〈焦点〉 アフガン戦争の拡大狙う NATO5千人増派
〈焦点〉 アフガン戦争の拡大狙う
NATOも5千人を増派
NATO(北大西洋条約機構)は4月3〜4日、独仏国境の両側の諸都市で創設60周年の首脳会議を開いた。会議は、先に米帝オバマが打ち出した「アフガニスタン安定化」に向けた新戦略を支持し、アフガニスタンに米国以外の加盟国から5000人増派する「アフガン宣言」を採択したほか、NATOの「戦略概念」(99年)見直し、「同盟の安全保障に関する宣言」作成を決めた。またフランスのNATO軍事機構完全復帰を歓迎、クロアチアとアルバニアの新規加盟を承認し、ウクライナ、グルジアのNATO加盟問題は議題から外して、ロシアとの関係を改善することで合意した。
NATO首脳会議が示したことは、単独の政治・経済・軍事力ではすでに世界支配を維持できない米帝が、NATOの枠組みを使って欧州帝国主義を最大限アフガンに動員しようとしているということだ。仏独を始めとする欧州帝国主義は、オバマ新戦略に応える形をとって、自国の影響力の強化と勢力圏拡大へと動き、世界戦争の危機をいよいよ促進している。
NATO首脳会議で米帝オバマはアフガニスタンとパキスタンをめぐる「包括的新戦略」(3月27日発表)への支持を欧州諸国から取り付けた。オバマの新戦略は最大の目的が「アルカイダの粉砕」で、そのために①米軍を夏までに1万7000人増派し、加えてアフガン国軍の訓練部隊として今春中にも4000人を増派、②パキスタンにアルカイダ根絶を約束せよと要求し、今後5年間で年15億㌦を支援、③中国、インド、ロシアの協力と同盟国の支援拡大とを求める、という内容である。
オバマはNATO首脳会議の前の独仏首脳との個別会談などで、「アルカイダは米帝よりも欧州にとってより脅威」「欧州が強固になることを米国は望んでいる」「アルカイダ掃討は米国の課題というより欧州の課題であり国際的な課題だ」と述べ、アフガン増派への同意を欧州諸国に求めた。
首脳会議では、当初アフガン増派に消極的だった欧州諸国が態度を変え、軍事的手段だけでは治安維持が不可能であると認め、軍事作戦の強化に加え、アフガン国軍・警察の育成や民生面の支援に重点を置くことで合意した。
欧州諸国は、8月のアフガン大統領選挙での「治安確保」に向け米以外の加盟国から約3000人を増派する。英が900人、ドイツとスペインが600人。フランス、イタリアも増派する。これに加え、国際治安支援部隊(ISAF)の中に最大で2000人のNATO訓練派遣団(NTM)を創設する。計5000人増派だ。
これらが実施されると、アフガン駐留の外国軍は米軍が6万人弱、米軍以外を加えると9万5000人弱の規模となる。そして2011年までにアフガン国軍と同警察を大幅に増やすことを狙う。
この大増派戦略が示すことは、アフガンが今や「オバマのベトナム」となりつつあることだ。
NATO首脳会議に反対して、仏独国境地帯で3万人の労働者人民が警官と衝突し、怒りの実力行動に立った。大恐慌の進行の中で侵略戦争と階級戦争を激化させる国際帝国主義を、プロレタリアートの国際的団結で打倒しよう。