2009年5月11日

〈焦点〉日共・志位がオバマ絶賛 核独占演説「歓迎」

週刊『前進』06頁(2390号5面3)(2009/05/11)

〈焦点〉 日共・志位がオバマを絶賛
 核独占演説「心から歓迎」

 オバマ米大統領の「核廃絶」に関する4・5プラハ演説は、2388号の本欄で弾劾したとおり、「核廃絶」の名で核独占を狙うものであり、マスコミが宣伝するような「平和への前進」とは百八十度逆のものだ。だが、既成の原水禁運動などは、この発言に飛びつき、オバマを広島・長崎に招待しようなどという運動さえ起こそうとしているありさまである。その反動的デマ宣伝の先頭に立ってオバマにエールを送っているのが、日本共産党委員長の志位だ。
 オバマがプラハ演説で言っていることは、核兵器の拡散つまり新たな核保有国の出現は認めないということであり、米帝の圧倒的な核の独占宣言そのものだ。それを「核のない世界をつくる」などの美辞麗句で粉飾しているのだ。「削減」もぺてんである。「削減」の名で旧式兵器を廃棄し、戦力アップした新兵器に置き換え圧倒的な核優位を保つことなのだ。
 現にオバマは、アフガニスタン侵略戦争を拡大し、米軍再編・辺野古新基地建設を推進している。クリントン国務長官が来日して最初にやったことは、新基地建設を促す「グアム協定」の調印だった。こうした現実と対決することなく、オバマへの幻想をあおることは許されない。
 4月30日、志位は、オバマあてに書簡を送ったことを発表した。プラハ演説に「大きな感銘」を受けた、「歴史的な意義を持つものであり、心から歓迎する」と手放しで絶賛している。そして、「私は、大統領に、核兵器廃絶のための国際条約の締結をめざして、国際交渉を開始するイニシアチブを発揮することを、強く要請するものです」と、オバマに「指導力の発揮」を求めているのだ。
 志位はそこで、オバマに米帝自ら核兵器を放棄するよう求めているのですらない。「国際条約の締結、国際交渉の開始」の音頭をとってほしいと要望しているに過ぎないのだ。こんなものがどうして「前人未踏の挑戦」であるものか。「人類的課題の追求」であるものか。笑わせるな!
 志位にとってオバマは、憎むべきアメリカ帝国主義の頭目でないばかりか、世界の新しい希望を託す指導者、ともに「人類的課題」を追求する同志なのだ。帝国主義という概念そのものが蒸発し、階級協調の立場に立ってしまっているのだ。
 いろいろ「相違点はあるが」あえて「核兵器廃絶という人類的課題の一点にしぼって」書簡を出したと志位は言うが、核の問題を超階級的に扱うことは絶対にできない。核兵器を生み出し、それを世界支配、階級支配の不可欠の手段にしてきた帝国主義の体制を打倒しない限り核兵器は廃絶できない。それが階級的真理だ。
 世界大恐慌で資本主義の命脈は尽きた。オバマは大銀行・大企業の延命のために膨大な公的資金を投入し、さらに財政危機を深めている。帝国主義間の矛盾と対立は深まり、ブロック化・世界戦争を不可避としている。オバマ打倒、麻生打倒、大恐慌を帝国主義打倒のプロレタリア世界革命に転化することのみが、帝国主義戦争(核戦争)を阻む道だ。日共スターリン主義の帝国主義翼賛を弾劾し、8月反戦反核闘争へ闘おう。