2009年4月27日

1850人が集会・デモ 裁判員制度実施を阻止しよう “制度は絶対つぶせる” 1カ月決戦勝利への号砲 全国からの怒り糾合

週刊『前進』10頁(2389号3面1)(2009/04/27)

1850人が集会・デモ 裁判員制度実施を阻止しよう
 “制度は絶対つぶせる”
 1カ月決戦勝利への号砲 全国からの怒り糾合

 裁判員制度の実施予定まで1カ月に迫った4月21日、弁護士や学者たちが呼びかける「裁判員制度はいらない!大運動」主催の「裁判員制度実施をみんなで阻止しよう! 4・21日比谷全国集会と銀座デモ」に全国から1850人が結集した。裁判員制度絶対反対の旗が高々と掲げられ、渦巻く全国の怒りを糾合し、実施阻止へむけた1カ月決戦の号砲が発せられた。
 午後6時30分。東京・日比谷野外音楽堂には、激しい風雨をものともせず裁判員制度に反対する労働者民衆が続々と集まってきた。呼びかけ人のジャーナリストの今井亮一さんが「制度廃止の声は高まるばかり。国民を罰則付きで強制動員することはどう考えてもおかしい! 裁判員制度廃止をかちとりましょう」と力強く集会開会を宣言した。
 集会では、裁判員制度に対する怒りが爆発し、「絶対廃止だ。廃止にできる」という確信がみなぎった。
 呼びかけ人が発言。漫画家の蛭子能収さんは「裁判員に呼び出して、人びとが生活費を稼ぐじゃまをするな。断固反対!」。宗教者であり靖国参拝違憲訴訟にも取り組む大分哲照さんは「改憲・徴兵制につながる。阻止したい」。関東学院大学の足立昌勝教授は授業を休講にして集会に駆けつけた。家族問題評論家の池内ひろ美さんや仙台の弁護士・織田信夫さんも絶対反対の意見を表明した。

 第1章 通知29万人中12万人が返上

 さらに候補者名簿の登録通知の受け取りを拒否し記者会見した60代の男性は、「私は人を裁きたくない。権力の手先になりたくない。裁判員制度は人権無視の制度だ。改憲・戦争と民営化・道州制が狙い。やりたくないものはやりたくないと言おう」と呼びかけ、拒否の姿勢を最後まで貫くことを宣言した。
 主催者あいさつでは、高山俊吉弁護士が実施阻止の展望と改憲阻止の渾身(こんしん)のアピールを発した(要旨別掲)。まず「29万人の国民に裁判員候補者名簿に載ったぞという通知をしたが、12万人がつき返している。これでは実施できない」と制度の破綻を暴露し、「最高裁長官、法務大臣、麻生首相、財界、連合こそ危機に直面している」ことを確認した。
 さらに、自衛隊のソマリア沖派兵問題などを取り上げ、「今が戦争・改憲の時代だ」と指摘し、裁判員制度は「秩序を守ると称して国を守る国民を育てるもの」「改憲を国民自身がつくり出す運動」と批判。「司法参加という国民動員はナチスの時と同じ。体を張って裁判員制度の実施、改憲・戦争を止めよう」と訴えた。
 そして残り1カ月を「高原水準の闘いをやろう。もうひと頑張りで裁判員制度はつぶれるところにきている」と檄(げき)を飛ばした。会場は大歓声に包まれた。

