2009年4月27日

〈焦点〉 P3C哨戒機2機も派兵 陸海空1千人が恒常展開

週刊『前進』10頁(2389号5面5)(2009/04/27)

〈焦点〉 P3C哨戒機2機も派兵
 陸海空1千人が恒常展開

 ソマリア沖・アデン湾の「海賊対策」と称して、麻生政権は4月17日、海上自衛隊の哨戒機P3Cに派遣準備命令を発令した。多国籍軍の「海賊対策」の拠点となったジブチに2機が派遣される予定で、護衛艦による船舶護衛活動が展開されている東西約千㌔の海域で「海賊」を監視、自衛艦を含む多国籍軍への情報提供などを行う。6月から活動を開始する予定だ。P3Cの主任務は「哨戒」だが、最新の対艦誘導ミサイルも装備しており、護衛艦の活動と密接に連携した本格的な治安活動となる。イラク派兵でサマワの基地に立てこもった陸自部隊と比べても武力行使の確率は格段に高い。
 またP3C派遣に伴い、ジブチの空港での機体警護を口実に陸自の警護要員も派兵される。機銃を装備した装甲車も持ち込む。麻生政権はジブチ政府との間で、駐留する自衛隊員の法的地位を定めた地位協定を締結した。これでインド洋で補給(給油活動等)任務に当たっている海自とあわせ、中東に展開する陸海空自衛隊は千人を超える。完全な大規模海外派兵の恒常化である。
 現在の大恐慌情勢下において、日帝・自衛隊が改憲も待たずに実質的な海外派兵体制に猛烈な勢いで突入している現実を強く弾劾し反撃しなければならない。
 米帝など多国籍軍にとって、ソマリア周辺での軍事行動は単なる「海賊対策」ではない。〈01年9・11〉を頂点とする中東ムスリム人民による反米帝・民族解放闘争の極限的展開に対する、「対テロ戦争」の一環なのだ。米帝は2000年10月、イエメンのアデン港に寄港していた米海軍のイージス艦に爆弾を積んだ小型船が突入し、艦は大破、米兵17人が死亡する大敗北を喫している。またソマリア本土では、93年からの「第2次国連ソマリア活動」で、米軍は多くの民衆を虐殺したあげく、屈辱的な敗北を喫して全面撤退に追い込まれた経緯もある。
 現在のソマリア沖の「海賊」問題は、漁場を奪われた現地漁民の抵抗闘争をも含む、様々な契機の反米・反帝国主義闘争と言われるが、明らかなことは、〈01年9・11〉以来の米帝の残酷きわまる侵略戦争が、ソマリアを一つの拠点とする反米帝のイスラム抵抗運動との非和解的な戦争に発展している事実だ。昨年12月の国連安保理決議1851は、なんと「海賊」に対するソマリア領内での空爆まで認めているのだ。
 イラク戦争で15万人以上を虐殺した米帝は、中東人民の文字どおりの怒りの的なのだ。P3Cを含む自衛隊の派兵は、この中東侵略戦争に対する、日帝独自の本格的な参戦の画期をなすものだ。
 今回のソマリア沖派兵と時を同じくして、防衛省の年次報告書は、アフガン問題で「日本版PRT(軍民合同の復興部隊)」創設を打ち出し、海外派兵要員を増やすこと自体が軍事・外交上の重要課題だとの姿勢を明確にした。また元首相の安倍を先頭に、自民党内から「集団的自衛権の承認」「敵地攻撃能力の保持」「核武装の検討」などの反動的議論が再び吹き出している。改憲攻撃はこうして実体的に始まっているのだ。帝国主義の階級戦争と侵略戦争に怒りの反撃をたたきつけよう。