2009年4月 6日

労働者階級の分断うち破り道州制粉砕の5・15闘争へ 革共同沖縄県委員会

週刊『前進』08頁(2386号7面2)(2009/04/06)

労働者階級の分断うち破り道州制粉砕の5・15闘争へ
 革共同沖縄県委員会

 道州制攻撃は、民営化・労組破壊、公務員労働者360万人の首切り、そして改憲・戦争国家化の攻撃だ。07年12万人決起を組織した沖縄の労働者・労働組合の闘いに恐怖した日帝が、沖縄と全国の労働者階級の分断を狙ってかけているのが「沖縄単独州」だ。だが、沖縄を見くびるな! すでに沖縄では青年労働者を先頭に「道州制攻撃粉砕」を真っ向から掲げた3・1春闘集会・デモが打ち抜かれた。3・6大阪—5・9東京から一直線に5・15沖縄へ、4大産別決戦そのものとして道州制粉砕、米軍再編=辺野古新基地建設阻止に立とう!

 第1章 「自立」幻想で道州制に屈服する推進派

 沖縄道州制懇話会は昨年5月、「沖縄の『特例型』道州制に関する第1次提言」を発表した。その中で、「沖縄道州制懇話会では、……外海離島に位置する沖縄が単独州となり、変革に果敢にチャレンジすることを通じて地域を活性化し、結果として沖縄単独州の経済・財政基盤が確立するとともに、道州制導入によるこの『新しい国のかたち』もつくることができる、との認識で一致した」と確認している。この認識は、日本経団連や江口克彦(内閣官房の道州制ビジョン懇談会座長)らが主張する「地域主権型道州制」を下敷きにしたものである。
 沖縄道州制懇話会の構成メンバーは、仲地博、島袋純(ともに琉大教授)、吉元政矩(元沖縄県副知事、自治労出身)、太田守明(内閣府道州制ビジョン懇談会メンバー)、国場幸之助(自民党前県議)、平良長政(前県議)、宮城宏光(那覇商工会議所前副会頭)、石川正一(県経営者協会副会長)、仲本豊(沖縄経済同友会)、仲村信正(連合沖縄会長)などである。
 自民党や経営者団体はともかく、大学教授や「革新」と言われる人たちがこぞって道州制に取り込まれているのはなぜだろうか。それは、「自立」と「自己決定権」で沖縄が中央政府から「独立」し、自前の財源で行政を運営し、米軍基地も撤去や縮小が可能であるかのように幻想しているからである。しかし、産業基盤のない沖縄で自前の財源など確保できるはずもなく、ましてや米軍基地の撤去や縮小は、日米安保体制の根幹にかかわる問題であり、1ミリも解決できるものではない。
 だからと言って、「沖縄単独州」が駄目で、九州との合併が良いということではない。そもそも道州制とは何か、道州制は何を目指しているのかが問題である。

 第2章 丸ごと民営化で首切りと労働組合解体

 江口克彦著『地域主権型道州制』のポイントは次の2点である。
 ①千万人規模の人口を持つ道・州を、全国に9〜13ブロックつくり、市町村を広域化して新しい基礎自治体の「市」を300程度つくる。
 ②道・州に課税権と徴税権を認め、自前の財源でそれぞれの道・州に合った行政運営を行う。
 その上で江口は、次のように暴論を吐く。
 「日本株式会社という、いわば国そのものを民営化しなければならない」
 「自治体の経営能力を高めるためには、まず経営感覚のある知事、市長を選ぶことだ。知事、市長はその道州や市の行政の最高責任者であり、企業経営者に求められているような手腕が必要となる。『地域主権型道州制』ではいわゆる『道州・市株式会社』という前提だからである」
 「一般的には公務員は解雇できないと認識されているが、制度的には懲戒処分と分限処分の二種類の処分方法がある。実際にはほとんど使われていないのが後者の分限処分で、これによれば公務能率が悪い人については、解雇できることになっている」
 まったく怒りなしには読めない。つまり道州制攻撃の狙いは、自治体の丸ごと民営化と、公務員労働者360万人のいったん全員解雇・選別再雇用による、自治労と教組の解体、それをとおしての日本労働運動の絶滅に据えられているのである。いわば国鉄分割・民営化攻撃の全社会化である。
 実際、関西経済同友会は、国家公務員・地方公務員410万人のうち、警察・自衛隊関係の50万人を除く360万人をいったん解雇し、民間からの採用など、いわゆる「血の入れ替え」を行い、「半分の人員で倍の仕事」をする者だけを採用すると主張している。
 その上で、それぞれの道州を資本がやりたい放題にするということになる。「道州株式会社」とはそういう意味である。独占資本(大資本)の経営者が道州知事・市長に就任し、「法律上書き権」「法律修正請求権」を認め、例えば労働法なども好き勝手に書き換えて資本がやりたい放題の「独裁王国」を築くということである。
 したがって道州制攻撃とは、教育や社会福祉、医療、雇用、農林水産などがすべて民営化され、道州制のもとで大資本の食い物にされるだけではない。さらに労働者の諸権利などもすべて道州知事の好き勝手にされるという意味で、直接の攻撃対象である公務員労働者だけでなく、すべての労働者にかけられた攻撃なのである。
 道州制攻撃は沖縄ではどうなるのか。まず、公務員労働者はすべて民間並みの状態にたたき込まれる。すでに公務員の3割ほどが非正規雇用とされているが、それが全公務員に適用されることになる。非正規の公務員は民間で働く労働者と変わらないか、もっと厳しい条件で働いている。
 「資本の論理」とは要するに、「儲(もう)かるか、儲からないか」の一点が問題となるのだから、「儲からない」産業はすべて淘汰(とうた)されるか、本土資本に吸収されることになる。  
 例えば、専売公社が民営化されて、沖縄のタバコ工場が閉鎖されたという事例や、電電公社の民営化以降の沖縄NTT労働者にかけられている攻撃(離島事業所の廃止、人員の半減と3割の非正規労働者、50歳退職・再雇用時の基本給の3割カット)など、具体例は事欠かない。
 製造業などはそもそも採算が合わないということで、資本は沖縄には進出すらしてこない。オリオンビールも本土資本に乗っ取られて淘汰されていくしかない。バスも本土資本の系列に入って、私鉄沖縄は厳しい状況に立たされているが、これもつぶされていくことになる。
 沖縄の農業も「資本の論理」では成り立たない。例えば、ウコンも本土資本がアジア産のウコンを使って、CMなどで大宣伝することで、県産ウコンは壊滅状態に陥っている。サトウキビも「資本の論理」では成り立たない。そうすると製糖業で働く労働者は仕事を失うことになり、全糖労はつぶされることになる。