 第2章 全国24団体が登壇して訴え

 体制内勢力が実施予定前日に「明日からあなたは裁判官」などというとんでもない翼賛集会を企画する中、4・21集会はこうした反動を突き破り、全国津々浦々に渦巻く絶対反対の怒りの結集軸としてかちとられた。学習会、集会、デモ、街頭宣伝などを重ねてきた全国19地域、計24団体の約70人が登壇し、アピールを発した。壇上には「裁判員制度はいらない」などの色とりどりののぼりや横断幕、労組旗が所狭しと林立した。
 埼玉では4月11日に300人で反対集会が行われた。東京の「とめよう戦争への道!百万人署名運動」は4月1日から3週間、東京中の駅頭と繁華街で終日の街宣を行い、約3万枚のビラを配布した。福岡の仲間は九州全域キャラバンに決起。愛知・三重・岐阜では5月17日の大集会へむけて奮闘中だ。また東京都台東区では町内会で反対運動に取り組んでいる。千葉の法律事務所は職場丸ごとの結集だ。
 ついに労働組合も裁判員制度に断固反対で立ち上がった。青年先頭に参加した動労千葉、動労水戸、ス労自主、JAM日本機械労働組合などが登壇。裁判員制度はいらない茨城県実行委員会の動労水戸・木村郁夫書記長は「(連合・全労連などの)労働組合が裁判員制度を推進しているが、実行委員会の仲間が断固として反対のビラまきを貫徹した。腐った労働組合をのりこえる運動を各職場でやろう」と訴えた。
 さらに法政大学文化連盟の恩田亮副委員長も、裁判員制度粉砕と一体で4・24法大集会を闘うと発言した。
 いよいよ全労働者民衆が一丸となって裁判員制度実施阻止の1カ月決戦に打って出る時だ!
 「歴史に禍根を残さないため、国会に、法務省に、最高裁に、そして日弁連に対して、私たちの危機感と腹の底からの怒りを突きつけましょう」と4・21集会宣言(全文別掲)が候補者名簿受け取り拒否者から高らかに発せられ、「5・21実施を必ずぶっつぶそう」と武内更一弁護士が行動方針を提起。街頭宣伝、集会、デモ、ストライキなど職場、地域での総行動を、とりわけ(1)4月27日(月)、全国一斉行動(東京 11時〜13時、国会前集会)(2)5月14日(木)、霞が関デモ(11時社会文化会館集合 最高裁—法務省—日弁連)(3)5月21日(木)、全国一斉行動——への結集を呼びかけた。
 集会後は雨風を吹き飛ばす勢いで銀座デモへ出発。「裁判員制度は徴兵制だ!」「実施阻止するぞ!」などのシュプレヒコールに沿道の人びとは圧倒的に注目した。
 この4・21集会の流れをさらに力強く大きくし実施阻止へ攻め上ろう!
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●森川文人弁護士(法大弾圧弁護団)の話「今日は雨にもかかわらず、本当に多くの人の『嫌だ』という声が結集した。沿道の反応もすごくよい。裁判員制度は廃止できるという力を示し、何としてもつぶそうと皆で確認できた」
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第3章 4・21集会宣言
 裁判員制度の実施が、あと1カ月後に、強行されようとしています。
 私たちは、この制度の実施を決して許しません。
 裁判員制度は、国民が要求した制度ではありません。この制度をはじめに提案した政府の「司法制度改革審議会」には、国民の声を代表する人は一人もいませんでした。数ある問題点は、制度が成立した2004年の国会ではまったく議論にもなりませんでした。その後の度重なる世論調査では、この制度に消極、反対の声が常に約8割存在しています。
 裁判員制度は、思想・信条・良心の自由を侵害します。人を裁きたくない、という私たちの気持ちは無視され、裁判員になることが強制されます。参加を拒否すれば10万円以下の罰が待っています。評議で意見を言わない自由もないうえ、その秘密を漏らせば懲役または罰金が待っています。こんな義務は憲法のどこにも書かれていない。明らかに憲法に違反する前代未聞の悪法です。
 裁判員制度は、被告人の人権を侵害します。被告人は、裁判員による裁判を拒否できず、非公開の密室であらかじめ決められた争点と証拠に従って、しかもほとんどが3日から5日という超短期間の裁判を強制されます。まともな防御権の行使をする余地はなく、冤罪がますます増えることになります。
 裁判員制度の狙いは私たちの意識を変えることです。首切り・賃下げ・大失業時代の治安強化に備え、「お上とともに社会秩序を守る」そうした意識と習慣を育てることが狙われています。人を死刑や無期懲役に処する国家活動に国民を強制的に参加させる「現代の赤紙」です。
 裁判員制度の実施は決して許されません。
 裁判員制度が実施されれば、取り返しのつかない幾多の犠牲を国民と被告人に強いることとなるからです。
 裁判員制度は、即時廃止するほかありません。
 私たちは、5月21日の実施を阻止するため、全国津々浦々、すべての地域、職場、学園から、さらに声を高く強く上げ、ともに手を携えて闘い続けます。あと一カ月間、歴史に禍根を残さないため、国会に、法務省に、最高裁に、そして日弁連に対して、私たちの危機感と腹の底からの怒りを突きつけましょう!
 以上、宣言します。