為もやりたい放題、憲法など関係ないと司法権力が言い放ったのだ。これをテコとして、資本は全労働者を対象としたこれまで以上の首切り攻撃に乗り出そうとしている。
 さらに3・25判決は、「国鉄による不当労働行為がなかったと仮定しても、一審原告らが希望する地元JRに採用されたはずであるとの証明がされていない」と言う。これは、政府が定めたJRの定員枠を不動のものとし、首を切られた当事者に向かって、他人を押しのけて自分が定員枠に確実に入れたことを証明してみろという、とんでもない言いがかりだ。
 こうして司法権力は、国鉄改革法を盾にして、「不当労働行為による解雇は無効」という労働法の基本原則を解体した。

 JR総連要求の採用基準を是認

 さらに許しがたいのは、3・25判決が、JR総連カクマルのごり押しにより設定された「採用基準」を是認していることだ。分割・民営化を前にして国鉄当局は、大量の労働者を希望退職という名の実質解雇に追い込んでいった。そのため、本州JRでは採用希望者が定員枠を下回るという事態が発生した。
 これに対してJR総連カクマルは、あくまで国労や動労千葉の組合員はJRから排除しろと叫び立てた。
 そのため国鉄は、「1983年4月以降、6カ月以上の停職処分または2回以上の停職処分を受けた者は採用候補者名簿に登載しない」という採用基準を急きょ極秘裏に設定した。「83年4月以降」とは、動労カクマルが分割・民営化賛成に転じた後ということだ。 この採用基準こそ、資本とカクマルが結託することで形成されたJR体制の根幹にあるものだ。
 3・25判決は、「停職6カ月以上の処分又は2回以上の停職処分を受けた者を採用候補者名簿に記載しないことは……適法なものというべきである」と断定している。
 その意図ははっきりしている。動労千葉争議団は全員が、分割・民営化反対のストライキを闘ったことを理由に停職処分を受け、JRから排除された。この動労千葉争議団を絶対にたたきつぶすという意思が、この判決には込められている。その意図を貫くために3・25判決は、分割・民営化に対して職場で抵抗し、停職処分を受けた国労闘争団員を救済の対象から除外したのだ。
 そもそも国鉄分割・民営化は、「職場規律是正」の大合唱から始まった。それは、労働組合による職場支配を根絶し、資本による専制的な労働者支配を確立することが目的だった。それに対して職場で抵抗した労働者をあくまで排除し続けるという支配階級の意思は、今日まで何ひとつ変わってはいない。

 “解雇撤回闘争終わらせよ”と迫る

 一審の05年9・15判決は、採用基準によって不採用とされた5人の原告を慰謝料支払いの対象から排除したが、3・25判決はさらに1人をこれに加えた。それにとどまらず、3・25判決は「第二希望のJRに採用されながらこれを辞退した者」4人についても慰謝料請求を認めず、「国鉄清算事業団在職中に追加的広域採用に応募しながら、これを辞退した者」6人については慰謝料を半減した。ここには、1047名を徹底的に分断するという凶悪な意図が貫かれている。
 3・25判決は、採用候補者名簿の作成にあたり不当労働行為が行われたことを、形の上では認めている。だがそれは、結局は“550万円の慰謝料で一切の闘いを終わらせろ”と原告に迫るための理屈として持ち出されているのだ。司法権力の本音は、慰謝料請求を認められなかった原告に対して、「中労委が命じたような採用候補者の再選考がされたとしても採用されなかった可能性が非常に高い」と言い放っていることにも表れている。つまり、“不当労働行為があろうがなかろうが、お前たちが首を切られたことに変わりはない”と3・25判決は宣告したのだ。

 JR青年労働者の獲得こそ国鉄決戦勝利の関門を開く

 3・25判決は、国鉄改革法を神聖不可侵なものとして絶対化した。これに対し、4者4団体幹部は、「裁判では国鉄改革法23条の壁を破れないから政治解決しかない」と言う。裁判だけに依拠して国鉄改革法を打破できないのはそのとおりだ。だが、だからといって「政治解決だ」とは絶対にならない。
 国鉄改革法護持は、国家権力の絶対的意思だ。道州制導入で360万人もの公務員労働者の首を切ろうとしている麻生政権が、国鉄改革法の枠組みを自ら壊すはずがない。4者4団体が依存する民主党は、自民党以上に公務員労働者への凶悪な牙をむき出しにしている。その自民党や民主党に対して、慰謝料のわずかばかりの増額を哀願しているのが4者4団体の政治解決路線だ。それは1047名の被解雇者の誇りをどこまでも踏みにじるものでしかない。
 1047名闘争勝利の展望は、破綻したJR体制と徹底的に対決し、解雇撤回を実力でもぎり取ることにある。
 尼崎事故を始めとした重大事故多発や信濃川発電所問題は、国鉄分割・民営化から22年を経て、JR体制が崩壊の瀬戸際に立っていることを突き出している。動労千葉を先頭に闘いぬかれた4・25尼崎現地闘争は、JR内部からJR体制を食い破る荒々しい労働者の決起がついに始まったことを満天下に示した。それは、1047名の解雇撤回を実現する唯一の闘い方を照らし出している。有罪−解雇を狙う権力・JR資本の攻撃と立ち向かう5・27弾圧被告団の闘いは、その不可欠の一翼を担っている。ついに第2次国鉄決戦がJR本体からの決起として始まったのだ。
 JR体制の破産は、何よりも資本=カクマル結託体制の崩壊に現れている。資本=カクマル結託体制こそ、日本の青年労働者を最も過酷に抑圧している元凶だ。日々、資本の抑圧にさらされ、ひとたび事故が起きれば全責任を押しつけられ、揚げ句にJR総連カクマルの浦和電車区事件運動に引き回される平成採の怒りは深い。動労千葉への青年労働者の結集は、動労千葉動労千葉派の闘いこそ青年の希求しているものであることを示している。「鉄道を止めるストライキを!」の思いは、間違いなく青年労働者の心中にある。
 第2次国鉄決戦は、JRの青年労働者を動労千葉労働運動の隊列に結集してこそ勝利する。その関門を突破できるか否かは、6・14−15連続闘争にかかっている。4者4団体派との大党派闘争に勝ちぬき、国鉄決戦勝利をかけて6・14−15闘争へ突き進もう。