 第3章 「基地の島」が固定化される大反革命攻撃

 では一体、何が沖縄に残るのか。まず米軍基地。それに「カジノ」くらいということになる。要するに道州制攻撃のもとでは沖縄には「基地の島」以外に何も残らないのである。沖縄の労働者は、そもそも沖縄で働いて生きていくことすらできない状況にたたき込まれる。それは21世紀の“ソテツ地獄×沖縄戦直後の米軍政下での労働者の無権利状態”ともいうべき事態となる。道州制攻撃それ自身が、沖縄を21世紀の100年も「基地の島」として固定化する大攻撃なのである。
 そもそも道州制は、軍事や外交は中央政府に集中する改憲・戦争国家化の大攻撃でもあるのだ。
 なぜ今日、このような攻撃がかけられているのか。それは、今日の世界大恐慌の時代、資本主義の崩壊の始まりという事態に震え上がったブルジョアジーが一切の矛盾を労働者に押し付け、ひたすら自らの延命を求めて、その手段として道州制攻撃にすがりついているということである。しかし今日の世界大恐慌を引き起こして破産した新自由主義攻撃を続行するしかないという意味では、きわめて絶望的な攻撃なのである。
 つまり、道州制攻撃の根底には、今日の世界大恐慌の爆発が労働者の膨大な決起を生み出し、革命に転化することへの恐怖がある。革命を未然に圧殺するための反革命クーデターなのである。

 第4章 07年県民大会を生み出した労働組合の力

 沖縄でも、やはり道州制攻撃の核心は自治労と教労(沖教組・沖高教組)の解体をとおした沖縄労働運動の壊滅攻撃としてある。世界大恐慌の時代、日本と世界の労働者階級の闘いの拠点・革命の火薬庫である沖縄の労働運動を壊滅することなしに、ブルジョアジーは一日も安泰ではない。
 米軍政下で「復帰」を求めた2度にわたる全島ゼネストや、基地労働者の基地内決起などを闘い抜いた沖縄の労働者の闘いが、いよいよ全世界の労働者階級の闘いの先陣を切る時代が到来しつつあるのだ。
 07年9・29県民大会の12万人決起を切り開いたのは、自治労と教組を軸とした労働運動の力であった。「学校」と「役場」が12万人決起の拠点となり、その決起は沖縄を事実上の「ゼネスト」状態にたたき込んだ。
 「生きさせろ」を掲げたゼネストがギリシャやフランスなど全世界で闘い抜かれている。いわばその先駆けをなす「07年9・29」こそ、敵の道州制攻撃を引き出しているとも言える。
 道州制攻撃は、沖縄でも保育所の民営化(久米島、沖縄市、北中城村など)、県立病院の独立行政法人化として開始されている。県教委は、4月から「新たな職(副校長・主幹教諭)」の設置を強行した。いずれも道州制攻撃そのものとしての、自治労・教組への攻撃である。これに対して現場の労働者は闘いに立ち上がっている。
 すでに明らかなように、沖縄「単独州」問題の核心は、沖縄の労働者を本土と全世界の労働者から分断することにある。それは、いわゆる「独立論」の根底に労働者階級への不信と絶望があり、沖縄と本土の労働者の分断に棹(さお)さしていることと一体のものである。なぜ沖縄で歴史的に「独立論」は主流とならなかったのか。それは労働者が、「分断」ではなく「団結」を求めて一貫して闘ってきたからである。
 国鉄分割・民営化と闘い勝利した動労千葉の闘いを沖縄現地で実現し、道州制攻撃粉砕・米軍再編粉砕・辺野古新基地建設阻止の沖縄ゼネスト実現のために奮闘しよう。5・15沖縄闘争へ。