2009年4月27日

三里塚 延長滑走路10月供用阻止へ 仲戸川裁判長の暴挙弾劾 本部裁判 北原さんの証言 法廷を圧す

週刊『前進』10頁(2389号5面1)(2009/04/27)

三里塚 延長滑走路10月供用阻止へ
 仲戸川裁判長の暴挙弾劾
 本部裁判 北原さんの証言 法廷を圧す

 三里塚・現闘本部裁判闘争は、千葉地裁・仲戸川裁判長による裁判官にあるまじき反動的訴訟指揮に猛然と反撃し、北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長などの証言を再び採用させた。決定的勝利だ! だが10月延長滑走路供用開始攻撃と連動し、裁判での敵の攻撃は激化している。現闘本部建物と市東孝雄さんの農地を強奪するもくろみを、労農連帯の力で粉砕しよう。
 4月23日、天神峰現闘本部裁判の弁論が千葉地裁で開かれ、反対同盟事務局長・北原鉱治さんへの証人尋問が行われた。
 前回3月12日、仲戸川裁判長は、反対同盟側証人の採用を取り消し、一気に結審にもちこもうとした。だが反対同盟と顧問弁護団の猛反撃、支援連メンバーによる裁判所と街頭での抗議のビラまき・宣伝活動、そして3・29全国総決起集会の大結集に圧倒され、仲戸川は本来どおりの証人を採用、しかも大幅に短縮・時間制限した尋問時間を結局元に戻して、この日一日かけての北原さんの証人尋問となった。
 開廷後、葉山岳夫弁護士を先頭に弁護団全員が次々と立って、仲戸川の訴訟指揮を弾劾する意見陳述を行った。「忌避を申し立てられていながら被告側のいない開廷を強行し、証人まで取り消すとは何ごとか」「法律家として恥ずべきこと」「ビデオリンク方式での証人調べは公開原則の破壊だ。石橋恵美子証人の再喚問を求める」
 仲戸川は鉄面皮を装いつつ動揺を隠せない。
 いよいよ北原さんが証言台に立った。
 1922年生まれ。19歳で海軍に入り太平洋戦争に動員され、戦争の悲惨な現実を目の当たりにしてきた。「戦争は絶対に起こしてはならない」との思いが固まった。
 そして66年佐藤首相と友納県知事との会談で「寝耳に水」の新空港建設計画が発表され、その後わずか2週間で閣議決定——。「これを民主主義と言うか!」と、北原さんの声に怒りがこもった。さらに、羽田空港におびただしい数のベトナム戦争用のチャーター機が止まっていたのを確認し成田が軍事空港づくりであることを確信した。
 そして現闘本部建物について、反対同盟発足の熱気の中で石橋副委員長が土地の提供を申し出たこと、反対同盟農民と支援の労働者・学生による建設資材と労働力の提供で建てられたこと、88年に鉄骨造り3階建てに増築したこと、90年に2千人の機動隊により包囲・封鎖されたこと(この時北原さんは捜索の立会人として17時間も建物内に拘束された)を歴史を追い証言した。
 特に公団総裁や運輸省幹部との秘密交渉が発覚して83年に石橋が副委員長を解任された後、”梅の花が咲いていたころ”に現闘本部に出向き、石橋から「ここの敷地と井戸は残していく。それが俺の気持ちだ」と言われたことを、一語ずつかみしめるように語った。
 最後に「木造建物は存在している。現場検証を行えば一目瞭然だ。私が案内すると言うのになぜやらないのか。今の裁判所のやり方ではだれも信頼しない」との厳しい批判で法廷を圧倒した。NAAの弁護士はこの迫力に打ちのめされ、反対尋問を完全に放棄した。午前から3時間半にわたる証言を終えた北原さんが勝利感あふれる笑顔で傍聴席に一礼すると、大きな拍手が湧き起こった。
 終了後の記者会見と報告集会では、北原さんが疲れも見せずにあいさつに立ち、「裁判闘争だけでは勝てない。現地闘争をさらに闘おう」と一同を鼓舞激励した。弁護団に続き、動労千葉の後藤俊哉さん、関実の永井満さん、群馬の青柳晃玄さんらがあいさつし、北原さんの奮闘を称えた。最後に萩原進さんが「10月供用開始の『説明』と称して東峰部落に潜入したNAAを追い返した。置いていったビラによると7月に東側誘導路の供用を始めるそうだ。この夏から秋、現地での闘いを強めよう」と訴え、一日の行動を締めくくった。
 次回6月25日、萩原さんへの尋問に傍聴・支援に駆けつけよう。

 第1章 市東さん農地裁判 解約許可は無効 NAAは求釈明に答えよ

 4月21日、千葉地裁で市東孝雄さんの二つの農地裁判が連続して開かれた(①市東さんが千葉県を訴えた行政訴訟と②NAAが市東さんの農地の明け渡しを求めた民事訴訟=農地法裁判)。
 NAAは市東家が祖父の代から90年耕作してきた土地を元の地主から秘密裏に買収し、十数年も経ってから「賃貸契約は終わりにする」などと迫ってきた。この契約解除に許可を下したのが堂本県知事(当時)であり、その決定に「農地法に適している」とお墨付きを与えたのが成田市農業委員会と千葉県農業会議だ。NAAは恥知らずにもついに昨年10月に市東さんに明け渡しを求める訴訟を起こした。
 午前10時半に行政訴訟が開かれた。
 葉山岳夫弁護士が陳述に立ち、農業・農地を守るべき機関が空港の農地取り上げ攻撃の手先となった経緯を追った。06年9月に開かれた千葉県農業会議では、反対同盟農民や支援者が多数傍聴する中、抗議の声を踏みにじって市東さんの目の前で「許可相当」の議決を行ったのだった。こんなものを元にした県知事の許可などまったく違法・無効でしかない。
 そして、このときの農業会議の議事録を証拠として提出を求められると、県は発言者の名前を黒塗り抹消したコピーを出してきた。こんなものが証拠になるか! すべて明らかにせよ。
 11時10分からは同じ裁判長、同じ法廷で農地法裁判が開かれた。
 原告NAAは前回2月に弁護団が出した「賃貸人としての地位をいつ取得したのか」との肝心要の決定的な求釈明に対し、2カ月以上経ってもまったく答えられない。農地強奪攻撃は、次々と矛盾とほころびを露呈している。県知事の違法な許可決定に基づいたNAAの提訴はそれ自体違法だ。今すぐ取り下げろ!
 終了後の記者会見で市東孝雄さんは3月23日の貨物機事故についての記者の質問に答え、「強風が原因の事故はあの日だけではない」と指摘した。続いて萩原事務局次長が事故を弾劾し、「あの日、暫定滑走路は倍以上の飛行機を着陸させていた。誘導路に飛行機が数珠つなぎになった光景を見て地元住民はぞっとした。本来なら滑走路を閉鎖すべきではないのか! そして今度は”供用前倒し”。絶対に許せない。裁判と現地闘争を強化しよう」と訴えた。
 次回7月21日も裁判が二つ続けて開かれる。傍聴に全力で参加しよう。
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 三里塚・市東さん裁判傍聴を
★市東さん耕作権裁判
 5月11日(月)
  午前10時30分 千葉地裁
 ※傍聴券抽選のため1時間前に集合
★鈴木幸司・いとさん一坪訴訟
 5月14日(木)
  午前10時30分 千葉地裁