2009年4月 6日

新版『甦る労働組合』を読んで

週刊『前進』08頁(2386号6面2)(2009/04/06)

新版『甦る労働組合』を読んで
 マルクス主義とは何かを動労千葉の闘いから学ぶ

 第1章 21世紀革命への号砲

 本書は、21世紀のプロレタリア世界革命−日本革命を思想的・綱領的に、そして極めて実践的に領導する決定的な書です。国際共産主義運動の歴史には、それぞれ時代を獲得した「時代の書」がありますが、本書は紛れもなく21世紀世界革命への号砲です。
 本書は、動労千葉労働運動の今日的到達点から階級的労働運動の全領域が豊かに立体的に展開されています。さらにマルクス主義の原理的再形成においても決定的な踏み込みがされています。
 労働組合と労働者党について、また時代認識、最末期帝国主義の新自由主義やスターリン主義の問題、さらに戦後階級闘争、国鉄分割・民営化と動労千葉の闘いなどが縦横に論じられています。何よりも労働組合運動の実践の書ですが、単なる経験主義レベルのものではなく、そうした闘いの教訓と綱領的・路線的な内容が、豊かに一体となって展開されています。
 しかも全体が実に平易で、隣の仲間、世界の仲間をオルグする語り口が貫かれています。これこそ理論と実践の統一、宣伝と扇動の融合であり、国際共産主義運動が追い求めてきた境地の今日的到達地平です。

 第2章 労働組合と労働者党

 本書から学ぶべきことは多岐にわたりますが、4点ほど確認したい。
 第一は、党と労働組合の関係、労働組合の革命論的位置づけです。
 プロレタリア自己解放としての共産主義革命にとって、この問題はマルクス『共産党宣言』以来、一貫して核心問題です。レーニンの『共産主義における左翼空論主義』から「労働組合論争」に至る格闘と到達地平も、もっと対象化されなくてはなりません。
 この国際共産主義運動上の苦闘を暴力的に断ち切ったのがスターリン主義反革命でした。以降この領域は理論的・実践的混迷の中にありました。
 本書はその大反動をついにのりこえて、このテーマに実践的に回答を与えました。マルクスの『賃金・価格・利潤』や第1インターの文書、レーニンの『左翼空論主義』やコミンテルン文書などを今日的に引き継ぐものであり、マルクス主義の発展にとって決定的な貢献となっています。

 第3章 体制内派との党派闘争

 第二は、全編これ党派闘争の書だということです。対スターリン主義、対カクマルに始まり、全テーマで、体制内派との党派闘争的観点が意識的に貫かれ、壊滅的批判がたたきつけられています。それゆえ、本書は転向スパイ集団=塩川一派打倒の大きな力にもなるものです。何より、最大の党派闘争である権力・資本への戦闘精神をたぎらせつつ。

 第4章 青年労働者、学生の書

 第三は、若者の書、青年労働者と学生の組織化の書だということです。
 私を含め、現下の党(革共同)と労働運動を根底で規定するものは、第2次大戦の階級的体験(加害と惨禍)と戦後革命による階級関係、すなわち戦後意識と55年体制だと著者は力説します。
 では、それが通用しない若い世代は、何を土台にして21世紀革命を担うのか? その主体的根拠地を、革命運動の側が内的に準備しえて初めて、継承と発展の問題を解決できる——これが著者の問題意識の核心です。
 その革命的回答を本書は与えています。すなわち新自由主義−分割・民営化と唯一激突し勝利してきた動労千葉労働運動とマルクス主義の原理的再建、この二つが21世紀革命の震源だし、それを体現する青年労働者こそが21世紀革命の確かな現実性そのものだ、と。
 〈動労千葉労働運動とマルクス主義と青年〉−−自らの実践をとおした唯物論的物質力をもって、この命題の勝利性を突きつけているところに本書のすさまじい迫真力があります。

 第5章 “労働運動を天職に”

 第四は、「労働運動を天職と腹を固めよう」と青年労働者に向かって、全員が21世紀革命の革命家たれと熱烈に訴えていること、21世紀革命の革命的指導部建設論として本書全体が貫かれていることです。
 だから本書は、時代の風に乗って世界を駆けめぐり、数世代を組織せずにはおかないのです。徹底活用あるのみです。
 (長野・K)
 (中野洋著、編集工房朔発行、1800円+税)